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映画愛する人は感動の家族ドラマ!ネタバレと感想と評価

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この記事は 約4 分で読めます。

バベル」でお馴染みのアレハンドロ・イニャリトゥ製作総指揮、「彼女を見ればわかること」、「美しい人」で知られるロドリゴ・ガルシア監督の群像劇。切っても切れぬ母子のきずなを描いた名作です。90点(100点満点)

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映画「愛する人」のあらすじ

年老いた母親を介護し、毎日忙しく働いているカレン(アネット・ベニング)。そんな彼女には、14歳で妊娠・出産するものの、やむを得ず子どもを手放した過去があった。一方、母を知らずに育ち、弁護士としての輝かしいキャリアを持つ37歳のエリザベス(ナオミ・ワッツ)は、思わぬ妊娠をきっかけに母への慕情を意識し始める。

(シネマトゥデイより)

映画「愛する人」の感想

練りに練られた緻密なストーリー、他のシーンにつながるセリフ、見る者に期待を抱かせる展開、そしてなにより僕が大好きな同監督の傑作「彼女を見ればわかること」をモチーフにした類似シーンを次々と織り込んでいることにすさまじい感動と共感を覚えました。

そうか、やっぱりこの監督はあの時に戻りたかったんだな、いろいろ寄り道したけど、原点が一番大事だということに気がづいたんだな、と思い、もしやこの映画は僕のために作ってくれたんじゃないのか、なんて錯覚しそうになりました。それだけこの映画は、はまる人には個人的なメッセージ性を含んでいると言えます。

いやあ、たくさんの名シーン、名演技があったのでどれを挙げればいいのか困ってしまいますね。オムニバス風な要素を持ち、同時進行形で様々な出来事が進んでいくために、この映画には誰が「主役」という枠がなく、また、そのおかけで出演者の誰をも、実に公平に客観的に見られるしかけになっているのがさすがでした。

ベッドシーンではナオミ・ワッツがいつも通り、悪くていい女を演じきってしましたねえ。しかしまた、ベッドシーンにしてもこの映画の場合、ただ視聴者の目を引くためのものではなく、後々のストーリーの重要なカギになってくるシーンなわけで、また、そういうシーンだからこそ見ている方は燃えるんです。

ナオミ・ワッツ扮するエリザベスは家族もいない、友達もいないような孤独な女だから、心の穴を埋めるべく男を貪ります。上司の男ともやるし、お隣さんの旦那も寝とってしまう。

幸せな人間に対してひがみがあるから、自分のパンティーをお隣さん夫婦のアパートにわざと置いていったりなどという怖いことも平気でしてしまう。ベッドでも生き方と一緒で自分で全部主導権を握ろうとする。そして最後はなにかを恐れるように自分から身を引くという性格も彼女の生い立ちに基づいた行動といえるでしょう。

ロドリゴ・ガルシア監督恐るべしというシーンが、エリザベスが二度目にお隣さん夫婦とばったり廊下で会ったときです。そのときエリザベスは会社の上司と一緒でした。

そのシーンでは後にお隣さんの旦那を寝盗ることを予兆させるかのように、エリザベスは前に会った時は挨拶した程度なのになぜか旦那の名前だけはしっかりと覚えていて、自分の上司に「彼はお隣に住むスティーブンよ」などといって紹介したのです。

だけど奥さんの名前だけは「ごめんなさい、名前なんでしたっけ」と聞きかえす。あのシーンは強烈でした。もしかすると、あれは奥さんに対して嫌がらせのつもりで、わざと旦那の名前だけ覚えている、という意地悪をやってのけたとも考えられます。うーん、どうだろう。

とにかくその辺のひとつひとつのやり取りが細かい。だからもう一度見てみようという気になりますね。

「彼女を見ればわかること」を彷彿させるシーンは多々あって、カレンが自分の老いた母親を介護するシーン、上司とのベッドシーン、産婦人科のシーン、盲目の少女とのエレベーターのシーンなどなどで、そういうモチーフシーンを見比べるのも楽しいです。この映画の鑑賞前、もしくは鑑賞後に「彼女を見ればわかること」を見ることを強くお勧めします。

以前に一度このブログで、同監督ロドリゴ・ガルシアを一発屋だと批判したことをお詫び申し上げます。ロドリゴ・ガルシアは一発屋ではなく、二発屋でした。まさか「彼女を見ればわかること」から10年も待たされるとはなあ。

コメント

  1. mamarin42 より:

    これは私もみてみたい。『彼女を見ればわかること』は気になっていましたが、観ずじまいで。
    ツタヤで両方探して見ますね。

  2. eigaotoko より:

    mamarin42さん
    いつもコメントありがとうございます。「彼女を見れば分かること」は大好きな映画のひとつで、何度も観てしまいました。ぜひ一度観てみてください。

  3. 森 悦孝 より:

    最近知ったんですが、ナオミワッツさんの妊婦のシーンは、実際に2番目のお子さんがお腹にいると時に撮影されたそうですね。全く特殊メイクには見えなかったし、代役を使ってると勝手に思ってました。
    盲目の少女の役割りも、ラストシーンに繋がるし、エレベーターのシーンも「彼女を見れば分かること」を思い出しました。また、観たくなりました。
    最近、このブログを見てDVDを借りてくるようになってから、うちのかみさんは「どうしたん、最近まともな映画ばかり借りて来て、面白い面白い」と好評価です。

  4. かりんとう より:

    はじめておじゃましました
    映画を観た感動を自身のブログに書いていてあなた様のこちらのページを知りました
    映画のことは全然知らない私ですが楽しく読ませていただきました
    事後承諾で恐縮ですが、あなた様のこのページを私のブログに乗せてしまいました
    もしご迷惑でしたらすぐ訂正いたします

  5. ツールドフランス より:

    映画男さん。こんにちは。
    「彼女を見ればわかること」につづきこの映画を観てとても感動しました。今まで観た映画の中でワンツーといっていいほどです。女性の映画ですが、映画に出てくる男性が非常にキーになっており、男としてどう生きていったらいいか考えさせられます。少しだけかしこくなったかもです。
    映画男さん、ありがとうございました。
    また、おじゃまします。

    • 映画男 より:

      気に入っていただけてすごく嬉しいです。この映画のサミュエル・ジャクソンは格好いいですよね。ナオミ・ワッツにもすごく惹かれました。

      • high-low より:

        この作品を含め、連休中に何本か映画を観ましたが、本作がダントツに良かったです。
        映画男さんのレビューを参考にして本当に良かったなと思います。
        ナオミ・ワッツは二面性のある役を好演してました。嫌味なくエロかったです。

  6. MAIME より:

    しばらく前に見ました。 
    下手に感動を狙わなくても素晴らしい作品を作ることができるという最たる例でした。
     ナオミワッツ演じるエリザベスが女医から勝手に中絶の手続きをすると言われた時の表情、受付にあるものを全部落としてセリフを言ってるシーンが凄まじく、今でも忘れられません。