なにも考えずにさくっと見れてしまう犯罪もの。誰も怪我しないノンバイオレンスな作品で、ちょっと笑えます。58点
クイーンピンズのあらすじ
コニー・カミンスキーは、かつて3度の金メダルを獲得した元オリンピック競歩選手。しかし引退し結婚してからの彼女の人生は決して成功しているとはいえなかった。
母親になることを目標にしてきたものの、やっとのことで妊娠できたと思ったら流産し、夢が破れてしまう。傷心の中、彼女が見つけた楽しみはスーパーのクーポンを集めて割引をゲットすることだった。彼女にとって商品を買うのは二の次でクーポンで割引が得られること自体に快感を覚えた。それはクーポンハイともいえる感覚だった。
そんなコニーを夫のリックは認めようとせず、なんでもいいから仕事を見つけたほうがいいと否定的だった。
鬱屈していたコニーは友人のジョアンナとお互いの哀れな状況を慰め合っていた。ジョアンナは自分のIDが盗まれて悪用されて以来、まともな職につけず、クレジットカードも作れなかった。そのため母と一緒に暮らしており、YouTube動画を作成してなんとか収入を得ようとしていた。
そんなある日、コニーはシリアルが古くなっているという理由で製造元に苦情の手紙を書いた。すると、すぐに無料のシリアルのクーポンがもらえた。これに味を占めたコニーはあらゆるメーカーに苦情を送り、無料クーポンをもらい続けた。そして無料クーポンを誰かに売ったらいいお金になるのではないか、といったアイデアを思いつく。もちろんそれは違法行為だった。
コニーは違法と知りながらジョアンナと協力して、クーポンを製造する工場があるメキシコにまで行くことにする。そこで二人は大規模なクーポン詐欺を働く仕組みを作るのだった。
クイーンピンズのキャスト
- クリスティン・ベル
- カービー・ハウエル=バプティスト
- ポール・ウォルター・ハウザー
- ビービー・レクサ
- ヴィンス・ヴォーン
クイーンピンズの感想と評価
アーロン・ゴーデットとギタ・プラピリーの共同監督によるクライムコメディ。実際にあった嘘みたいな詐欺事件をフィクションを加えて面白可笑しく描いた作品です。
実際は3人組の女性が犯した組織的なクーポン詐欺事件だったそうです。
それを本作では白人と黒人女性の友人同士が軽い気持ちで始めたクーポン詐欺ビジネスという感じで描かれていて、なぜかヒロインは元五輪選手という設定になっています。おそらくヒロインの栄光と転落を描くためにあえて五輪金メダリストという背景にしたんでしょう。
犯罪の規模は数億円を超えるスケールの大きなものなんですが、全体的にかなり軽いノリにしているせいかスーパーで万引きをするぐらいの感じで全く罪悪感、背徳感なく話が進んでいくのがポイントですね。
実話ベースの犯罪劇ってリアリティーに重きを置きそうなものですが本作の場合思い切りコメディに舵を切っていてアニメのルパン三世を見ているような感覚で見れました。ベタなコメディにしているせいでリアリティーはほとんどないにも関わらず実際の事件と内容がそんなに変わらないのが驚きです。いわばオーシャンズ11が実話だったらみたいなサプライズです。
普通そんなに上手く行く?ってシーンの連続で変な話とんとん拍子の「アメリカンドリーム」を感じさせるものがあって、たとえ一時的だとしても犯罪者たちが金持ちになって”成功”してしまうのが笑えました。まあ、どうせすぐにバレるんだけどね。
二人がバカなのは知識もなく適当にウェブサイトを作ってサイト経由でクーポンを販売していたことでしょう。そしてオンラインで売ったクーポンを郵便で発送してたことで足がついて逮捕に至ります。あれで捕まらないと思ったのかね?
逮捕された後はお待ちかねの長期の刑務所タイムがやってくるかと思いきや一人は保護観察処分、もう一人はわずか数年の禁固刑で済んでしまうという甘々の判決を受けて物語は幕を閉じます。そしてその部分も実際のケースとほとんど同じようです。アメリカだったら巨額詐欺には数十年の実刑とかありそうだけど、ほんとラッキーだったね。
刑が軽く済んじゃった事でなおさらこの物語がソフトになった感があって終始平和な犯罪劇だったなあという感想を抱きました。普通に面白かったけど、この映画世界中で赤字だったそうですね。なんでだろう。やっぱりバイオレンスがないからなのかなあ。
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