ハーヴェイ・ワインスタインが自分の会社内でどんな暴挙を働いていたのかを薄っすら描いた作品。ドラマ性やエンタメ性はなく結構退屈です。40点
アシスタントのあらすじ
ジェーンは大学を卒業後、ニューヨークにある映画制作会社で秘書として勤務することになる。仕事は長時間労働で、ストレスも多かった。特に気分屋のボスにジェーンは日々翻弄された。忙しすぎて父親の誕生日も忘れてしまうほどだった。
仕事をしているうちにジェーンは、ボスがオフィス内で女性たちと関係を持っていることに気づく。女性たちは女優の卵や映画業界に憧れている美人な人ばかりだった。ボスはオフィスだけでなく、新しく雇ったばかりの秘書をホテルに泊まらせて関係を持っているようだった。ジェーンはそのことが気にかかった。彼女たちが肉体関係を強要されているのではないかと思い始めたのだ。
やがてジェーンは会社の人事部にこのことを打ち明けてみる。しかし人事部はジェーンの話を聞くどころか、余計なことを探索するのはやめるんだと逆にジェーンに説教をする始末だった。
アシスタントのキャスト
- ジュリア・ガーナー
- マシュー・マクファディン
- クリスティン・フロセス
- マッケンジー・リー
- ノア・ロビンス
アシスタントの感想と評価
ドキュメンタリー監督として知られるキティ・グリーンが撮った、悪名高きプロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインの下で働いた秘書を主人公とした実話ベースの映画。
数々の性的暴行事件を起こしてきたハーヴェイ・ワインスタインの会社の雰囲気がどういうものだったのか、またそこで女性たちはどういった扱いを受けてきたのかを秘書目線でつづっていくドラマです。
ドキュメンタリー監督が撮っただけにリアリティーは十分です。こんな会社ありそうだなあ、というワンマン社長の一存で全てが決まってしまうブラックな社風は、日本の中小企業を連想させるものがあり、そういう会社で勤務中の人が見たら、あまりのリアルさに気持ち悪くなるかもしれません。あるいはこれを見て、私の会社と同じだ、と思ったら辞表を出すきっかけになるかもしれませんね。
会社がハーヴェイ・ワインスタインの性的暴行を組織的に隠蔽していた、あるいは目をつぶっていた、という点においてはまさに日本のジャニーズ事務所と同じ構図で、ハーヴェイ・ワインスタイン以外の責任は問えないのかとふと考えてしまいました。なんなら社員のほとんどがクズみたいな組織なんだから片っ端から逮捕されてもいいのにね。
そんなクズ人間たちの生々しさ、絶妙な意地悪さなどを感じるにはこの映画はもってこいです。一方で終始淡々としていてストーリー展開が少なく、ビジュアル的なインパクトに欠けます。秘書ばかりを映し、肝心なボスの姿を一切登場させない手法を選んでいるため、社内でなにが起こっているのかがとにかく分かりにくいです。もしこの出来事の背景を知らないで見てしまったら全くなんのことを描いているのか見当がつかないレベルでしょう。
そういう意味では視聴者に優しい映画とはいえないですね。「SHE SAIDシー・セッド」を見てからじゃないと理解できないみたいな、これ単体では出来損ないな感じが否定できません。
また、「SHE SAIDシー・セッド」と比べるとサスペンス性に欠け、ハーヴェイ・ワインスタインのセクハラがどの程度のものだったのか伝わってこないです。ヒロインの秘書は地味だからか運良くハーヴェイ・ワインスタインの性のターゲットにされていないため、彼女自身が被害に遭うわけではないからです。
つまるところ被害者ではない第三者から見て、ハーヴェイの会社はどんなだったのかを客観的に伝えることにフォーカスしていて、秘書目線にこだわったせいで、あくまでも実際には事件現場を見ていない人の視点で物事を捉えることになるため、社内でなんか変なことが起こってる気がするなあ、ぐらいの感じなんですよね。徹底的に真実を突き止めてやろうっていう話でもないから当然インパクトが弱くなりますよね。
エンタメ度も低く、芸術路線の欧州映画のテンポと雰囲気を醸していて、いかにも国際映画祭では評価されそうです。上映時間が1時間半ぐらいなので最後まで見れない映画じゃないけど、面白くはないですね。
コメント
シーセッドを観ていたにも関わらず、ほとんどあらすじを見なかったので、しばらくワインスタインの話だと分かりませんでした。
ここに出てくる社員が1人残らず嫌な奴ばかりで、これらのパワハラは会社員経験がある者は大小あれど経験した事があるんじゃないでしょうかね。
しかし、ワインスタインはトップ女優から女優の卵、はたまた会社のアシスタントまで、どれだけ精力有り余っていたのかと空恐ろしくなりました。
ワインスタインの話って言われないとホント分からないです