2016/03/01

リリイ・シュシュのすべて

isaku

19点(100点満点)

ストーリー

中学生になった蓮見雄一は同じクラスの優等生・星野修介と仲良くなる。夏休み、2人はほかの仲間たちと西表島へ旅行に行く。しかし、旅行から戻った星野は変質し、番長を倒し自らその座に収まり、蓮見はいじめの対象になっていく……

シネマトゥディより

読者のテヨンらぶさんのリクエストです。ありがとうございます。

文句

岩井俊二による、三分の一はカットすべき無駄なシーンの数々で埋め尽くされた、視聴者を2時間20分の苦痛の旅へと誘う青春ドラマ。視点がブレブレで何が描きたいのか伝わらず、いじめ、青春、沖縄旅行、恋、レイプ、音楽ライブとなんのことだかさっぱりの一本。

登場人物にまともな人間がほとんど登場せず、冷たく、無関心な人々で覆われている社会が絶望的で気持ちが悪く、世界観が悪趣味です。リアリティーを出せればそれでも問題はないけれど、生徒のたちの演技に波がありすぎて、演技、演出指導が行き届いていないのが気になりました。学校の番長に迫力もなければ、いじめられっ子に卑屈さも感じず、一人一人の感情や特徴を掘り下げきれていませんでした。

沖縄のシーンはばっさりカットすべきでしたね。いきなりハンディカムになったりしてパニック映画が始まるのかと思ってはハラハラしました。中学生が初めて行った沖縄旅行なのに那覇とかじゃなく、離島のコアな旅をしていたのにも胡散臭さがつきまといます。

無駄だらけなので何が無駄だと言い始めるときりがありません。元ネタがインターネット・インタラクティブ小説らしいのですが、最初から最後まで続く画面中央にタイプされる文章がうざったいのなんのって。その文章がまた村上春樹調でくどくて目まいがします。

「彼女が生まれたのは1980年12月8日22時50分、この日付はジョン・レノンが殺された日時と一字一句符合する。でも僕にとってこの偶然の一致に意味はない。僕にとって重要なことはその日、その時刻に、彼女が誕生したということだけ。」

この偶然の一致に意味はない? だったらいちいちジョン・レノンのこと言うなよっつーの。ただの文字数稼ぎか。とにかくこんな文章がネット上のやり取りとして、画面にタイピングされていきます。最初だけならまだしも、最後まで続くから結構ハードです。

岩井俊二は一時期、引っ張りだこの大人気映画監督だったのに、やがて名前をほとんど聞かなくなりましたね。当時は映像美がすごいだの、世界観がすごいだのと散々持ち上げられました。しかしよくよく振り返ってみると、ただの一度も彼が奥深い映画を撮ったためしはなく、膝下程度の深さのプールでバタバタと泳ぎまわっていたにすぎないのです。

そんな岩井俊二が好きだという人はメルヘンな女性か不思議ちゃん、あるいはパスタばかり食ってる男ぐらいだと認識しています。そうじゃない人は「お願いだから早く終わってくれ」と両手を合わせたくなるはずです。岩井俊二はこの映画についてこう言ったそうです。「遺作を選べたら、これにしたい」。別の意味で、遺作になってしまいましたね。

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