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ひとよは完成度の高いヘビーな家族ドラマ!感想とネタバレ

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もし実の母親が殺人を犯したら、その子供たちはどういう人生をたどるのか、というのをリアルに描いたヒューマンドラマ。クオリティーが高く、面白いです。68点 

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ひとよのあらすじ

大雨の日、夫婦でタクシー会社を営む稲村こはるは、突然三人の子供たちに夫を殺したことを告げる。家族全員が夫の暴力に悩み、苦しんでいたからだ。

稲村こはるは、これでやっと自由になれる、お前たちの面倒は叔父さんが見るからといって子供たちを残して警察に自首した。15年は刑務所に入ることになるだろう。でも必ず戻ってくる、といって。

15年後、子供たちはすっかり大きくなっていた。長男の大樹は結婚し、子供もいたが妻と別居中だった。次男の雄二はライターとして風俗雑誌で記事を書いていた。長女の園子はスナックで働いていた。

そんな中、ある日母のこはるが連絡もないし実家に戻ってきては3人を驚かせる。こはるは出所後、職を転々としてからやっと帰ってきたという。三人の兄妹は複雑な気持ちになり、手放しでは喜べなかった。

というのも三人は母親が殺人犯ということで、今まで様々な苦労をしてきたからだ。果たして母親の殺人は正当化できるのか。三人は母親が帰って来てからというもの彼女に対する愛憎を抱えてもがいていく。

ひとよのキャスト

  • 佐藤健
  • 鈴木亮平
  • 松岡茉優
  • 佐々木蔵之介
  • 田中裕子
  • 音尾琢真
  • 筒井真理子
  • 浅利陽介
  • 韓英恵
  • MEGUMI
  • 大悟(千鳥)

ひとよの感想と評価

彼女がその名を知らない鳥たち」、「止められるか、俺たちを」、「孤狼の血」、「牝猫たち」、「凶悪」、「日本で一番悪い奴ら」、「サニー/32」、「凪待ち」などで知られる白石和彌監督による家族ドラマ。

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母親がDVの父親を殺したことで様々な嫌がらせを受けて育った三人兄妹の葛藤を描いた、シリアスでヘビーな物語です。

果たして子供を暴力から守るためにDV親父を殺すのは正しいことなのか、というのを考えさせられる話になっていて、一見、正当防衛や正義の制裁に思える母親の行動が子供たちを余計に苦しませることになる悲劇をつづっていきます。

「お母さん、さっきお父さんを殺しました」

冒頭の3分で母親の口からこんなセリフが飛び出し、物語に一気に引き込まれます。そこから話は15年後が舞台になり、母親が突然家に帰ってきては三人の兄妹がかき乱されていく、というのがあらすじです。

さらにそこに元やくざが過去を隠して家族のタクシー会社に入社してきては、とんでもないトラブルを起こす、というのをサイドストーリーにしています。

焦点となるのは、三兄弟が自分たちを父親の暴力から救ってくれた母親に対し抱いている複雑な心境です。

娘は母親を理解しているのに対し、二人の息子は強い恨みを持っています。人殺しの息子として散々嫌がらせを受けて来たため、これならまだ父親の暴力を我慢するほうがよかった、という結論に至ってしまったようなのです。

最初はそんな感情を隠しながらやり過ごそうとするも徐々に抱えているものが蓄積していってはやがて家族の感情が爆発する様子をクライマックスにしていて、ストーリー展開は王道といえるんじゃないでしょうか。

ある意味、家族がいつ本音をぶつけてキレるのか、というのをハラハラしながら見る映画で、「秘密と嘘」や「8月の家族たち」など多くの家族ドラマが同じ構成になっていますよね。

この映画の場合、ベッドシーンを入れたり、カーチェイスを入れたりして、娯楽性を高めていて全体的にバランスがいいです。

ただ、カーチェイスのシーンとやくざ者のタクシー運転手のエピソードはさすがにやりすぎ感がありましたね。彼と三人兄弟のストーリーを重ね合わせようとしているのにはかなり無理がありました。

もう一つの失敗点は、千鳥の大悟を出演させていることでしょう。売れっ子芸人をあんな下りで起用したら、せっかくのシリアスな話が台無しになるんですよ。笑いしか起きないもん。

一方でほかの俳優たちはみんな迫真の演技を見せていて、クオリティーの高いものを見せてもらいました。

特に田中裕子の冒頭のパフォーマンスは素晴らしかったですね。夫を殺した直後の悲壮感、罪悪感、そして爽快感が混ざり合った、複雑な表情はすごいの一言です。

社会や子供たちに強い背徳感を感じながらも前向きに生きようとする強い母親を見事に演じきっていて、さすがベテラン女優は違いますね。

佐藤健もなかなかの存在感を発揮していました。とても「億男」や「世界から猫が消えたなら」に出ていた同じ俳優とは思えません。彼は変に爽やかな善人キャラを演じるよりも、やさぐれたチョイ悪兄ちゃん役のほうが似合いますね。悪役向きなんじゃないかな。

僕が特に好きなシーンは、音尾琢真扮する丸井のおじさんが号泣した後に笑顔で電話に応じる下りと、筒井真理子扮する柴田弓が車の中でやるシーンですかね。意味合いはかなり違うけど、どっちも可愛かったです。

コメント

  1. きのこ食べすぎ より:

    凄く美味いんだけれど、食後かなり胸焼けする極濃トンコツ・ラーメン食った様な印象。

  2. ちー より:

    親の背中ってなんであんなに切ないんでしょうね。

    後先考えず母親のした事は身勝手かもしれない。
    けど、誰よりも子供たちのことだけを考えて起こした行動が、その子にまで理解されないのは仕方ないとはいえ、残酷だなと思いました。
    でも、上手くいかない現状を母のせいだけにするのは、やっぱり少し甘えなような気もしました。

    私もヤクザの話は必要だったのかなと思いました。
    そしてシリアス映画に演技下手なお笑い出すのやめてほしいですね。