リチャード・ジュエルはひどい話だけど面白い!感想とネタバレ

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とにかくひどい冤罪事件だけど、映画としては面白い物語。自分がこんな目にあったらと想像するだけでも恐ろしいです。65点(100点満点)

リチャード・ジュエルのあらすじ

映画『リチャード・ジュエル』US版予告 2020年1月17日(金)全国ロードショー

1986年、リチャード・ジェルは小さな弁護士事務所でオフィスボーイをしていた。

太っていて、オタクっぽいチャードのことを職場では誰も相手にしなかったが、ワトソン・ブライアントだけは彼とまともに接してくれていた。

やがてリチャードは、大学の警備員になるためにオフィスボーイの仕事を辞めていった。彼は正義感が強く、いずれ警官になるのを夢見ていた。

ところが大学では真面目過ぎるがゆえに、ルール違反を繰り返す生徒たちと何度もトラブルになり、やがて首になってしまう。

アトランタ五輪が開催された1996年、リチャード・ジュエルは五輪会場の近くの公園センテニアルパークで開催されていた音楽イベントの警備員として働いていた。

その日、リチャード・ジュエルは体調が悪く、仕事を休もうかどうか迷っていたが、結局無理をして会場に行った。

すると、そこで不審なバックパックを見つけ、彼が率先して来場客を避難させた。

バックパックが爆発すると、100人以上の負傷者が出たが、それでも死者は比較的少なく済み、リチャード・ジュエルはヒーローとして扱われた。

しかしあろうことかFBIとメディアは一斉にリチャード・ジュエルを容疑者の一人に挙げ、報道は過熱していく。容疑者扱いされたリチャード・ジュエルは、かつて弁護士事務所で知り合ったワトソン・ブライアントに助けを求めるのだった。

リチャード・ジュエルのキャスト

  • ポール・ウォルター・ハウザー
  • サム・ロックウェル
  • キャシー・ベイツ
  • ジョン・ハム
  • オリヴィア・ワイルド

リチャード・ジュエルの感想と評価

ジャージー・ボーイズ」、「15時17分」、「ハドソン川の奇跡」、「アメリカン・スナイパー」、「運び屋」などでお馴染みのクリント・イーストウッド監督による実話ベースの衝撃的な冤罪ストーリー。

FBIとメディアのずさんな仕事ぶりによって、人生を滅茶苦茶にされた男の悲劇を描いた人間ドラマです。

物語の主人公は、命がけで爆弾テロから一般市民を守った男リチャード。勇敢な彼の行動は称えられ、メディアにヒーロー扱いされたと思ったのもつかの間、今度はFBIとメディアによってたちまち犯人に仕立て上げられる、というのがストーリーの流れです。

多くの冤罪事件とリチャード・ジュエルの件が違うのは、彼の場合、実際には逮捕も起訴もされていない点にあります。

それなのにFBIが決定的な証拠もなく容疑者の一人に挙げ、捜査の対象とし、それをメディアが面白がって報道合戦をしたためにまるで逮捕、起訴されたかのような扱いを受け、いつの間にかリチャード・ジュエルが犯人であるかのようなイメージを世間に植え付けてしまうんだから恐ろしいですね。

アメリカ人がヒーローが大好きなのは分かるんだけど、その反動で「敵」を作るのも好きですよね。

国民の共通の敵を作り上げることで、凶悪事件やテロがあったときには、そいつをこらしめることで、さも国の安全や威厳が保たれたかのように錯覚しがちです。

リチャード・ジュエルなんてヒーローとして賞賛されたかと思った途端に地獄に落とされたわけだから、皮肉にもアメリカのヒーローとヴィランの両方を体現してしまったことになりますね。

逮捕に至るほどの証拠を持ち合わせていなかったFBIがリチャードを罠にかけようとする下りは、違法であることはもちろん、あまりにも市民をバカにしていて怒りがこみ上げてきます。

だってトレーニングビデオの出演をリチャードに依頼して、そこでカメラの前で嘘の自白をさせて、サインまでさせようとしてるんだから。ありえないだろ。あの部分は実際に起こったことだそうですね。

もしリチャードがもっと無知で不用心で、サインしてたらどうなってたんだろう。「殺人者への道」でも同じようなことがあったけど、あんなふうに不当に逮捕されて、刑務所送りになってる人いっぱいいるんだろうなぁ。

殺人者への道」のブレンダンも、リチャードも共通しているのはコミュニケーション能力が低い、ということですね。二人ともお人良しというところも似ています。リチャードなんてこんな目にあっておきながら、その後保安官になったっていうんだから、どんだけ人がいいんだよって話ですよね。

そこに付け入られて犯人にさせられちゃうんだから、いかにアメリカ社会が弱者に対して容赦ないかが分かりますね。

一方でリチャードのことを初めて容疑者として報じた女性リポーター、キャシー・スクラッグスの罪もFBI捜査官と同じくらい重いです。彼女のくずっぷりも殺意が湧いてくるレベルですね。

劇中ではキャシー・スクラッグスは、枕営業をしてFBIから重要な情報をリークしてもらっていた、という描写がありましたが、あの部分はあくまでも想像だそうです。ただし、きちんと裏も取らずに自分の手柄のためには手段を択ばないぐらいなので、悪者として描かれていたとしても仕方がないですよね。

証拠もないし、逮捕もされてない一般市民の名前を事件と関連付けて報じちゃうなんて完全にアウトだろ。あいつが終盤、リチャードのお母さんの演説で涙ぐんでたのが意味不明でした。お前が悪いんだろって。

もちろん実際にはもっと多くのバカ野郎たちが、ありえないミスを犯した結果、リチャード・ジュエルが犠牲になったんでしょう。

しかしこの映画ではFBI捜査官とジャーナリストという二大権力機関を代表する二人を悪者として描くことで、無実のリチャードVS罪をなすりつけるFBIとメディアといった分かりやすい構図にしていましたね。

主演のポール・ウォルター・ハウザーは本人ともそっくりだし、かなりはまり役だったんじゃないでしょうか。ちなみにこちらがリチャード・ジュエル本人です。44歳の若さで心臓の病で亡くなってしまったそうです。

Richard Jewell: The 1996 60 Minutes interview

一方、母親役のキャシー・ベイツはアカデミー賞助演女優賞にノミネートされています。彼女に関していえば悪くはなかったけど、別に普通でしたよね。ミザリーの怪演と比べたらあんなの大したことないですよ。

ちなみに僕が一番好きなのはサム・ロックウェルです。彼は渋くて、いい俳優ですね。

それにしてもクリント・イーストウッドは高齢なのによく映画を撮り続けますね。毎年なにかしら出してない? 作品によって良し悪しはあるけど、ここまでコンスタントに映画を発表するのは本当にすごいことだと思います。スーパーおじいちゃんですね。

コメント

  1. ブロック より:

    黙ってろと言われて黙らないデブにひたすらイライラ

  2. ブルージャスミン より:

    こないだ観てきました、クリントイーストウッドはクオリティの高い社会派の映画をよくこのペースで撮れますね。
    キャシーは鼻息荒いやり手ババアでどうにもな感じだったのに、さすがに本人目の前にすると良心が咎めたんですかね、しかし検証をまずしろよ、お前が涙ぐむなと突っ込みどころ満載でした。
    今はメディアの代わりにSNSとかで無責任な攻撃を市民が匿名でしてることを考えると、一応署名入りで責任背負ってる記者がいた時代の方がまだマシなのかなあ…とか昨今の事件と併せていろいろ思うところありました。

    • 映画男映画男 より:

      キャシーはひどかったですね。確かに今ではメディアだけじゃなく、SNSで個人が犯人を無責任に特定しちゃったりするから怖いですね。

  3. 映画観る男 より:

    この記事もそうだけど、映画の一方的な描写だけで女性記者を批判するのは、
    メディアの情報だけでリチャードを叩く大衆と同じ図式だってことを理解しましょう

    イーストウッド監督は不確かな情報が生む危うさを表現してると思ってますので
    あなたは監督の目論見にはまってるってことですね

  4. 通りすがり より:

    アメリカのリベラル派が「女性記者の描き方が事実と違う」とか言っているけれど、殆ど難癖でしょ。「事実と違う」というのなら、FBI捜査官の描き方だってそういう部分があるだろうし、「ヴァイス」における元副大統領やその関係者の描き方だって相当フィクション混じっているのに、そちらには文句を言わないリベラル特有の二重基準が露骨過ぎて失笑する。