ハチ公物語に並ぶ、アラスカを舞台にした人間と犬の絆を描いた感動作。ちょっといい話です。72点
映画トーゴーのあらすじ
1925年、レナード・セパラの住むアラスカ州の小さな町ノームでジフテリアが流行した。多くの子供たちが病気になり、一刻の予断も許さない状況だった。
ノームにはジフテリアの治療薬がなかった。悪天候の中、飛行機を飛ばすこともできなかったために町一番の犬ぞりのレーサーであるレナード・セパラが、別の町まで血清を取りに行くしかなかった。
外は激しいブリザードが吹き荒れ、その中を移動するのはまさに命がけだった。レナード・セパラは老犬であり、愛犬のトーゴーを先頭に立てて吹雪の中、犬たちと危険な旅に出る。
映画トーゴーのキャスト
- ウィレム・デフォー
- ジュリアンヌ・ニコルソン
- クリストファー・ハイアーダール
- リチャード・ドーマー
- マイケル・グレイアイズ
映画トーゴーの感想と評価
「X-ミッション」のエリクソン・コア監督による、実話をもとにした人間と犬の友情ドラマ。ジフテリアの血清を町の人々に届けるため、命がけでアラスカの大地を走った男と犬たちのサバイバル劇です。
子供たちを救うために血清を取りに悪天候の中、雪山や氷の大地をひた走る、という単純明快なストーリーがよく、犬を思う人間たち、そして人間に忠実でひたむきに任務をこなす犬たちに感情移入しやすかったです。
犬好きなら感動するだろうし、犬が特に好きじゃなくても心を持っていかれるんじゃないでしょうか。
映像の多くはCG頼りでやや残念です。それに対し、少なくとも犬たちの登場のシーンの多くは実物の犬が演じていました。「ジャングルブック」、「ライオンキング」、「野性の呼び声」など最近の動物映画はフルCGということも少なくないのでまだ犬だけでも実物なのがましですね。
タイトルのトーゴーは犬の名前で、これは日本人のアドミラル・トーゴーこと東郷平八郎が由来だそうです。
犬のトーゴーはやんちゃなシベリアン・ハスキーで子供の頃から暴れん坊でした。レナード・セパラは世話の焼けるトーゴーを何度も人に譲ろうとしたものの、その度に彼は家に帰ってきてしまいます。
体が小さい頃からトーゴーは足が速く、犬ぞりに加わりたがっては犬たちの秩序を乱します。犬たちには厳しい序列があるのにも関わらず、トーゴーはそれを無視して先頭に立とうとするのでした。
そんなトーゴーも大人になると、立派な犬に育ち、犬ぞりのリーダーとしてほかの犬たちを先導するようになります。そしてやがてトーゴーは伝染病の血清を人々に届けるために重要な役割を果たす、というのが物語のあらすじです。
手が付けられないほど、暴れん坊だった犬がやがて賢い強靭な精神力を持った犬に成長していく過程はなかなか面白かったです。
トーゴーはもともと足が速かったし、成長したというよりも、生まれつきのそり犬だったといえるかもしれませんね。それもただのそり犬ではなく、先頭を走るリード犬です。
小さなときから全然言うことを聞かず、決して物怖じしなかったのはある意味リーダーになる資質だったともいえそうです。
驚きなのは血清のために何百マイルも雪の中を走ったとき実際のトーゴーも12歳だった、ということです。年齢を考えても普通の犬の精神力や体力じゃないことが分かりますね。
年齢以外でも劇中に描かれていたことは大部分が実際に起こったことに忠実らしく、例えば、トーゴーが窓ガラスを割って逃亡し、レナード・セパラのもとへと戻った下りは実際にあったんだそうです。血だらけになりながら主人のもとに帰るとかワイルドすぎるな。
ただ、さすがに氷の地面がバキバキに割れるシーンはやりすぎでしょう。あんなリスクを冒したらダメだろ。
雪山の傾斜も急すぎるし、後一歩で崖に落ちるみたいな自然のシーンはもれなく脚色しているような気配がありました。
また、実際には血清レースを終えた後、レナード・セパラはトーゴーを友人に譲り、トーゴーはそこでのんびり余生を過ごしたそうです。
といった具合にところどころでフィクションが入っているようですが、たとえそうだしてもなかなか素敵な話だったし、そんなに嘘っぽくは感じなかったです。
それにしてもレナード・セパラ本人と彼を演じたウィレム・デフォー似すぎじゃない?
また、トーゴー役の犬もトーゴーの血を引いた本物の子孫らしいです。この映画を見てシベリアンハスキーを飼いたくなった、あるいは実際に飼ったという人も絶対にいるでしょうね。
かくいう僕も飼いたくなりました。今は都会の小さなアパート暮らしなので現実的に難しいですが、いつかもうちょっと大きな家に住んだら賢い犬を飼いたいなぁ。そんなふうに思わせる映画でした。
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