2016/03/12

白いリボン(英題The White Ribbon)


52点(100点満点)

ストーリー

第1次世界大戦前の1913年、ドイツ北部のプロテスタントの小さな村で奇妙な事故が次々と起こり始める。男爵、教師、牧師、農民、子供たちが住むのどかな村で一体どこの誰が残虐な行為を繰り返すのか? 犯人を捜しても一向に見つからず、謎はただ深まっていくばかりだった。

感想
愛、アムール」のミヒャエル・ハネケ監督による第62回カンヌ映画祭パルム・ドール受賞作品で、今年のオスカーにノミネートされた一本。白黒の映像と独特のテンポが不気味さ、気持ちの悪さを醸し出していてホラーやサスペンスと一味違った恐怖がある。プロテスタントの厳格な躾と教育のせいで子供たちの顔に笑みがなく、常に緊張しっぱなしの重苦しさがひしひしと伝わってきて冷や汗が出た。アメリカ映画のように分かりやすいキャラクター設定をしていないため犯人が特定できないところも嬉しい。

一番評価したいのは、田舎町で起こる犯罪の陰湿さが上手く表現されていた部分で、計画犯罪、暴行、親近相姦などが決して表には出ず、あるいはたとえ出たとしても捻じ伏せられ、簡単に闇に葬られてしまうところがなんとも田舎町の事件らしくてゾクゾクしました。

強いて言うと、医者と彼の子供たちの面倒を見ている子守の女の関係が興味深かったですね。医者は散々立ちバックで性交しておいて、女に向かって「お前の口は臭い」だの「お前は醜い」だの「なんで死なないんだ?」だの酷いことを平気で言うところが笑っちゃいました。ことの最中ならまだプレイとして済まされる言葉攻めを、真面目な状況でしてしまうところが残酷すぎる。そこまで言われても女には他に行くところがないという八方塞がりの環境も閉鎖的な村ならではのことではないでしょうか。
また、男爵、医者、牧師など村内において社会的に認められている人たちのほうが腹黒く、裏で悪事を働いているのは、もはや映画の中だけの話ではないでしょう。そういえば昔、プロテスタントの牧師さんに突然、「お前には悪魔が憑いている!!」と言われたことがありました。これもそれぞれの受け取り方ですが、場合によっては「お前の口が臭い」とか「お前は醜い」といった悪口よりも「お前には悪魔が憑いている」という言葉の方がずっと残酷ではないかという気がします。しかし社会的に地位のある人、または地位のあると信じ込んでいる人というのは、他人にずかずかと物を言う権利があると思っているふしがあり、自分の発言を省みないのが常です。そういう人間たちはやはりこの映画のように得たいの知れない何者かによって罰を受けるべきですね。僕に、「悪魔が憑いている」といった牧師さん、あなたもですよ。まあ、実際憑いてるんですけどね。

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