スポンサーリンク

映画ビッグ・アイズは実在する画家の詐欺ドラマ。ネタバレと感想

※当サイトではアフィリエイトプログラムを利用して商品を紹介しています
※当サイトではアフィリエイトプログラムを利用して商品を紹介しています
この記事は 約4 分で読めます。

eyes

実は妻に絵を描かせていた、実在する有名画家のちょっと間抜けな物語。いわば画家の世界にもいるゴーストライターのお話です。65点(100点満点)

スポンサーリンク

ビッグ・アイズのあらすじ

1950年代から1960年代にかけて、哀愁漂う大きな目の子供を描いた絵画「BIG EYES」シリーズが世界中で人気を博す。作者のウォルター・キーン(クリストフ・ヴァルツ)は一躍アート界で有名人になるものの、何と実際に製作していたのは内気な性格の妻マーガレット(エイミー・アダムス)だった。自身の感情を唯一表現できるBIG EYESを守るため、マーガレットは自分が描いたという事実の公表を考え……。

シネマトゥディより

ビッグ・アイズの感想

ティム・バートン監督による、実在の画家夫婦のスキャンダルを描いたドラマ。主役のクリストフ・ヴァルツの演技が別格で、彼を見ているだけで十分楽しめる一本。

夫婦そろって画家で、まったく違ったタイプの絵を描いていたら、妻マーガレットの絵のほうが徐々に注目を集め始める。しかし絵には苗字のキーンのサインを書いていたために夫ウォルターが自分の作品だといって世に売り出すことにしていた。

やがて絵が大人気を博し、夫がTV出演する頃にはすっかり妻マーガレットはゴーストの画家になっていた。しかしそれも結婚が破綻したことによって崩れ去っていく、というのがあらすじです。

ストーリーは終始夫が悪者、妻が犠牲者という形で描かれています。世間を騙し、金や名声を得て傲慢になっていく男。妻を押しのけ、自分は華やかな栄光を独り占めする男。確かにそれは間違っていないです。

しかしマーケティング、セールス、ビジネスの観念で言えばこの男のはったりがあったからこそ絵画「BIG EYES」シリーズは売れたはずで、マーガレット一人の力では路上アーティストの枠を越えられなかったはずです。

それに対してマーガレットは夫に感謝しているのかな、というのが一つひっかかった点ですね。戦略として夫を表舞台に出すことに合意しておきながら、夫の成功を妬んで、仲が悪くなったから訴えた、というふうにも見えました。

夫が富を得たことで妻のマーガレットも娘といい家に住んで、それなりに恩恵を受けてきたはずなのにそういう部分は全部棚に上げているような気がしないでもないです。

僕の住んでるブラジルにもTVのインタビューを受けたり、地下鉄やら公園やらに飾るために政府が作品を買ったりするほどのある大物画家がいます。

その画家のアシスタントを僕の友達がやっているのですが、画家本人があまりにも高齢で、車椅子で移動しているぐらいの健康状態のため、実際は作品のまるまる全部を僕の友達が作っています。ただ、この映画と違うのは、特に隠してもおらず、周囲のほとんどの人がその事実を知っています。

知らないのは馬鹿なメディアと一般の人たちだけ。ドキュメンタリー番組を撮るときだけは、ちゃんと車椅子から立ち上がって絵を描くシーンを撮るらしく、しっかりとやらせがあるようです。

しかしその画家の場合も、しっかりとした自分のアイデアがあって「ここは赤で塗って、そっちはもっとベタッとした感じで塗って」などあれこれ指示を出してやってるのでやっぱり「創作」していることになるんでしょうか。

それでもゴーストって言われちゃうのかな世間では。その辺の境目は誰が決めるんだよっていう気もしますね。この映画でもウォルターがマーガレットの絵にあれこれ注文を付けていたシーンもあったし、あれは「創作」にはならないんでしょうかね。

ウォルターとマーガレットの最大の問題は誰が描いたとかじゃなくて、夫婦として幸せじゃなかった、という点に尽きると思います。ずっと幸せに暮らしていたら事実は一生明るみに出なかったはずです。

どこか佐村河内守の一件を彷彿させるような話でもありますね。佐村河内守の件も僕的には全然面白くていいと思うんですけど。それにしてもなんでみんな最後ばらしちゃうんですかね。

嘘付くなら嘘付き通さないと。ウォルターなんて裁判になってもまだ嘘ついてたからね。あそこまでできたら大したものです。

コメント

  1. 佐倉杏子 より:

    今度見てみます^^

    • 映画男 より:

      佐倉杏子さん

      コメントありがとうございます。そこそこ楽しめるのでぜひ見てみてください。感想もお聞かせください。

  2. MAIME より:

    マーガレットがウォルターへ感謝しているように見えないのは、演出が悪いのでしょう。
     実際のマーガレットは「彼がいなかったら私の作品は誰にも発見してもらえなかった」と彼への感謝の気持ちを忘れていなかったそうです。「裁判を始めた頃から信仰心を持ち、聖書を手がかりに彼を許すということに心を向けられるようになっていったの。この世界で私たちは不完全な人間であることを理解していったの。だって、誰だってそうじゃない?だから、彼のことも理解し、今はかわいそうだと思っている」生前インタビューで語っています。

    さらに素晴らしいのは、彼女に「憎しみは本当にないのですか?」と念を押すように尋ねられ「かわいそうだという気持ちはあっても、憎しみは一切ないわ」と、穏やかに答え、「おそらく彼は現実と乖離してしまい、精神的な心の病気になったというか、きっとそういう状態だったのだと思う。だから、彼にたくさん嘘をつかせてしまうような状況を許してしまった自分に対して、罪悪感を感じているわ」。
     これを読んで、マーガレットという人柄がよく分かりました。