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負け犬の美学はポンコツボクサーの家族ドラマ!感想とネタバレ

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ボクシング映画と見せかけたフランスの家族ドラマ。話が分かりやすく、退屈せずに見れる作品で、少なくともベタベタした感動狙いになっていないところに好感が持てます。57点(100点満点)

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負け犬の美学のあらすじ

40代半ばのボクサー、スティーブ(マチュー・カソヴィッツ)は、ときどき行われる試合とアルバイトで家族を養っていた。スティーブは、パリの学校に行くことを夢見る娘のために、欧州チャンピオンのタレク(スレイマヌ・ムバイエ)のスパーリングパートナーになることを決意する。

シネマトゥデイより

負け犬の美学の感想

サミュエル・ジュイ監督による、下り坂のベテランボクサーを追いかけた家族ドラマ。主演は「ハッピーエンド」にも出演したマチュー・カソヴィッツが務めています。

物語の主人公は、45歳になっても戦い続ける下り坂のボクサー、スティーブ。戦績は49戦13勝33敗3引き分け。最後に勝ったのは3年前という彼はボロボロになっても家族を養うため、レストランでバイトをしながら試合に出続けようとします。

そんなスティーブのジムにある日若手のスター選手、タレクのスパーリングパートナーを探しにコーチがやってきます。

コーチはスティーブには目もくれず、ほかの選手を引き抜こうとしますが、それを見たスティーブが自ら売り込みをかけ、なんとか仕事をゲットします。

まとまったギャラがもらえることに大喜びしたスティーブは舞い上がって娘にピアノを買ってあげることを約束します。

しかしいざタレクのスパーリングの相手をすると、スティーブは全く動けず、すぐにクビなってしまう、、、という筋書きになっています。

一見、普通のボクシングドラマですが、フォーカスしているのはボクシングではなく、引退間近のボクサーである父親と家族の関係を描いていますね。

あくまでもスティーブの物語なんだけど、ところどころ妻にとってのスティーブ、娘にとってのスティーブという描き方がされていました。

スティーブは好きでボクシングをやっているんでしょうが、タバコは吸うし、酒は飲むし、ストイックに続けているかというとそうではなく、他にできるもこともないし、とりあえずお金が必要だし、辞めるにも辞められないような印象を受けます。

そんな彼を妻も娘も陰ながら応援し、特に娘のオロールは一度でいいから父親の戦っている姿を見たい、と強く望みます。

でもスティーブは自分が無様に負ける姿を見せたくないのか、試合はおろかスパーリングにすら娘が来ることを拒否します。

しぶしぶ娘が来ることを承諾した公開スパーリングでは、案の定袋叩きにされてしまい、娘は自分の父親が観客からヤジられているのを見るのに耐え切れず、途中で会場を出てしまうほど深く傷ついてしまう下りなんてリアルでしたね。

できれば強いお父さんが活躍している格好いい姿を見たい。でも現実の父親は強い男とはほど遠く、観客からはバカにされ、相手選手からもてあそばれる存在。まだ幼い女の子にとっては複雑だろうなぁ。

僕にとってはスティーブよりも、むしろ娘のオロールのほうが主役でしたね。

彼女の持つ憧れの父親像と、スティーブ自身の父親像のギャップにお互いが苦しみ、戸惑い、そして最終的に受け入れていく展開になっていて、物語の重要な鍵を握っています。

なにより演技が自然でいいし、父親を見つめるときの彼女の笑顔が最高です。娘のいるお父さんが見たらキュンとくるでしょう。

一方でスティーブは記念すべき引退試合の直前にもタバコを吸うし、欧州王者を育てたコーチにまで口出しするし、いい奴だし、いい父親なんだけど、ナチュラルなポンコツぶりを発揮してました。

そもそもあんな落ちぶれたファイターが現役バリバリの選手のスパーリングパートナーなんて務められるはずないんだけどね。いくら経験があるとはいえ、レベルがまるで違うんだし。

あと、スティーブを演じたマチュー・カソヴィッツがもうちょっとボクシングを練習してたらもっといい映画になっていたでしょう。彼は素人丸出しなのに、タレク役には元世界王者のスレイマヌ・ムバイエを起用したもんだから余計にマチュー・カソヴィッツの素人っぷりが目立っちゃいましたね。

しかしそれを踏まえても、ワンパターンな「クリード・チャンプを継ぐ男」や「ロッキー・ザ・ファイナル」みたいな映画になっていないだけまだましでストーリーに入りやすいし、家族ドラマとしてしっかり見れる作品に仕上がっていました。全ては大げさにしない演出のおかけです。

僕が一番好きなシーンはトイレで奥さんがスティーブの顔に絆創膏を貼ってあげる下りですね。絆創膏を貼ってもらうときにスティーブは奥さんのお尻を触るんですが、痛みのせいでその手を一度振りほどきます。

すると今度は奥さんが自ら彼の手を自分のお尻に戻してあげるというやり取りがなんとも微笑ましかったです。ああいう細かい夫婦愛の描写なんかはさすがフランス映画って感じがしますねぇ。

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