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aftersunアフターサンは退屈と芸術のはざま映画!ネタバレ感想

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この記事は 約5 分で読めます。

ねえ見てみてこれが私の実体験よ、ねえ、悲しいでしょ? 美しいでしょ?っていうタイプの女監督が作った大人向き芸術路線人間ドラマ。駄作ではないけれど、名作は言い過ぎじゃないかなっていう作品です。55点

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aftersunアフターサンのあらすじ

11歳のソフィは30歳の父親カラムとトルコのリゾート地に来て親子で貴重な時間を過ごしていた。というのもカラムとソフィの母親はすでに離婚しており、ソフィはカラムと一緒に住んでいないからだ。ソフィにとってもカラムにとってもその時間は特別で、二人は旅行の様子をビデオカメラに記録した。

しかし普段一緒にいない分、お互いの距離感や関係性は微妙だった。会話はギクシャクし、なにを話していいか分からなかった。それでも二人にとってはお互いが大切な存在だった。

リゾートホテルに滞在中、ソフィは年上の男の子や女の子たちと遊んでいく中で、喫煙や飲酒、そして性に敏感になっていく。彼女はやがて迎える思春期を彼らを通じて目撃していた。

一方、カラムは娘の前でこそ明るくて楽しい父親を演じるものの実は重い鬱に悩まされていた。経済的な問題を抱え、娘に買いたいものもろくに買ってやれなかった。そんなカラムの苦しみを敏感なソフィは感じ取ってしまうのだった。

aftersunアフターサンのキャスト

  • ポール・メスカル
  • フランキー・コリオ
  • セリア・ローソンホール

aftersunアフターサンの感想と評価

新人監督シャーロット・ウェルズの長編デビュー作。幼い頃、父親と行った旅を大人になった娘目線で記憶と映像をもとに思い出していく回想ドラマで、退屈と芸術のはざまを行く評価が難しい作品です。

この映画を傑作と評している声もあって、海外の評価がものすごく高かったので興味をそそられて見ました。父親と娘が一緒に時間を過ごす様子を淡々とつづる、という意味ではソフィア・コッポラの「SOMEWHERE」を彷彿とさせるものがありました。「SOMEWHERE」も自伝的なら、本作も監督の自伝といって差し支えないと思います。

ちなみに左側が監督と彼女の父親で、右側が本作の俳優たち。

こういう映画のキャスティングするとき、「この女の子、あのときの私に似てるわ、ねえみんな私に似てるわよ」っていってキャスティングするんですかね。その辺を想像するだけでもうすでに笑えて来るんですけど。

大人になったソフィにはレズビアンの恋人がいましたが、監督自身もおそらくレズビアンでしょう。もうまんまお前の話じゃないか、っていうところもソフィア・コッポラと通じるものがありますね。

違いがあるとすれば、本作には「SOMEWHERE」ほどユーモアや皮肉がなく、一見、親子の素敵な時間かと思わせておいて、実はそれはとてもダークで悲しい思い出であるということでしょうか。

悲しい思い出も時が過ぎれば美しい、と捉えることができれば、確かに美しい親子の物語なのかもしれません。でもそれにしても悲しい話でした。

説明は皆無、セリフ少な目、曖昧表現や比喩が多々あるのでストーリーは若干読み取るのが難しく、テンポも悪いです。娯楽性にも欠けるのでこれを退屈だと感じるのは無理はないし、僕も実際にそう感じました。

あともう少しのところで「トゥ・ザ・ワンダー」レベルのノスタルジーオンリーの作品になりそうな危なっかしさすらあります。

その一方で少ないセリフに耳を傾け、一瞬で過ぎ去っていく映像を注視すると、なるほどそういうことね、という発見があるのも確かです。それが「私、この映画理解しちゃったもんね、あなたは分かった?え?分からなかったの?」といった優越感からなる神経伝達物質がドバドバ出る仕組みになっていて、本作を評価する層はそれに当てはまるはずです。

この映画を熱く語る人がいたらよくその人の目を見てくださいね、語りながら相当な悦に入っているから。今にもエクスタシーに達するかのような。

解釈は大分視聴者に委ねられていますが、僕はこの親子の旅をソフィとカラムの別れの旅だと理解しました。カラムは鬱に悩み、ソフィに隠しきれないほど苦しんでいる。自分はポンコツで、ろくな仕事にもつけず、いい歳してお金もすっからかん。そのことで娘に気を使わせてしまっているほどで、それを恥ずかしく思い、今すぐにでもこの世から消えていなくなりたい。そう思って彼は旅の後、あるいは最中に自殺したのでしょう。

もしかすると、カラムが夜に海に入っていくシーンは比喩でもなんでもなく、実際の入水するシーンだったのかもしれません。そして彼はあの地に残り、娘は彼をおいてまた祖国に帰っていった、という話だったとも思えます。

父親がトルコで無理して買ってくれたカーペットをソフィは大人になってもまだ持っていましたね。あれはなけなしの財産をはたいて買ったいわばカラムの人生最後のプレゼント。ああでもして二人の旅の思い出を娘に覚えてもらいたかったのでしょうか。

父親が死んだ年齢と同じ年齢に差し掛かった大人のソフィもまたどこか鬱を抱えているような表情をしていました。レズビアンのパートナーと赤ん坊を育てている彼女は親になって父親の気持ちが少しわかってきます。そしてまた昔の映像を見直して彼女は父親の愛情を再確認したのでしょうか。

いずれにしろものすごく個人的な話だなあ、という印象を受けました。あと女性的だなあ、という印象も。だから今一つ刺さらなかったというのもあるかも。もうちょっとテンポをなんとかならなかったかね。

コメント

  1. MAIME より:

     各方面で絶賛されている作品のようですが、少し監督の自己満も入ってますよ ね。傑作というのは過大評価のような気がします。

  2. エル より:

    この映画には関係無いですが是枝監督の最新作「怪物」
    今年ベスト級に良かったです。

  3. きのこ食べ過ぎ より:

    2回観るべき作品なんでしょうが、「TAR」同様に2回観る気にはなれない。

  4. エル より:

    評価が異様に高く「喰らった」って言ってる人がたくさんいたので、泣ける映画なのかなと思って観てみましたが終始よく分からなかったです。
    こう言う言葉で語らないアート系映画は好きですが今作は眠かったですね。