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ベイビー・ブローカーはつまらない辻褄崩壊エセ家族ドラマ!ネタバレ感想

この記事は 約5 分で読めます。

海街diary」と同じ匂いのする、雰囲気家族ドラマ。いつもは安定感抜群の監督が盛大にこけてます。13点

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ベイビー・ブローカーのあらすじ

ある晩、ソヨンは赤ちゃんポストが設置されている施設に自分の赤ん坊を捨てる。ポストの反対側には施設で手伝いをしているドンスと相棒のサンヒョンが赤ん坊を横取りし、誰かに売って金を稼ごうとしていた。

ところが翌日、気が変わって赤ん坊を施設まで取り戻しにきたソヨンを見て、警察沙汰になるを避けるためにドンスとサンヒョンはソヨンに白状せざるを得なくなる。

二人はソヨンに赤ん坊を施設に送るよりも自分たちで赤ん坊にふさわしい夫婦を見つけて、暖かい家庭で育ててもらったほうがいいと説得する。こうしてソヨンは半信半疑のまま里親探しをするために二人に付いていくことにする。

ベイビー・ブローカーのキャスト

  • ソン・ガンホ
  • カン・ドンウォン
  • ぺ・ドゥナ
  • イ・ジウン
  • イ・ジュヨン

ベイビー・ブローカーの感想と評価

真実」、「空気人形」、「そして父になる」、「海よりもまだ深く」、「万引き家族」、「三度目の殺人」、「海街diary」などで知られる是枝裕和監督によるオール韓国人キャストによる韓国映画。

設定に無理がありすぎて辻褄が全然合っていない似非家族ドラマ。なんとなくいい話のようで全然いい話になっていない駄作です。

テーマは悪くないです。「赤ちゃんポスト」の存在ってそれがない国ではかなりショッキングなサービスだし、まるで赤ん坊をゴミ箱に捨てるようなその行為とそれを受け入れる施設に対しては賛否両論あるでしょう。さらにこの映画の場合は、その赤ん坊を裏で売買してしまう違法ブローカーを取り上げていて話のネタとしては大変興味深いです。

ところがしかし物語は冒頭からいきなり躓きます。まず、赤ん坊を産んだばかりの若い女性ソヨンが大雨の中、赤ちゃんポストのある施設まで行き、赤ちゃんをポストの中に入れずに施設の前に置いたままその場を去ってしまうんですよ。だったらなんでわざわざポストのあるところまで行くの? 大雨の中、ゴミ箱があるところまでわざわざ歩いて行ったのにゴミ箱にゴミを入れずに道に捨てるみたいな話だよね。

そのことについて触れるシーンもあるにはあるんだけど、結局納得の行く説明になってないし、もうその時点で赤ん坊に対して大して思い入れもないことが分かりますよね。だって施設の人たちが赤ん坊が置かれたことに何十時間も気づかなかったら普通に死んじゃうもん。そんな女が翌日に赤ん坊を捨てたことを後悔して施設に戻ってくるんですよ。私の赤ん坊どこですか?って。「ええ?」じゃないですか。

結局のところソヨンが赤ん坊をどうしたいのかが曖昧すぎて、それがまた心境の変化や母性の芽生えなどという言葉じゃ収まらないくらい別次元のレベルの曖昧さなんですよね。その曖昧さが物語をダメにしちゃってる感がありました。

ソヨンがやってきたことの時系列をまとめるとこうなります。ヤクザの赤ん坊を妊娠する>ヤクザと赤ん坊をめぐって揉めてヤクザを殺す>赤ん坊を赤ちゃんポストに捨てる>母性が芽生えてやっぱり赤ん坊を取り戻したくなり返してもらいに行く>ブローカーたちと赤ん坊の里親を探しに行く。

お前はなにがしたいんだよって。一つも筋が通ってないんですよ。そもそも子供が欲しいと思ったから産んだんじゃないの? それならヤクザを殺す必要ないじゃないですか。たとえ中絶を迫られたって相手が育てる気がなくたって相手を殺しちゃったら自分が育てられなくなるんだから。相手に黙って育てたらいいじゃん。

それに普通、望まれない妊娠をめぐって殺人を犯すのって妻にバレたくない男側じゃない? 万が一女の方が赤ん坊を望んでいなかったら自分から中絶するだろうし。男を殺したって何の解決にもならないじゃん、赤ん坊はもうお腹にいるんだし。だからソヨンの行動が終始ずっと不可解なんですよ。犯罪者の子どもにしないために捨てるしかなかったっていうストーリーラインも矛盾してるし。だいいちお前が自ら犯罪者になるようなことしただけで。

そして矛盾しているプロットをもとにストーリーラインを組んでるから、矛盾がどんどん膨らんで収拾がつかなくなった印象です。里親を品定めし、できるだけ優しくて愛情深い両親に自分の子供を任せたいなんていうふうに将来的なことまで冷静に考えられるお母さんがカッとなって殺人を犯さないから。

この話はソヨンにしてもブローカーの二人にしてもゴリゴリの金目的による行動じゃないと話が成立しないんです。全員極悪人にしないとおかしいんです。

なのになぜか人身売買で金を稼ごうとしている奴らをさも人情味に溢れるキャラにしてるからハチャメチャなことになってるんです。それで赤ん坊の里親を探しているうちにお互いを家族みたいに思うようになってくるってそんな訳ないじゃん。ドンスとサンヒョンはこれまでにも何度も赤ちゃんの売買に関わってきたんでしょ。ほかの赤ちゃんと今回の赤ちゃんはなにがどう違うわけ?

それにドンスとサンヒョンなんてかなり重い罪を犯しているのに常にヘラヘラしているのもひっかかるし、警察に追われていることを知りながらも逃げようとしなかったり、あいつらの修学旅行みたいなノリのせいでシリアスさに欠けるんですよ。里親探している最中、それぞれの仕事はどうしてるんだよっていう話だし。

途中、施設の子供まで里親探しについてきちゃったりして、あんなにガードの甘い犯罪者も珍しいです。

警察も警察で指名手配されている殺人犯を逮捕できるのにみすみす泳がせて、まだ証拠をつかんでいない人身売買のブローカーを現行犯で逮捕するために殺人犯に協力させるって優先順位おかしくない?

ソヨンなんて人殺したのにすぐに刑務所から出てきちゃってるし、彼女が刑務所いる間、なぜか刑事が赤ん坊の面倒を見てたり、なんで刑事がそんな勝手なことできるんだよ。もうなにかも滅茶苦茶だな。

コメント

  1. さくらベイベー より:

    お待ちしてました、この作品のレビューを。
    私も同じく何か不可解と言うか、もやもやしていましたが、簡潔に説明して頂きスッキリしました。
    特に、最後の刑事が里親になっている様な描写で、さすがにそれは変、都合良すぎる、と映画館で思いました。
    「人情味溢れるキャラ」達で見終わった後、何らかの良い映画を観たかの様な余韻はあったのですが…。
    何か変で(つまり、私にはつまらなかった)、これはリピート無いし、皆んなもそうだろうな、と。
    実際、それ程は売れてないと思います。
    今回は残念でしたが、監督にはまた刺激的な良い作品を撮って欲しいと思いました。

    • 映画男 より:

      是枝監督はたまに事故りますね。それでもいい監督には違いないので、期待しちゃいますね。、

  2. きのこ食べ過ぎ より:

    NHKでやっていたケン・ローチ監督との対談でも触れていますが、ここ最近の是枝作品におけるテーマは「血縁無き家族の可能性」です。
    「そして父になる」や「万引き家族」が一番分かりやすいと思いますが、多分この作品もその流れで撮られています。
    だから「社会派」映画としてリアリティが欠けていても、そのテーマがしっかり語られていれば良いのですが、主さんの指摘された通りプロットが雑過ぎるのと、登場人物やエピソードが無駄に多すぎる事がテーマ描写を阻害して意味不明な作品になっていると思います。

    • 映画男 より:

      プロットが雑だったし、確かに登場人物が多すぎて、それぞれに背景を持たせようとしているのでメインテーマを邪魔していましたね。