ザ・クリエイター/創造者はつまらないパクリSF映画！ネタバレ感想

なにひとつ独創的な要素がないＢ級SF映画。見る人が見たらすぐにパクリと分かってしまう、視聴者を舐め切った作品です。25点

ザ・クリエイター/創造者のあらすじ

時は2055年、米国政府が製造した人工知能（AI）がロサンゼルス、カリフォルニア上空で核弾頭を爆発させる。これに対し、米国とその西側の同盟国は、人類の絶滅を防ぐために地球からAIを根絶することを誓う。しかしAIを引き続き受け入れる東南アジアの地域、ニューアジアによって抵抗を受ける。

米軍はAIに対する広範な軍事キャンペーンを開始し、ニューアジアのAI進歩の背後にある神秘的な主要設計者「ニルマタ」を暗殺することを試みる。

ロサンゼルスが破壊されてから10年後、米軍軍曹のジョシュア・テイラーはニューアジアに潜入工作員として潜伏していた。その間、彼はアジア人のマヤと結婚する。マヤは彼の子供を妊娠していた。

米軍はマヤこそがニルマタの娘だと信じていた。ジョシュアがニルマタを見つけるためにマヤを利用していた工作員であることをマヤに知られたとき、妊娠中のマヤは逃げ出すが、USS NOMAD（北米軌道移動航空防衛）の爆撃を受けて殺されてしまう。

愛する妻を失ったジョシュアは５年後、絶望の中生きる気力をなくしていた。グランドゼロの清掃員として働いていた彼のところにジェネラル・アンドリュースとカーネル・ハウエルが接触してくる。そしてニルマタが設計した新しい兵器「アルファO」を探し出して破壊する任務を受ける。

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ザ・クリエイター/創造者のキャスト

• ジョン・デヴィッド・ワシントン
• マデリン・ユナ・ヴォイルズ
• ジェンマ・チャン
• 渡辺謙
• スタージル・シンプソン
• アリソン・ジャネイ
• ラルフ・アイネソン

ザ・クリエイター/創造者の感想と評価

「GODZILLA ゴジラ」、「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」のギャレス・エドワーズ監督による、”オリジナル”SF。映像はまあまあいいもののストーリーや設定がボロボロで、「あれ、この映画どこかで見たことあるよね？」っていう要素満載でした。

ギャレス・エドワーズ監督といえば、「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」のときも映像が暗すぎるってディズニーに怒られて撮り直しさせられたことで有名ですが、今回も大半が暗いシーンによって構成されていて、まあなにが起きているのかよく分からなかったです。

SFだから街並みとかできるだけ見せないように暗くしてごまかしてるんだろうなあっていうのがバレバレで、ずっと遠くが見えないからね。それならいっそのこと完全に室内撮影すればいいのにと思うぐらいでした。

オリジナルっていうのを売りにしているくせに世界観は、誰もが知ってる映画のミックスです。ターミネーター、ブレードランナー、ローガン、AKIRA、ローグワン、マンダロリアン等々。

設定はアメリカがAIとの戦争を始め、世界に脅威となる兵器を破壊するためにAIを支持する地域ニューアジアに工作員を送り込むというものです。ポリコレに溢れる昨今のハリウッドにおいて、これだけアジアンヘイトを全面に打ち出した映画も珍しく、それも日本、中国、ベトナム、韓国といったアジア諸国をひとつにしてニューアジアって言ってるから笑えます。

ハリウッドといえばこれまで敵国といえばロシアやアラブ諸国だったのが、ここに来てアジアに標的を合わせてきたみたいで、差別意識を隠さず潔く暴露していることは評価したいです。

ただ、アジアを敵に見せかけて、実は話が進むにつれてアメリカ軍を悪役にし、唯一アジア人に味方をする黒人の主人公を英雄にしているところがあざといですね。分かるかなあ、この手法。よく白人が黒人差別映画の中で使うやつ。

黒人差別を描くときに、悪い白人をこれでもかというほど出すのに対し、一人だけ優しい白人を出すんですね。そうするとその白人がすごいいい奴に見えるっていう。冷静に考えると、別になんてことない普通の人間なのに相対的にものすごく天使に見えるわけ。それで結局いい場面を白人が全部持って行っちゃうみたいな映画たくさんあるでしょ。

それがまさに本作でアメリカを悪者にしているふうで、結局はアメリカ人が英雄になって終わります。敵のアジア人はあくまでもアメリカ人の引き立て役。

意味不明なのが対アジア人と、対AIをごちゃごちゃにしてる点ですね。ニューアジアがAIを支持してるからAIアンドロイドもアジア人の顔にして、アジア人＝AIみたいなことになってるのがウケます。それもAIがお酒を飲んだり、睡眠したり、人間と変わらない作りになっていてAIである理由が全くないんですよ。

戦闘用のAIもなぜか銃に撃たれたぐらいですぐ死ぬし、防弾にすらなってないっていうハイテクなのかローテクなのかごっちゃごちゃ。どうせ劇中のAIは、アメリカの敵、人類の敵のメタファーだとかいうんでしょ。なんか最近、AIが熱いからAI使えば食いつくでしょみたいに安易に使ってるんだよね。

アメリカ人にとってアジア人はみんな同じなのでニューアジアにはエセ日本語や中国語の看板がちらほらあり、日本語、中国語、ベトナム語、英語などが飛び交い、なぜかみんなそれぞれ喋りたい言語を話しても通じています。何語でも通じるっていう設定はまだいいでしょう。

でももしこの時代のアンドロイドには同時翻訳機能が備わってるっていうならなんで渡辺謙だけ日本語と英語を交互に喋ったりするんですか。全部日本語、あるいは英語でいいじゃん。

アメリカ軍はまるでかつてイラクに乗り込んだように、大量破壊兵器があるからニューアジアに行くぞと言って少数部隊を送り込みます。その兵器を食い止めないと、人類が滅びるというのです。そのプロットはまさにローグワンで使われたものと同じです。

一方で主人公のジョシュアは人類が終わるかどうかっていうときに「俺は妻と会いたい、妻を探したい、妻を愛してる、妻が、妻が」などと一人だけ次元の違うところで作戦に参加しているのが可笑しく、あいつのあのノリのせいで緊急性がちっとも感じられないものになってしまっています。仕事だっていってるのに、一人だけナンパ目的で出張行こうとしている奴みたいじゃん。

彼らの破壊兵器とは実はアンドロイドの子供で、ジョシュアとアンドロイドキッズが遭遇したことで今度はジョシュアが彼女のことを危険から守る、という子連れ狼並びにマンダロリアンの構図になり、ああこれもどこかで見たなあっていうパターンが続きます。

また、そのアンドロイドキッズが両手を合わせると、超能力さながらのスーパーパワーを発揮するっていうね。もうなにからなにまで新鮮味がないんですよ。

そんでもってずっと登場人物が逃げたり、追いかけたりする中で、いつになったら話が始まるのかなあと思って見てたらなにも進まないまま終わりました。あるよね、こういう会議。みんないろんなこと話すんだけど、なにも決まらないし、進まないの。会議をしたってことだけに満足しちゃうみたいな。それに近いものがあります。

ラストは一体なにが解決したのかさっぱりで、それなのにみんな戦争が終わったみたいな喜び方してるからね。アメリカ軍って一機撃ち落されただけで負けちゃうの？　軍事力しょぼ。そもそもLAに核弾頭落とされてるのに報復の規模が小さくて笑えるんだけど。いつからアメリカ軍そんなに弱くなったんだよ。