2017/11/16

メッセージ(原題ARRIVAL)

アメリカ人が宇宙人とコミュニケーションを取る姿を描いたSFスリラー。トーンが重く、映像が暗く、最大限思わせぶりに引っ張るわりには最低レベルのオチしか用意していない怒りを覚える作品です。22点(100点満点)

映画メッセージのあらすじ

ある日、突然世界の12箇所に楕円形の飛行物体が降り立つ。宇宙人の到来に人々はパニックに陥り、世界は緊急事態に。そんな中、宇宙人と意思の疎通をはかるためにアメリカ軍は言語学者教授のルイーズにその役を依頼する。

宇宙服を着てエイリアンとの”対話”を始めた彼女は、物理学者のイアンと組んで、宇宙人が伝えようとしているメッセージを読み取ろうと奮闘する。

一方で世界各国の政府は宇宙人を脅威とみなし、攻撃をしかけようと考えていた。ルイーズとイアンが宇宙人が伝えようとしている言葉を徐々に解明していく中、全面戦争までの時間は刻一刻と迫っていた。

映画メッセージが面白くない理由

ボーダーライン」、「複製された男」、「プリズナーズ」、「ブレードランナー2049」などで知られるドゥニ・ヴィルヌーヴ監督に宇宙人映画です。短編小説「あなたの人生の物語」を基にしているSFの大失敗作で、アメリカ人と宇宙人とのやり取りが大喜利みたいでした。

物語は、突如地球に現れた宇宙人たちと言語学者がコミュニケーションを図り、人間と宇宙人がメッセージを交換し合う様子を映していきます。邦題の「メッセージ」は、原題の「Arrival 到着」とは意味が違いますが、あながち内容とは遠くないです。

遠いのは現実と、この映画で描かれているアメリカ人のほうです。散々テロには屈しないとか、敵とは交渉しないなどと豪語しているアメリカ軍が、問答無用に自分たちのテリトリー内に進入してきた宇宙人に対しては、ホワイトボードに文字を書いて丁寧にコミュニケーションを取ろうとするシュールさがやばいです。

黒人が丸腰で地面に伏せていても容赦なく発砲する奴らが、宇宙人とは冷静に話し合うっていうね。演出は終始もったいぶっていて、登場人物と宇宙人のそうした一連のやり取りを見ているとイライラしてきます。

挙句の果てには「HUMAN(私たちは人間です)」とかペンで書いたりしてるからね。「私はルイーズです、あなたの名前は?」ってスカイプの英会話教師かよ。さっさと宇宙人を撃てよ。いつもすぐ撃つだろうが。

主人公は言語学者であり、大学教授の女ルイーズで、宇宙人との交信役を軍が彼女に依頼します。ここで大きな勘違いしてるんだけど、言語学者と通訳って職種が全然違うからね。言語学者って言語の構造や性質を研究する人たちのことで別に言葉(会話)が堪能な人ってことじゃないからさ。

百歩譲ってルイーズが語学研究の第一人者で、中国語もペルシャ語も、挙句の果てには宇宙人の言葉も話せるようになるくらいの才能の持ち主だとしましょう。たとえそうだとしても、そんな女に宇宙人との交信を依頼しちゃだめでしょ。むしろ人間とほとんどコミュニケーションが取れない奴に依頼しないと。宇宙人なんだから。例えば具志堅用高とか。

設定もダメダメなら、宇宙人のデザインも酷かったですね。散々宇宙人映画を作ってきたくせに宇宙人のデザインにオリジナリティーを出す気が全くない、無頓着さがアメリカっぽいですねぇ。なんですか、あのエイリアンは。7本脚だから「ヘプタポッド」って。外見ただのタコじゃねえかよ。

タコエイリアンのコミュニケーションのとり方がまた吸盤から墨を吐いて円形の文字を描くっていうね。それもどう見ても文字がデジタルなんですよ。これをデザインしたのもやっぱり佐野研二郎ですか?

映画メッセージのネタバレ!ラストが酷すぎる

宇宙人は果たして敵なのか、それとも味方なのか。彼らの目的な一体何なのか、というのが世界中の政府の大きな疑問です。やがて宇宙人と思ったようにコミュニケーションが取れない各国の政府たちは業を煮やし、宇宙船を撃沈させようという決断に至ります。

そんなときも心優しく、平和を望むアメリカ人女のルイーズは攻撃を止めさせようと頑張ります。違うの、待って、彼らは本当は悪い子じゃないのといわんばかりに。

世界中で中国が真っ先に軍を出動させようとしたとき、ルイーズは中国軍の司令官の携帯電話に直接電話をかけて、ペラペラのはずが怪しい片言の中国語でなにやらごにょごにょと言うのでした。

あろうことか、そこでルイーズは、中国人司令官の奥さんが死に際に言った最後の言葉を彼に伝えたそうです。なぜなら彼女はヘプタポッドの言語を学んだことで未来を認識することができるようになったんだって。へえすごいね。

こういうショボショボSFに限って、科学的、専門的な用語を使って、やれ時空を超えた言語だの、宇宙人の言語を人間とシェアすることで時間の概念が変わるだの意味不明なことを言うんだけれど、そのいずれもめちゃくちゃなセオリーだからね。いかにも原作を読んだ奴らがどや顔しそうで嫌だわぁ。

ルイーズの電話を受けた司令官も司令官で、「みんな聞いてくれ、今さっき、アメリカの女から電話があってさ、俺の嫁が死に際に言った言葉を伝えてきたんだよ。すごくねぇ? 俺しか知らないはずなのにそれを知ってるってことは、こいつただ者じゃないよ。これって戦争はやめるべきってことだよ。もう今すぐ撃ち方止めぇ!」となったんでしょうか。

なんでそうなるのかは分かりませんが、こんな感じで直前で宇宙人に対する攻撃を中止し、世界にはまた平和が訪れるのでした。めでたし、めでたし、って。

これで誰が納得するんでしょうか。あそこまで引っ張るんだったら宇宙人と戦争しないと意味ないじゃん。視聴者はそれを待ってるんだから。まだエイリアンと真っ向から戦った「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」のほうがましだよ。

それも最後は家族愛みたいに締めくくりやがってよぉ。ストーリーがめちゃくちゃすぎるだろ。あー、むかつく!

>>「メッセージ」はU-NEXTで視聴できます

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう