CGだらけのファンタジーものとは違って、ごくごく普通の人間たちの物語。まあまあ見れます。55点
クルエラのあらすじ
エステラは奇抜なファッションセンスの持つ変わり者の少女だった。そのため学校ではからかわれたりすることも多く、よくほかの生徒と喧嘩をし、問題を起こしていた。
やがてトラブルが重なり、学校を辞めるはめにエステラは母親と共にロンドンに引っ越すことにする。その途中、あるパーティー会場で車を停めた。
ところが母親が見ていない隙にエステラはパーティーの中に忍び込み、騒ぎを起こしてしまう。逃げ回っている途中、エステラは母親が崖から突き落とされるのを目撃する。母親は命を落とし、エステラは孤児になってしまった。
その後、エステラはロンドンのストリートと不良少年たちと共謀してスリや泥棒をして生計を立てるようになる。そうこうしながらも彼女は大人の女性へと成長していった。
金品を盗む一方でファッションに対する情熱は膨れ上がっていった。エステラは自作のドレスや衣装を自分で作り、それを着て次の獲物を狙った。
なんとかしてファッション業界に入り込もうとしたエステラはある日、ひょんなことから有名デザイナーのバロネスに気に入られ、スカウトされるが、、、、
クルエラのキャスト
- エマ・ストーン
- エマ・トンプソン
- ジョエル・フライ
- ポール・ウォルター・ハウザー
- マーク・ストロング
- エミリー・ビーチャム
クルエラの感想と評価
「ラースと、その彼女」、「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」、「ミリオンダラー・アーム」などで知られるクレイグ・ガレスピー監督によるディズニー映画。『101匹わんちゃん』の悪役クルエラ・ド・ヴィルの生い立ちを描いたソフトな復讐劇です。
いい意味でファンタジー要素がかなり削られていてディズニー映画らしくないのが特徴で、知らずに見たらしばらくディズニーとは気づかないんじゃないでしょうか。
ミュージカル要素も皆無に等しく、終始物語はヒロインの成長と気持ちの変化にフォーカスしています。それぐらいディズニーにしてはリアリティー路線を行っており、ごくごく普通の人間ドラマになっていましたね。ディズニーっぽさといえば主人公に親がいないことぐらいですかね。
なので歌って踊って感動してというディズニーっぽい映画が好きな人には物足りなく、逆にベタなディズニー映画が苦手な人には楽しめる作品かもしれません。
ストーリーは母親を亡くし身内のいないエステラが有名デザイナー、バロネスのもとで働くようになり、バロネスのあまりの暴君ぶりに翻弄されているうちにやがてバロネスが母親の死と関係していることを知り、復讐をしかける、というものです。
ヒロインのキャラが泥棒兼デザイナーという設定になっていて、どちらかというと泥棒のスキルを披露するほうに多くの時間をかけている印象で、何かを盗んだり、仕掛けをセットしたり、という場面はコミカルな泥棒劇になっていて、どこか「オーシャンズ・イレブン」っぽさがありました。
そういう意味では特別斬新さや捻りのない話で、どこかで見たことのあるような展開をディズニーの世界にあてはめたみたいな感じがします。
意地悪なおばちゃんデザイナーをヴィランに、そして彼女に立ち向かう才能あふれる野心的な若者デザイナーを悲劇のヒロインにしてバトルさせているんですが、あんなに手間暇かけた嫌がらせをする割には目的がファションイベントを邪魔するだけだったりしてダークさが今一つ足りないですね。もっとドロドロの復讐劇にしてもらいたかったです。
上映時間も2時間14分と長いので後半ちょっと疲れます。カットできる部分も多々ありそうです。しかしながらそれでも最後まで見れる映画に仕上がっているのは主要登場人物の二人を演じたエマ・ストーンとエマ・トンプソンによるエマエマコンビのパフォーマンスのおかげでしょう。
エマ・ストーンって「ラ・ラ・ランド」、「女王陛下のお気に入り」、「アメイジング・スパイダーマン」なんかに出ていて、なぜか人気のある微妙な女優という認識だったんだけど、本作ではすごくフォトジェニックだし、変幻自在に表情を変えていたし、なかなかの存在感を見せていました。特に絶望のときのボロボロの表情は良かったですね。やっぱりハリウッドで活躍するだけあって、ちゃんと演技できるんですね。
それに対するエマ・トンプソンはベテランぶりをいかんなく発揮し、性格の悪いボスを見事に演じて切っていました。あの安定感はさすがです。
この映画も「マレフィセント」のようにヴィランプロジェクトの一環で、間違いなくシリーズ化を目論んでいるでしょう。そのため終わり方も話が続いていくのを予感させるエンディングになっていました。パラシュートを出してきたときには笑うしかなかったです。最後で種明かし風に起きたことを解説するのもこの手の映画に多い演出ですよね。
ここにヴィラン、クルエラ誕生といった感じで幕を閉じますが、かといってこの話を今後どう広げていくのかは謎です。
そもそもクルエラって人気の高いヴィランなのかという問題が一番の根底にあって、傲慢で悪辣なファッションデザイナーの話をもっと知りたいディズニーファンって多いのかなあ、という疑問がつきまといます。だからこれは変に話を伸ばさずに、ここで終わっておいたほうがいいと思うよ。
コメント
エマ・ストーンは顔芸のできる隠れ実力派だと思ってて、結構好きです。
映画のチョイスが悪いのは同感で、「女王陛下のお気に入り」とか「ララランド」って、そもそも役柄に深みがないので損してる印象でした(個人的には)。
クルエラは観てみようかな。
顔芸できるんですねえ、今まで全く印象になかったので、新たな発見でした。
感想お疲れ様です。そうですか、今度イオンシネマで見ようかと考えていたのでタメになりました。
あと、リクエスト希望です。「今夜、ロマンス劇場で」という映画なのですが、これすごいですよ。中身ペラペラのTHE邦画って感じで、最初観たとき驚きました。映画男さんに是非こき下ろしてほしいです。
クルエラは映画館で見るほどのものじゃないので、ディズニープラスで見放題で見たほうがいいかもしれません。「今夜、ロマンス劇場で」、ぱっと見だけでもアレルギー反応が起きたのでやめておきます。
返信ありがとうございます。そうですか…これからも映画の辛口評価、楽しく見させていただきますm(__)m
ありがとうございます
映画男さん今晩は。私も先日、本作品を鑑賞しました。
エマ・ストーンの演技、私も良かったと感じました。危険な香りがしながら、人々を惹きつけてやまない魅力が凄かったです。
本作品のクルエラは、グレン・クローズ版とは大分キャラ設定が異なりますが、どちらも好きです。
また、クルエラ・ジャスパー・ホーレスのトリオは、ヤッターマンに登場するドロンボー一味(ドロンジョ様・トンヅラー・ボヤッキー)のようでした。また、クルエラは、ルパン三世の峰不二子にも見えます。
続編、どうでしょうね?私はこの映画は観て良かったですが、特に無くても良いかなと思います。
続編いらないですね。うまくまとまった映画ほど続編作るべきじゃないですね。
エマ・ストーンさんの演技には私も思わず惚れ惚れしてしまいました。目が離せないと言いますか、あの目で見つめられるとゾクッときてしまう、不思議な魅力ある役者さんですね。
アニメ版クルエラの人気については……どうでしょう。ネイルなどでは派手なカラーリングとクラシカルな色調で推されているキャラクターですが……。
私はまたしても残念ながらアニメのクルエラのイメージを壊されてしまったので(脚本が好みではなかったです。もっとドロドロして欲しかった……)これを機にディズニーヴィランズの実写化からは離れる予定ですが、映画男さんのレビューは参考や勉強になりますので、今後もご活動無理のない範囲で頑張ってください。
アニメファンにはダメでしたか。ヴィランシリーズこれからどうなるんでしょうね。
多分無理やりいい人だった、とか、可哀想なヒロインだった、的な方面に持っていくんだと思います。アニメ版ヴィランズファンには辛い……。
確かにヴィランには同情を誘うようなバックストーリーが多いですね。