パラサイト半地下の家族は爆笑スリラー!感想とネタバレ

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見る者を爆笑から恐怖へと導く、新感覚の韓国映画。芸術度よりもエンタメ度のほうがはるかに高い作品です。77点(100点満点)

パラサイト半地下の家族のあらすじ

Parasite 기생충 – Official Trailer

失業中の運転手のキテクは、妻のチョンソクと息子のギウ、そして娘のギジョンと4人で半地下の汚くて小さなアパートでその日暮らをしていた。

ネットは隣人のWiFiの電波を使い、小銭をもらうためにピザの空箱を組み立てたり、となんとか凌いでいたが、それも限界だった。

そんなとき、息子のギウは友人の紹介で、裕福な家庭での英語の家庭教師の仕事を紹介される。大学には行っていなかったギウだったが経歴を詐称していざ面接に行く。

その家は有名な建築家が建てた豪邸だった。家政婦がギウを出迎え、ギウはさっそく美人妻のヨンキョと面接をすることになった。

ギウは適当に嘘をついて質問を交わし、その日のうちにヨンキョの娘ダヘの授業をすることに。するとダへはギウのことを気に入り、たちまち恋に落ちてしまう。

こうして徐々に家族から信頼を得ていったギウは、ダへの弟ダソンがアートの家庭教師を必要としていることを知ると、いい先生がいるといって自分の妹ギジョンをアメリカ帰りのアートの教師だと偽って紹介する。

それを皮切りにギウは父親を運転手、母親を家政婦として呼び寄せ、家族全員で身分を偽りながら大富豪の家にお世話になることにする。

パラサイト半地下の家族のキャスト

  • ソン・ガンホ
  • イ・ソンギュン
  • チョ・ヨジョン
  • チェ・ウシク
  • パク・ソダム
  •  チャン・ヘジン

パラサイト半地下の家族の感想とあらすじ

ほえる犬は噛まない」、「殺人の追憶」、「母なる証明」、「グエムル-漢江の怪物」、「スノーピアサー」、「オクジャ」、「Tokyo!」などで知られるポン・ジュノ監督によるブラックコメディースリラー。韓国映画として初めてカンヌ映画祭パルム・ドール受賞した作品です。

貧乏な家族が身分を偽って使用人として金持ちの家族に入り込み、寄生していく様子を描いた笑える話で、映画館で見たらほかの観客たちと一緒に爆笑できるやつです。

タイトルの「パラサイト」というのが的を射ていて、嘘を並べて裕福な家族の恩恵をあずかろうとするポンコツ一家の行動やストーリーはコントそのものでした。

キャストの演技はいいし、脚本は素晴らしいし、ストーリー構成が見事です。ずっとコメディータッチで進んでいった末に終盤に急展開を見せて怖い話になっていく大胆な仕掛けには驚かされました。

コメディーとスリラーの融合がここまで上手くいったのはすごく珍しいんじゃないかな? ポン・ジュノ監督だからこそできたんでしょうね。

序盤の見どころは、いかにして貧乏一家が家族全員を潜入させるために悪知恵を働かせるのかという部分です。それに対し、中盤では豪邸の中でリアル隠れん坊みたいな展開を作って笑いにしていました。

特にキャンプで金持ち家族が家を空けたときに貧乏一家が調子に乗ってやりたい放題やる下りはアホでいいですね。

高い酒を開け、冷蔵庫の中の物を食べ、まるで自分たちが富を手に入れたかのようにパーティーをしちゃう幼稚さがバカで最高でした。

僕の住むブラジルでも余裕のある家族は家政婦や使用人を雇うことは一般的なので、よくメイドたちがやらかしたエピソードを耳にします。

物を盗むのは当たり前。仕事には来たり来なかったり。首にすると逆にメイドから労働裁判に訴えられる、といったことも珍しくありません。

中には、家族が家を留守にしている間にペイパービューのエロチャンネルを視聴しまくっていたメイドもいました。小さな子供が家にいるときにもこっそり見ていたようで、ある日ものすごい額の請求が来て気づいたそうです。なにするか分からないから怖いんだよなぁ。

パラサイト系の人間ってある時ふと、人の物は自分の物みたいな錯覚を覚えるふしがあるのか、この映画の中でも登場人物たちはあるところからとことん奪ってやろうという間違ったハングリー精神を燃やしていきますよね。あれがコミカルであると同時にリアルでした。

話がコメディーからスリラーに途中で切り替わったのは、むしろそうする以外話にオチを付けるのが難しかったからともいえそうですね。じゃないと永遠に家族が豪邸で働くだけの話になっちゃうしね。

一方で芸術性にはそれほど長けていない、と僕は感じました。エンタメ映画としてはすごく面白かったけど、カンヌ映画祭とは不釣り合いだなぁ、と正直思いましたね。

たとえ韓国をはじめとする世界における富裕層と貧困層の格差社会への皮肉や風刺と解釈したとしても、やはり笑いの要素が強すぎて、メッセージ性や芸術性は大分封印されていたのではないでしょうか。

いずれにしてもおすすめの韓国映画であることには違いないです。国際映画祭系の作品に興味がない人でもこれは楽しめるはずです。

コメント

  1. いよいよ より:

    日本公開楽しみです
    紹介ありがとうございます

  2. high-low より:

    先行上映で観てきました!映画男さんの記事を読み、楽しみにしておりましたが、期待通りの面白さでした。
    脚本もさることながら、演出やロケ地選定も素晴らしかったです。動きの多い展開は、何となく「スリー・ビルボード」を想起しました。

    私的には、「殺人の追憶」の方がインパクトがありましたが、いずれもスリラー映画の傑作ですね。

  3. 映画にわか より:

    これは私は凄く面白かったです!ドキドキできる映画久しぶりでした。

  4. ほぐし水 より:

    こちらのレビューで公開を楽しみにしていました!
    観終わった後、しばらく客席でぼーっとしてしまいました。

    でも、ダメだけどちょっと憎めないお父さんと家族の話って、
    あるあるかもだけど、なんか良い。。
    あと、台湾カステラを食べたくなりました。あのふわっとした、
    韓国ではブームになって、あっという間だったのかな、、

    • 映画男映画男 より:

      見ていただけて嬉しいです。あの父親はダメ親父でしたねぇ。なにげに食事のシーンも印象的でしたよね。

  5. 通りすがり より:

    作品のレビューに関しては、映画男さんの仰る通りで特に付け加える事はありません。監督の性質について述べるなら「エンタメ映画作りの才能に秀でたマイルド左翼監督」というのが正解でしょう。「スノーピアサー」評でも仰られていた記憶がありますが、作品内で「貧困」や「環境問題」を描くにしても、この監督の場合はそれらに対する認識が非常に通俗的です。つまり、監督としてはA級なんですが、左翼思想家としてはB級なんです。
    社会問題を取り上げる場合、「個人の問題」「企業の問題」「地方行政の問題」「国家政策」の問題と、問題の論点を絞って語らなければ単なる「社会が悪い」「世界が悪い」等の床屋の政治談議レベルに堕してしまうので、本来「劇映画」には適さないと思いますが、「社会派映画」を撮りたがる監督には往々にしてその問題意識が欠けるきらいがあります。
    最近観たケン・ローチ監督の「家族を想うとき」は割と良質な社会派映画でしたが、やはりそういった欠点を克服できていません。一方で、ポンジュノ監督は作品中で「貧困問題」をしょっちゅう描くのですが、一口に「貧困問題」といっても、それは国や地域によって問題の性質が個別具体的に異なるので、それを「普遍的」視点で語る事は本来できないわけですし、そんな視点に意味はないと思います。韓国に関して言えば、「格差社会」の根底には「財閥問題」があるはずなのですが、この監督の場合、そこにナイフをグサッと刺す事はしない、それが映画男さんの言う「芸術性・社会批判性」に欠ける原因なのだと思います。