ちょっと今から仕事やめてくる

最初はいいのに途中から急にリアリティーを失う惜しい映画。映像にも演出にもセンスが感じられません。30点(100点満点)

映画ちょっと今から仕事やめてくるのあらすじ

激務により心も体も疲れ果ててしまった青山隆(工藤阿須加)は、意識を失い電車にはねられそうになったところをヤマモト(福士蒼汰)と名乗る男に助けられる。幼なじみだという彼に心当たりのない隆だが、ヤマモトに出会ってから仕事は順調にいき明るさも戻ってきた。ある日隆は、ヤマモトが3年前に自殺していたことを知り……。

シネマトゥデイより

映画ちょっと今から仕事やめてくるの感想

同名小説の映画化で、「八日目の蝉」などで知られる成島出監督による友情ドラマ。

ブラック企業で営業職をしている主人公が心の病を抱え、自殺を図ろうとしていたところ、ひょんなことから出会った陽気な青年に救われ、友情を育んでいく物語です。

題材は悪くないし、ブラック企業の描き方もリアルなのに、余計なエピソードのせいで全体のバランスを崩し、途中で起き上がれなくなるのが残念。

前半部分はブラック企業のあるあるエピソードに終始します。主人公、青山隆の上司は社員たちから恐れられるパワハラ男で朝礼では「有給なんていりません」、「折れる心なんて持ちません」などといった社訓を大声で言わせるほど、日々社員たちを洗脳していきます。

上司は毎日のように暴言は吐くは、物は蹴るは、部下の頭は叩くはでやりたい放題。社内にはそれが普通だといったような雰囲気すらあります。

社員に求められるのは数字だけで、そこに人間味や思いやりといったものは存在しません。もちろん社員の健康や心のケアはそっちのけ。

そんな中で営業を担当している青山隆は怒られながらも契約を取ってこようと必死になります。しかし仕事は上手く行かず、やがて大きなミスをしてしまいます。

それがきっかけでますます会社に行くのが嫌になった彼はついに自殺を図ろうとする、という話の流れは日本社会の現実を映し出しているといえるでしょう。

そこまでは十分に見られる映画なのに突然ストーリーは思わぬ方向転換を見せます。まず、青山隆の命を彼の同級生だと名乗るヤマモトが助け、そこから二人が急接近して、友情を深めるといううそ臭い展開。

現実だと東京の地下鉄で人身事故が起きても助けたり、哀れに思うどころか「ふざけんなよ、会社に遅れるじゃねえかよ」と思う人の方が多いんじゃないですか?

社会の闇を描くならもっと徹底的にそういう人々の冷たさを描いてもよかったんですけどね。

ヤマモトの存在自体がこの映画をぶち壊してるといっても過言ではなく、エセ関西弁もそうだし、中途半端なポジティブシンキングや、必要以上にベタベタしてくる彼の性格がこの映画をリアリティー路線から大きく脱線させていました。

そしてせっかくブラック企業に見切りをつけて主人公が新たな人生を歩んでいくという筋書きができていたのに、いつのまにか物語の焦点が、ヤマモトは一体何者なのかに摩り替わってしまったのには唖然としましたね。

実はヤマモトは双子だったってなんだそれ。双子にしたら容姿が似ていることは何でも許されると思うなよ。どうせなら六つ子にしろよ。

バヌアツの部分もいらないでしょ。バヌアツの子供は貧しいけれど、笑顔を絶やさなくて幸せだという決めつけがいかにも上から目線の日本人的で嫌ですね。「幸せの経済学」みたいな話になってるじゃん。

バヌアツにも不幸な人いるし、日本にも幸せな人たくさんいるから。海の綺麗な南の島に行けば問題は解決すると思っているあたりが馬鹿で、こういうのに影響されて、「ちょっと今からバヌアツ行って来る」とか言い出す奴がいそうで怖いです。

あのな。お前の会社がブラックなのとバヌアツはなんの関係もないからな。

>>「ちょっと今から仕事やめてくる」はdTVで視聴できます

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