
心理的に恐怖と興奮を与えようと試みてはいるものの、それほどエキサイティングでもドラマチックでもない戦争映画。シチュエーションがつまらないのか、演出がダメなのか。いずれにしてもいまいちです。29点
ウォーフェア戦地最前線のあらすじ
2006年、ラマディの戦いの後、ネイビーシールズの小隊アルファ・ワンは、夜陰に紛れて2階建ての住宅を制圧する。JTAC(統合末端攻撃統制官)の通信担当であるレイ・メンドーサは航空支援を調整し、部隊の位置を監視する。
一方、狙撃手兼衛生兵のエリオット・ミラーは、同じく狙撃手のフランクとともに通りの先にある市場を監視し、海兵隊との合同作戦を支援するための上空警戒に当たっていた。
イラク軍の通訳であるファリドとシダルは、建物の別々の階に住んでいた2家族を1つの寝室に集める。敵の動きが活発化する中、航空支援はその地域から離脱してしまう。ANGLICO(空海軍砲兵連絡中隊)のマクドナルド中尉は航空戦力の要請を無線で行い、通訳たちは敵側が「武装蜂起の呼びかけ」を放送したと警告する。現場指揮官のエリクと先任下士官のサムは、通訳たちに建物の下階を警戒するよう命じる。
ところが突然、狙撃手がいる部屋に手榴弾が投げ込まれ、エリオットは負傷。負傷者後送(CASEVAC)が要請され、シールズと反乱兵の間で激しい銃撃戦が始まる。部隊は装備をまとめ、周囲を確保するためにクレイモア地雷を起爆し、煙幕に覆われながら待機中の米陸軍M2ブラッドレー歩兵戦闘車へと撤退しようとする。しかし分隊を収容するためランプが下ろされたその瞬間、IED(即席爆発装置)が爆発したのだった。
ウォーフェア戦地最前線のキャスト

- ディファラオ・ウン・ア・タイ
- ウィル・ポールター
- コスモ・ジャーヴィス
- テイラー・ジョン・スミス
- ジョセフ・クイン
- キット・コナー
- マイケル・ガンドルフィーニ
ウォーフェア戦地最前線の感想と評価

「エクス・マキナ」、「アナイアレイション -全滅領域-」、「MEN 同じ顔の男たち」、「シビル・ウォー アメリカ最後の日」などで知られるアレックス・ガーランド監督と、元Navy SEALs隊員のレイ・メンドーサが共同監督を務めたシチュエーション戦争ドラマ。イラクのとある民家で敵に包囲されたアメリカの小部隊がいかにして脱出を図るかをドラマチックかつリアルに描いた作品で、 「アウトポスト」や「デンジャー・クロース」や「ザ・ウォール」といった戦争映画と同類です。
いわば俺たちアメリカ兵は、こんなやばい状況を切り抜けちゃうほど勇敢で格好いいんだぜっていうのを男らしいストーリーをつけて、英雄ドラマにしているわけです。大量破壊兵器があるなどとでっちあげ、よそ様の国に不法に侵入していって、やりたい放題やったうえで、現地のゲリラ兵士にまんまと包囲されて、脱出しましたっていう自業自得な話なので、これを格好いいとか、すごいとか思えるのは世界でも愛国心の強いアメリカ人か、アホで無邪気な日本人ぐらいだと思って見たほうがいいです。
それも舞台となったのは、イラク人家族が住んでいる民家です。そこにアメリカ軍が自分たちの作戦上の都合で乗り込んでいって民家を利用しているのです。当然、そのせいで一般市民が銃撃戦に巻き込まれてるんですよ。
家族が許可したのか、半ば強制だったのかその辺の背景は描かれていませんでしたが、ラマディの戦いではアメリカ軍による民家使用がかなり頻繁に行われていたようです。家族からしたらたまったもんじゃないし、実際多くの家族は沈黙・中立・従属的態度を取らざるを得なかった家族だったそうです。
ある日、自分の家に銃を携帯した外国人の兵士がぞろぞろ入ってきて、お前たちを守ってやるから、ここを使わせろってさもなければ命の保障はないぞって言われたらどうします? それももしアメリカ軍に協力したことを反乱兵に知られたら後で殺されるんだって。だったらどうすればいいんだよって話ですよね。
そういう意味ではアンチアメリカ目線で見ると、なかなか痛快な話なのかもしれません。もうとにかくアメリカ軍の自己陶酔っぷりを知るにはある意味最高の映画だもんね。
この手の映画の良いところを挙げるとすれば、実話に基づいている、リアリティーがあるという点でしょう。リアリティーがある映画は大歓迎だし、好きなんだけど、これは今一つ乗れませんでしたね。なんせずっと家の中でああだこうだ言ってるシーンが続くだけで、もちろんそれなり緊張感はあるし、壮絶なサバイバル劇であることに違いはないものの、なんかいまいち興奮できませんでした。
正直、手榴弾を投げ込まれたところがピークで、そこからあとは盛り下がっていくだけでしたね。冒頭のセクシーエアロビのシーンなんてまるで不必要だし、本題(戦闘シーン)に入っていくのに、約30分もかかるというフリも長すぎてじれったいです。じらすにしてもじらしすぎ。戦場の場所が一つだけなので、絵的にもそれほど代り映えがせず、ずっと同じ風景を見ているのはやっぱり退屈です。
キャストの中には、ウィル・ポールターのような実力派の俳優もいるのに、みんな同じ戦闘着を着ているため正直誰が誰だかほとんど分からないし、それぞれの個性は死んでしますね。まあ、軍人に個性なんていらない、ただ任務を遂行するだけだって言われたらそれまでだけど、あくまでも映画だからね。もっと強烈なキャラを出さないと。
それにしても世界最強の軍隊をもってしても、地元の素人軍団みたいな奴らにやられちゃど、やはり地上戦は難しいんですね。地理感覚もない。誰が敵か味方か見分けがつかない。どこから何が飛んでくるか分からない。もう地獄ですね。
こういうミッションで脚を失ったりした退役軍人は一体どうやって自分の行動、決断を振り返り、残りの人生を生きていくんだろうか、とふと考えたりもします。エンディングで実際の兵士たちが登場し、脚を失った車椅子の兵士も笑顔で映っています。しかし多くの退役軍人がPTSDを患ったりしている現状を踏まえると、彼らを英雄として映画の中で描くことが彼らにとってのせめても救いなのかもと思ったりもしまいます。そしてそれ自体が洗脳のようでもあって、アメリカで本作が高い評価を得ているのはまさしくそういうことなんじゃないでしょうか。


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