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馬を放つは面白いキルギス映画!感想とネタバレ

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この記事は 約4 分で読めます。

キルギス発、大人向けの昔話風現代ドラマ。映像はきれいだし、ストーリーは面白いし、人間味のある見ごたえ十分な作品です。72点(100点満点)

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馬を放つのあらすじ

キルギスの小さな村でケンタウロスと呼ばれ、妻と息子の三人で暮らすもの静かな男には、ある秘密があった。彼は古くから残る伝説を信じ、毎晩馬を盗んでは逃がしていたのだ。馬を盗まれた権力者は馬泥棒を捕らえるためにわなを仕掛け……。

シネマトゥデイより

馬を放つの感想

アクタン・アリム・クバトが監督、主演を務めたキルギスの童話かつ神話的人間ドラマ。

キルギスの風景、文化、宗教、伝統を覗ける貴重な作品で、このブログで紹介している「風と砂の女」、「長い旅」、「草原の実験」などの映画が好きな人ははまるはずです。

物語の舞台は、キルギスの小さな村。そこでケンタウロスは耳の聞こえない妻と言葉の喋れない息子と一緒に三人でひっそりと暮らしています。

ケンタウロスは大工の仕事をして家計を支えています。彼は毎朝、未亡人がやっている売店でお茶を飲んでから仕事に行くのが日課で、妻子がいながら未亡人とも仲良しくていることを村人はよく思っていない様子です。

温厚で物静かなケンタウロスですが、彼にはある秘密がありました。夜になると他人の馬小屋に忍び込んでは競走馬を盗み出し、野原に放すのです。

最初は村で悪名高い泥棒が馬泥棒の犯人だと疑われていましたが、ある晩ケンタウロスは罠にかけられ、ついに村人に捕まってしまう、、、というのがストーリーの流れです。

キルギス人の馬への思い、そしてその背景にある歴史や神話がテーマになっていて日本の近代社会とは全く違う、キルギスの村社会の様子がとても面白いです。

キルギスは旧ソ連の国家だっただけにキルギス語のほかにロシア語が使われていたり、イスラム教とキリスト教が広まっていたり、アジア系と白人系の人たちが生活していたり、多文化多民族国家なんですね。キルギス語はどこか北朝鮮のハングル語みたいな響きがしますね。

イスラム教徒の女性が橋を渡るとき、橋の途中まで歩いて行ったのに前から男の人が来ると、わざわざ橋の入り口まで戻って男の人を先に行かせるシーンがあるんですが、あれは男を優先させるためにそうしたのか、それとも男と橋の上ですれ違ったらいけないのか。いずれにしてもそういう文化的、宗教的な習慣の違いが多々あって、見ていて興味深かったです。

物語に登場する男たちはどちらかというとモッサいんですが、それに対して女たちはなかなか美人で、それでいて素朴でなんだかとっても癒されます。

ただ、キルギス特有の村社会文化なのか色々と面倒くさそうなこともありましたね。例えば、既婚者であるケンタウロスが売店のおばちゃんと仲良くしていたら、それを見ていたほかのおばちゃんがケンタウロスの家までわざわざ奥さんに告げ口しに行ったりするんですよ。

奥さんは聾唖だから何を言われても分からないし、しょうがないから紙に書いてもらってコミュニケーションを取ろうとするんだけど、「あんたのところの旦那は浮気してるわよ」みたいなことをわざわざ紙に書かれてもって話じゃないですか。

ケンタウロスが馬泥棒の罪で捕まった時には村長が村人に多数決を取ってどんな罰を与えてるかを決めてて笑っちゃいました。

早い話、ものすごい原始的で面倒くさい人たちなんだけど、どこか普遍的なものがあってキルギスの文化に限らず、人間社会をうまく表現していますね。

そのうえで歴史的に遊牧民であった自分たちのルーツ、ずっと生活を共にしてきた馬に対する思い入れ、そして滅びゆく伝統文化に対する気持ちがこもっていて、作り手の静かな情熱が伝わってくる物語に仕上がっていました。

文句をつけるとしたら、ケンタウロスが未亡人に誘われたのにそれを断った下りですかね。あれは男なら行かないと。

わざわざ未亡人が一人で住む家にまで押しかけて行ったのに向こうから誘惑されたら「俺には妻と息子がいる」ってなんだよそれ。それでもケンタウロスかよ。

実はずっと前からこの映画を見たかったんですよ。キルギスの映画が見れるなんてすごい貴重なことですよ。

僕はなぜか遊牧民の映画に惹かれる傾向があるみたいで、もしかすると辿って行けばそっち系の血が混ざってるのかもしれないなって思ったりしてました。

馬にもすごく惹かれるし、たまに無性に乗りたくなるんですよ。それでこの前、試しに乗馬をやってみたら全然馬が言うこと聞かなくて、いきなり全速力で走りだしりしてもうちょっとで振り落とされるところでした。やっぱり先祖は遊牧民じゃかったみたいです。

コメント

  1. RenoBank より:

    いやぁ 神々しい。

    ふと考えると「草原の実験」なんかもそうですけど、この手のある意味で地味〜な作品は固定料金で家で視聴できるから観るんですけど、これ2千円とか出して映画館へ行くとなるとどうかなぁって考えてしまいます。

    そうかんがえると、オンデマンドってすごいですね。

    すません、関係ない話でした。

    • 映画男 より:

      面白いけど映画館で見る映画じゃないっていうタイプの映画も確かにありますね。

  2. 服部 より:

    馬に乗るのは確かに難しかったです。
    私も草原や馬にとても惹かれるので、映画男さんのレビューに、とても共感しました。

    少し前にBS?でモンゴルの世界最大の馬のレースの番組を見ました。
    騎手は10代の子どもです。

    地球は広いなあと感慨深かったです。