2017/03/20

牝猫たち

ロマンポルノの枠を超えた、普通の映画として見られる良質な群像劇。演技、ストーリーがしっかりしていて、セックスシーンに頼っていない完成度の高い映画です。70点(100点満点)

あらすじ

ネオンのきらめく池袋の繁華街をさすらい、呼び出された男たちと枕を交わす3人の女性。ネットカフェ難民、シングルマザー、不妊症とそれぞれ悩みを抱えながらも、好きでもない男性の前で素肌をさらし彼女たちはたくましく生きていく。

シネマトゥデイより

牝猫たちの評価

風に濡れた女」、「ジムノペディに乱れる」、「アンチポルノ」、「ホワイトリリー」と並ぶロマンポルノ・リブート・プロジェクトの作品のひとつで、監督は「凶悪」、「日本で一番悪い奴ら」でお馴染みの白石和彌です。

脚本、演技、映像が素晴らしく、普通の映画として見ても十分に評価できるレベルの作品です。三人の風俗嬢を通して現代の日本社会を上手く反映させていて、ぜひ海外でも上映するべき内容です。

物語は、同じデリヘルで働く、訳ありな三人の女性を同時進行的に映していきます。一人はホームレスでネットカフェで夜を過ごし、もう一人はDV癖のある子持ちで、いつも息子をバイトの子守に預けて遊びに行ってしまい、最後の一人はやもめの老人客と深い関係になっていきます。

三人はそれぞれ癖のある客に翻弄され、客を通じて希望と絶望を感じながら逞しく生きていきます。お互いの本名も知らない三人をつなぐのは風俗店の狭い待合室だけ。ところがその場所に警察のガサ入れが入ると、三人はまたバラバラになり、それぞれの道を歩んでいく、というのがあらすじです。

話はテンポ良く進み、最後まで飽きないです。白石和彌監督は普段から他の作品でもしっかりセックスシーンを撮っているからか、ストーリー上で必然性のある男女の絡みのシーンをとても自然に使っていました。

ロマンポルノ・リブート・プロジェクトでは、10分に一度濡れ場を入れないといけないという制約があって、そのせいでセックスシーンがわざとらしくなったり、滑稽になる作品が多いんですが、この作品ではそれがなかったです。

キャスティングにもセンスの良さが感じられます。ヒロインを演じた三人の女優たちは美人すぎず、セクシーすぎず、人妻系風俗で働く場末感があって、かなりリアルです。それゆえにセックスシーンに現実感があってエロかったです。

また、脇役を固める俳優たちもすごくいいですね。前から気になっていたんですが、子守のバイトをしている青年を演じた松永拓野は将来名脇役になりそうな気配のする、いい俳優です。

顔と喋り方に特徴があって演技が自然。彼はドラマ「火花」でも意地悪なコンビニ店員を演じていましたね。

風俗店の運転手役の吉村界人も才能を伺わせる演技を見せていました。とりあえず「はい、すいません」って謝るところとか、こういう奴いるよなぁ、と思わせるパフォーマンスでした。

風俗店の店長、音尾琢真もお調子者の役を上手く演じています。女性従業員には腰が低く、男性従業員には横暴な態度を取るところなんか、あるあるですね。

笑い芸人トロサーモンの二人も出演しています。中でも村田秀亮の演技は安定感あります。

結局は官能映画だろうと、シリアスな映画だろうと、俳優たちの演技と台本が良ければ面白い作品になるんですね。特にエロティック系の映画はセックスシーンありきで作っていることが多く、ストーリーが穴だらけになりがちなのですが、この映画は珍しくエロスと上質のストーリーが融合されていました。なかなか日本にはこんな映画ないです。

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