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海よりもまだ深く

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umiyorimofukaku

空気人形」、「海よりもまだ深く」、「三度目の殺人」などで知られる是枝裕和監督によるリアリティー溢れる家族ドラマ。これまでの作品とは打って変わってユーモアに富んだ、笑えて、ほのぼのして、心優しくなれる作品。79点(100点満点)

海よりもまだ深くのあらすじ

15年前に1度だけ文学賞を受賞したことのある良多(阿部寛)は、「小説のための取材」と理由を付けて探偵事務所で働いている。

良多は離婚した元妻の響子(真木よう子)への思いを捨てきれず、響子に新しく恋人ができたことにぼうぜんとしていた。良多、響子、息子の真悟(吉澤太陽)は、良多の母・淑子(樹木希林)の家に偶然集まったある日、台風の一夜を皆で過ごすことになり……。

シネマトゥデイより

海よりもまだ深くの感想

海街diary」の大失態を乗り越えて、またまた是枝裕和監督がやってくれましたね。素直で、真っ直ぐで、心温まる素晴らしい作品でした。

日常の風景と少ないハプニングだけで一本の映画を仕上げてしまう作風には感服します。脚本、演技、演出、どれも素晴らしく、日本的な家族のあり方をとても上手く表現していました。これ、外国人に見せてみたいなあ。理解できるかなあ。無理かもなあ。

ストーリーは、東京の団地とそこに住む母を取り囲むように進行していきます。息子の良太はバツイチ子持ちで、離婚した妻に未練タラタラ。あわよくば復縁を願っています。

しかし良太は勤務する探偵事務所で客からお金をせびったり、せっかく稼いだお金をギャンブルで使ってしまったりと、ダメ男ぶり全開で生きています。

探偵をやる傍ら小説家としての夢を捨てきれず、編集者をあたってみるものの、一向になりたい自分になれない良太。そんな彼は亡くなった父親の影を感じながら、自分の息子真悟の前では精一杯父親ぶる、というのがおおよそのストーリーラインです。

主人公良太を演じた阿部寛のダメ男キャラが自然体で、憎めない男を好演していましたね。母親役を演じた樹木希林も阿部寛の良さを最大限に引き出していました。毎度のこと演技が上手すぎて、ちょっと反則のレベルです。あんな演技、他の女優だったら誰もできないでしょう。

母と息子の関係は深い優しさを感じさせます。自分に息子ができ、また父親という存在を失くしてやっと本音で母親と語りあえるようになったかのような雰囲気が二人の間にはありました。

日本の男が素直に母親と接することができるのは、あのぐらいの年齢になってからなのかもなぁ、という思いにさせられましたね。変に甘えすぎず、かといって冷たくするわけでもない、あの母子の距離感を再現しているのはすごいですね。

離婚した夫婦の関係はだいぶ現代化、西洋化したなあ、という感じを受けました。日本では離婚したら親権を持った者が子供を独占して当たり前のような雰囲気がありますよね。いまだに僕の日本の友人でも離婚した人は子供に会わせてもらえない、という人が結構います。

僕も両親が離婚したせいで、離婚後父親に15年以上会えませんでした。僕がすっかりいい大人になった現在でも父親に会いに行くときは母親に黙って行かないといけないような雰囲気があって面倒くさいです。じゃないと機嫌損ねるから。

DV癖のある親とかじゃない限り、子供の父親、あるいは母親と接見禁止みたいにしている元夫婦って幼稚ですよね。自分たちの関係が破綻したことに子供を巻き込むなっつーの。

その点、少なくともこの映画の中では主人公が月に一度息子と元嫁と再会し、”家族の時間”を持つようにしているのが新鮮でした。日本も段々とああなってきているのでしょうか?

元妻、響子を演じた真木よう子も現実的なシングルマザーを上手く演じていましたね。元旦那に対する嫌悪感の出し方や徐々に元旦那に心を開いて自分の心境を打ち明けていくまでの過程がリアルです。子役の男の子もいいですね。是枝裕和監督は子役の使い方が本当に上手いなぁ。子供の純粋さや可愛らしさを利用しないところが素敵です。

僕は東京の団地で育ちで、父親がダメ親父だったので、最初から最後まで物語が他人ごとのようには感じられなかったです。おそらく僕のようについつい自分に重ねあわせてしまう視聴者がたくさんいたんじゃないでしょうか。それぐらいリアルな情景がありました。

かといって感動するとか、泣くとか、そういう映画じゃないのがまたいいです。何事もなかったかのように終わっていく。ハッピーエンドでもなければ悲劇でもない。でもどちらかというと前向き、という絶妙なラインを行っていました。是枝裕和監督にはこれからもこの調子で映画を作っていってもらいたいですね。

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コメント

  1. メイプル より:

    「俺はまだ本気出してないだけ」に阿部寛出ていましたっけ?

    • 映画男 映画男 より:

      ご指摘ありがとうございます。堤真一と勘違いしておりました。訂正いたしました。