マリッジ・ストーリーは上質の離婚ドラマ!感想とネタバレ

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会話重視で話が進んでいく、大人の人間ドラマ。細かい人物描写や男女の複雑な関係性を見て楽しむ芸術路線の映画です。70点(100点満点)

マリッジ・ストーリーのあらすじ

『マリッジ・ストーリー』予告編 – Netflix

チャーリーはニューヨークで舞台劇監督として成功していた。劇団には妻のニコールも女優として参加し、順風満帆かと思われた。

しかし二人の関係性は悪化し、収拾がつかなくなっていた。カウンセラーはお互いのいいところを手紙に書いて読むように提案したが、ニコールがそれを拒絶した。

そんな中、ニコールはLAでテレビドラマの役を得たのをきっかけに息子のヘンリーを連れて引っ越してしまう。

仕事が終わったらすぐにニューヨークに帰ってくるものだと思っていたチャンリーは後にニコールがニューヨークに戻ってくる気がないことを知る。

二人は最初、離婚についてはお互いに話し合いで決めると約束していたものの、友人の勧めでニコールが敏腕弁護士を雇ったのをきっかけにヘンリーの親権をめぐって泥沼の離婚劇へと発展していく。

マリッジ・ストーリーのキャスト

  • スカーレット・ヨハンソン
  • アダム・ドライヴァー
  •  ローラ・ダーン
  • アラン・アルダ
  • レイ・リオッタ
  • アジー・ロバートソン
  •  メリット・ウェヴァー

マリッジ・ストーリーの感想と評価

イカとクジラ」、「フランシス・ハ」、「ヤング・アダルト・ニューヨーク」などでお馴染みのノア・バームバック監督による離婚ドラマ。

スカーレット・ヨハンソンとアダム・ドライヴァーが、破局をきっかけに息子を取り合う両親を演じた、リアルな物語です。

シリアスさの中にもユーモアが散りばめられているせいで一見緩い離婚劇のように見えたりもします。

そうかと思えば見ているこっちまで悲しくやるせなくなる感情的なシーンがあったりと、なかなか見ごたえのある作品に仕上がっていました。

ハリウッド映画の離婚映画といえば、僕が真っ先に思い浮かぶのは「クレイマー、クレイマー」と「ストーリー・オブ・ラブ」ですかね。

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この映画はそれらの映画と並ぶくらい、かつて愛し合っていた者同士の別れをうまく描いていたように感じました。

特に弁護士を通して話をする段階になったときの泥沼感は絶妙でしたね。最初は離婚しても友達のままでいたいし、話し合いでなんとかしましょう、というノリだったのに第三者が介入しだした途端に金が絡みだし、弁護士の思惑が絡みだし、裁判で勝つためにただ相手を傷つけるだけの泥仕合いになる、というのがリアルでした。

アメリカの離婚弁護士って本当にあんなゲスいタイプしかいないんじゃないの?と思わせるものがありますね。

それにさすが訴訟大国アメリカだけに裁判費用の高さといったらないですね。二人で話し合いで解決できれば安くすむのに息子の親権をかけて優位性を争ったがために二人の懐事情がどんどん厳しくなっていくのがなんとも皮肉でした。

離婚した両親が別々の州で生活している、というのがこの映画の一つのポイントです。

同じ州や都市で生活していればたとえ離婚したとしても共同親権を持つことが可能なのに対し、お母さんがLA、お父さんがニューヨークといったふうに距離ができたことで出費もかさみ、また親権を失えば最愛の息子と会うのが難しくなることを意味しているからです。

日本でも北海道と沖縄で離婚したらなかなか会いに行けないでしょうね。それを考えると、離婚後の両親の生活拠点もしっかり考えないといけない問題ですね。

しかし両親が争えば争うほど、本来息子の養育費や教育費に回せるお金が消えていき、息子のために戦っているはずが、実はその逆になってしまうのも離婚裁判ならではです。

子供のために戦っているというのはあくまでも建前で、本当は子供を相手に奪われたくない、または自分の側に置いておきたい、といったエゴの戦いに終始し、そんな状況を絶妙に表現していました。

最大の見せ場はスカーレット・ヨハンソンとアダム・ドライヴァーが冷静に話し合いましょうといって、アパートで話し合いを始めるものの、やっぱり感情的になってしまう長回しのシーンです。あのシーンだけで5分から10分ぐらいあるんじゃないかなぁ。

ノア・バームバック監督はほかの作品でもそうですが、普通の会話のシーンでもただ会話をさせるだけじゃないんですよね。登場人物がそれぞれ何かをしながら会話が進んで行ったりして、その流れがとても自然です。

前述の口論のシーンでは元夫と元妻が怒りながらキッチンや部屋を行ったり来たりするんですが、何回リハーサルしたらあんなふうに自然にできるのかなぁ、というぐらい、見事な流れでした。

また、スカーレット・ヨハンソンは大根役者の汚名をこの作品で返上できた、といっても過言ではないです。ただのセクシー女優じゃなくなりましたね。見方が変わりました。

悔し泣き演技や罵り演技はもちろん、意地悪な女になる難しい演技もちゃんとこなしていましたね。

これ女性が見たらどう思うんだろう。僕からしたらニコールがすごい意地悪で、ずるい女に見えたんだけど、女性からしたらニコールの気持ちが分かって、チャーリーの浮気のほうが許せないってなるのかなぁ。

2時間16分と長い映画なんですが、ほとんど二人の会話だけでストーリーが構成されていました。それでも飽きなかったし、それだけ脚本がよくできています。無駄なシーンはそんなになかったですね。強いていうならアダム・ドライヴァーの歌唱シーンぐらいかな。

リアルすぎて離婚を経験した人が見たら感動する前につらい過去を思い出しては滅入っちゃうかもしれません。結婚を間近に控えている人にもおすすめしませんね。でもいい映画であることには違いないです。

コメント

  1. 20191207 より:

    歌のシーンは白眉でした。前に歌っていた黒人の人が上手く聞こえなかったので上手い仕掛けだと思いました。

  2. スプーンねえさん より:

    ニコールずるかったですよねー。同性として気持ちも分からないではなかったけど、ほぼチャーリーに感情移入して観てしまいました。だからめっちゃ疲れた…。。。でも最後はホロリときてしまい、ノア・バームバック作品の中では二番めに好きな映画になりました。これ絶対、監督の実体験もありますよね?ジェニファー・ジェイソンリーともこんな泥沼だったのかな。
    ニコールはわざと心を鬼にしたんでしょうね。どこかでまだ迷ってる自分が怖かったから。
    でも彼にとってNYが人生の基盤なのに、 親権欲しいならLAに住めなんて、流石に酷いと思うけど。チャーリーと同情気味の義母との関係もリアルでした。あとローラ・ダーンの完璧な母親についてのセリフが一生忘れられませんね。結局はそうなんだよねー…なんて実際思います。でもそんなダメな自分の唯一の味方はやっぱ夫なんですよね。別れたけどニコールにもその愛情はずっと残ってるんだって伝わってきました。

    • 映画男映画男 より:

      最後チャーリーがニコールの手紙を読むシーンにはぐっと来ましたね。それにしてもニコールはずるかった。