2016/03/12

アモーレス・ぺロス(原題 Amores Perros)


85点(100点満点)

ストーリー
スーパーで働く傍ら遊ぶ金欲しさに強盗を働くラミーロと闘犬でボロ儲けしているオクタビオは、実の兄弟でありながら犬猿の仲。オクタビオは兄の妻スサーナに恋心を抱き、金を貯めて彼女と駆け落ちする計画を持ちかける。人気モデルのバレリアは妻子持ちの雑誌編集長ダニエルと不倫中。愛犬とともにダニエルと同棲を始めるバレリアだが、突然愛犬が姿を消してしまう。たくさんの犬を連れてリヤカーを引いて歩くエル・チーボはただの浮浪者に見えるが、実はやり手の殺し屋という過去を持つ。そんな彼にある日、殺人の依頼が舞い込む。メキシコシティーを舞台に犬と交通事故を巡って3つのストーリーが重なり合う。それぞれが満たされない愛に悩まされながらドロ臭く、ずる賢く生きる道を選ぶ。たとえその先に悲劇が待っていようと。

文句
バベル」、「ビューティフル」で知られるアレハンドロ・イニャリトゥ監督の名を世界に知らしめた名作。ストーリー構成がすばらしく、テーマに沿って見事に3つの話をつなげることに成功している。メキシコのグループによるロックやヒップホップなどのBGMも効果的。特に挿入歌の「Lucha de Gigantes」は上手くはまっている。映像もかなり凝っていて安っぽいさが全くない。発展途上国のメキシコでわずか200万ドルの制作費の中でここまでクオリティーの高い映画を作ったのはすごすぎる。

あえて名作に文句をつけるなら、少しビジュアルにこだわりすぎていたというのがクセものだった。俳優陣があまりにも美男美女揃いのためメキシコ的ではなく、ハリウッド寄りになってしまった感がありますね。アレハンドロ監督は最初からハリウッド進出を意識して映画を作っていたんじゃないかと思います。混血やインディオの子孫が大部分を占めるメキシコで登場人物のほとんどを白人にしたというのが何よりの証拠ですね。見所のシーンはオクタビオが兄の妻スサーナとセックスするシーン。赤ん坊の目の前でやるシーンと洗濯場でやるシーンがあるけど、「兄の妻と不倫」という日本のエロビデオみたいな設定は嫌いじゃないです。スサーナは一見押しに弱い、無垢な女に見えるけどあれは魔性の女。全部計算でやっています。自分からは手は出さないけど、男に手を出させるように仕向けるのが上手い、そういうタイプが一番怖い。

洗濯場で交わるシーンがこの映画のメインだと言ってもいいでしょう。あのシーンと同時に挿入歌が入り、その後のストーリーを左右する様々な出来事が起こるところからしても監督があのシーンを一つの区切りにしていたことはまず間違いないです。このシーンで一番印象的だったのは、気持ちのいいはずのセックスをしているのにオクタビオがなんだか悲しそうな顔をしていたところ。「ああ、俺って馬鹿だなあ、なんでこんな悪い女に惚れてしまったんだよ、本当に馬鹿だよ俺って」という気持ちになっていたんでしょう。悪い女に惚れたことのある男なら彼の悲しみがよく分かるはずです。

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