ちいさな独裁者はショーンKの大先輩の話!感想とネタバレ

この記事は 約5 分で読めます。

ドイツ産の白黒戦争映画。緊張感はあるし、ネタが面白いし、終盤のダレ具合さえ目をつぶればそこそこいい映画です。55点(100点満点)

ちいさな独裁者のあらすじ

「ちいさな独裁者」予告編

第二次世界大戦末期の1945年4月、敗色濃厚なドイツでは兵士の軍規違反が相次いでいた。命からがら部隊を脱走したヘロルトは、道ばたに打ち捨てられた車両の中で軍服を発見。それを身にまとって大尉に成りすました彼は、ヒトラー総統からの命令と称する架空の任務をでっち上げるなど言葉巧みな嘘をつき、道中出会った兵士たちを次々と服従させていく。

かくして“ヘロルト親衛隊”のリーダーとなった若き脱走兵は、強大な権力の快楽に酔いしれるかのように傲慢な振る舞いをエスカレートさせるが……。

公式サイトより

ちいさな独裁者の感想と評価

ダイバージェントシリーズで知られるロベルト・シュヴェンケ監督によるナチスドイツの戦争映画。戦争中はったりをかまして大尉を演じきった男の衝撃の実話です。こんな話本当にあったの?って疑いたくなる信じられないストーリーです。

舞台は第二次世界大戦末期のドイツ。自分の所属部隊を脱走した兵士ヘロルトが盗みなどを繰り返しながらも寒い冬を生き延び、なんとかたどり着いた先で大尉の軍服を見つけたのを機にランクを偽るようになる、ところから話はスタートします。

ユニフォームを着た途端、たちまち振る舞いや態度まで大尉になりきったヘロルトは、それぞれの部隊から逸れた敗残兵たちを次々と自分の配下に置き、小部隊を引き連れて巧みな嘘で検問所を通過し、ナチスの収容所に向かう、というのが話の流れです。

事前にあらすじを読んでいなかったので、てっきり最初は敵国の男がドイツ軍の軍服を着てドイツ人になりすます話なのかと思っちゃいました。

主人公がドイツ軍の軍人から追いかけられている理由が伝わりにくいので、あそこはもっとセリフや解説があってもいいですよね。結構長い間、「それにしてもこいつドイツ語上手いなぁ」って思っちゃったもん。この映画に関しては、あらすじやヘロルトのプロフィールを最初に読んでから見たほうがいいですね。

>>ヴィリー・ヘロルトについてはこちら

身分経歴詐称のエピソードの中でもかなりぶっ飛んだタイプで、ショーンKが可愛く思えてくるほどの、ヘロルトのほら吹きスキルが最大の見どころです。あそこまで嘘が上手いと失笑を通り越して感心してしまいます。

ピンチに陥っても決して挙動不審にならない、あの堂々たる自信は一体どこから来るんでしょうかね。普通の精神状態じゃないですよね。

小さい地域で少人数を相手に別人を装うのならまだしもヘロルトの場合は、ヒットラー本人から命令を受けた、というはったりを武器に次々と上官たちを黙らせ、軍の内部へと突入していきます。

その目的がさっぱりで、まるで一度手にした権力がどこまで通用するのか命を賭けて試しているかのようでもあります。

そしていざ収容所に着いたら何をするかというと、そこで捕虜になっている人たちを次々と自分の命令で殺害していき、大きな使命を果たしたとばかりに虐殺の成果をお祝いし、自分が手にした権力に酔いしれるのです。

カメラは終始ヘロルトを追いかけて行くものの、決して彼だけの話という感じがしませんでしたね。第二次世界大戦中のドイツ軍だけに限らず、どこか人間の持つ闇の部分を映し出しているようでもありました。

戦争末期の混乱の中、同じ軍の軍人同士が鉢合わせしたときにお互いがお互いのランクというか、ヒエラルキーを探り合う瞬間が必ずあるのが興味深いです。

相手に弱音を見せたら舐められる。かといって偉い人には逆らえない、というギリギリのところでバチバチの火花が飛び交う心理戦はなにも戦争中だけに限らないでしょう。実社会でも人々は本能的にマウンティングをして、常に優劣をつけたがりますよね。

あまりにもぶっ飛んでいるので、そんなバカなシーンが多く、普通バレるでしょっていう場面がたくさんありました。

なんせヘロルトは終戦後、逮捕されたときには年齢が21歳だったんだそうです。そもそもそんな年齢で大尉になれるの?っていう話だし、普通バレませんかね? よっぽど老けてたんでしょうか。

でもたまに嘘つきの天才っているからねぇ。実在する嘘つきの話といえば「クヒオ大佐」とか「作家、本当のJ.T.リロイ」とか「ビッグ・アイズ」とかが思い出されます。

また、どの話もそこそこ面白いんですよ。なんでですかね。嘘も付き通すとエンタメや芸術の域に達するんでしょうか。

この手の映画に共通しているのは最後にウソがばれて主人公が転落する様子オチにしている点です。しかしこの映画の場合、ラストは主人公がドイツ軍の裁判にかけられ、非難されるどころかむしろ褒め称えられて執行猶予の軽い処分を受けて話が終わっていきます。

あの終わり方はどこかコメディータッチにしようとしているのか、気になる幕の引き方でした。どうせならちゃんと処刑されるまでを描けばいいのに。

あれだけ大掛かりな嘘をついても無傷だった男が最後は食パンを盗んだのがきっかけで逮捕され、過去の犯罪がバレて処刑にまで至ったそうです。全く最後まで運がいいんだか悪いんだかよく分からない男でした。

コメント

  1. RenoBank より:

    ものすごーく気分が良くなりそうな映画ですね、楽しみ。
    ショーンK、佐村河内守はサイコーでした。

  2. 晴雨堂ミカエル より:

    あの若さで大尉というのは、実はあり得る話なんですよ。主人公とほぼ同世代の青年ハルトマンの例があります。この人物は正真正銘ドイツ空軍のエースパイロット、撃墜王でならしソ連軍から恐れられました。ヘロルトよりたった3つ歳上、ヘロルトを演じた時のフーバッヒャ氏と同い歳です。ドイツ降伏時の階級は少佐。

    ハルトマンの写真を見たことがありますが、童顔で高校生みたいな顔をしています。