中途半端なストーリーと設定による平凡な怖がらせ事件解決犯罪ドラマ。少年のキャラがダメダメです。14点
ブラック・フォンのあらすじ
1978年、デンバーの郊外では子供たちを誘拐して殺すシリアルキラー、グラバーが潜んでいた。その町でフィニーは妹のグウェンと一緒にシングルファザーの父親と共に暮らしていた。
フィニーは野球が好きでチームに所属していた。ある日の試合中、日系アメリカ人のブルースと対決し、打たれてチームは敗れてしまう。フィニーは主役になりたくてもなれなかった。
フィニーは学校ではいじめに遭い、喧嘩に巻き込まれることもあった。そんなとき同級生のロビンがいじめっ子たちからフィニーを守ってくれた。
そんなある日、野球で対決したブルースがグラバーに誘拐されてしまう。その光景をどういうわけかフィニーの妹のグウェンは夢として見ていた。グウェンは警察に協力するものの、犯人は捕まらず、今度はロビンまで誘拐されてしまう。
ブラック・フォンのキャスト
- イーサン・ホーク
- メイソン・テムズ
- マデリーン・マックグロ
- ジェレミー・デイヴィス
- ジェームズ・ランソン
ブラック・フォンの感想と評価
「ドクター・ストレンジ」、「NY心霊捜査官」などのスコット・デリクソン監督によるファンタジー・ホラー。スティーヴン・キングの息子、ジョー・ヒル原作の短編ホラー小説「黒電話」の映画化です。
シリアルキラーに誘拐された主人公の少年が、すでに死んだ被害者たちの助けを黒い電話越しに受けながら、勇気を振り絞って監禁部屋から脱出するまでを描いた退屈な作品です。
スティーヴン・キングっぽい青春ドラマと、スティーヴン・キングっぽいファンタジックなホラーをミックスした、なにからなにまでスティーヴン・キングっぽい映画で、ストーリー設定を受け入れられるかどうかが評価の分かれ目となりそうです。
僕的にはリアリティーと緊張感のなさのせいで、あんまり話に入っていけませんでした。特に違和感を覚えたのは主人公の少年がグラバーに誘拐された後の展開です。
少年フィニーはピエロの恰好をした誘拐犯に黒いバンに乗せられ、監禁部屋に連れて行かれるんですが、監禁部屋で目を覚めしてもフィニーは決して恐怖におののくこともなく、絶望することもなく、涙も一切流さないんですよ。それどころか終始誘拐犯に反抗的な態度を取って、やってやるぞ!みたいな顔してるんですよ。
一体どんな訓練を受けていたら小学生がその境地に達することができるのがまず理解ができないし、それ以降は話があまり入ってきませんでした。まず泣くでしょ、普通。
百歩譲って少年が気の強い少年だったとしましょう。それなら序盤で描かれていたようないじめられっ子じゃなくて、友人のロビンのような喧嘩の強いキャラにしておくべきでしたよね。
そうじゃなしに学校ではいじめられっ子だけど、本当はメンタルが強く、友人のアドバイスを聞いたら誘拐犯にも立ち向かえる勇敢な少年ってどんな奴だよって話じゃん。設定がブレブレなんですよ。
そんなブレブレ少年と、なにがしたいのかよく分からない変質者のシリアルキラーとのやり取りが半端なくつまらなく、シリアルキラーのマスクや風貌も特に恐怖を引き起こすほどのものでもなかったです。
この手の映画って「そもそもこれはホラー映画じゃなく、少年の成長を描いた青春映画だから」とか言い出すが奴がいそうで嫌ですね。ジャンルのくくりに異常にこだわるジャンルバカね。いいよ、別に青春映画として見ても。じゃあ「僕は誘拐されて人間的に成長しました」とか言われて、おおすごいすごい、じゃあ私も誘拐されてみようかしらってなるわけね? そんな成長いらないから。
また、監禁部屋には黒い電話があって壊れているはずなのに被害者の子供たちから電話がかかってきて、少年フィニーを励ましてくるっていう展開が無駄でした。それこそが題名のブラック・フォンなんだけど、シュールさだけが先行して電話のやり取りに中身がないんですよ。
向こうから電話しておいて、「あれなんだっけ、自分の名前忘れちゃったよ」とか言い出すし、僕だったら速攻切りますね。
その昔、日曜の午前中に日本の実家で僕が寝ているときに知らないアメリカ人の女から電話がかかってきて「アメリカに国際電話かけたいんだけど、どうやればいいの?」っていきなり英語で聞いてきた奴がいるんだけど、そいつを思い出しました。まず、お前誰だよって話だし、なんで面識のない俺の実家の電話番号にかけたんだよ、こっちは寝てたんだよって思っては無性に腹が立ったのを覚えています。あいつも名前を決して名乗らなかったなあ。それにしてもランダムで電話してつながったのかなあ。本当に不思議なんだけど。
それはとにかく誘拐の被害者である少年が、名前も名乗らない被害者たちの電話を取って、まともに受け答えしているのがちょっと笑えるんですよね。親友のロビンはまだ分かるんだけど、日系人のブルースなんてほとんど関わりないじゃん。彼の助言を聞いてどうなるのよ。
もう一つフィニーの妹は予知夢だか、正夢だかを見れるっていうファンタジーストーリーラインが敷かれていて、結局のところ黒電話と正夢のおかげでフィニーが脱出できるっていう辻褄や理屈を完全放棄した話になってるんですよ。それでも怖くて面白ければいいんだけど、つまらないからねえ。
警察だってフィニーの妹に言われたらなんの根拠もなく、逮捕状もないのにあれだけの数の警官を出動させて、一般市民の家にずかずか入っていくっていうのもありえないです。フィクションやファンタジーだからってなんでもいいってことじゃないからね。それならいっそのこと事件解決はシャーマンか霊媒師にでもやってもらったらいいじゃん。
コメント
私は楽しめましたが、正直同じ違和感ずっーと感じながら鑑賞しました。なんでこんなに主人公ずっと元気なの?とか、犯人が急に入ってくるとか心配しないの?とか。
いじめられっ子のキャラにしては度胸ありすぎですよね。犯人同じ時間にご飯持ってくるだけ?と思いましたが、見つかって殺された子もいたので、余計あれって思いました。
主人公、度胸ありすぎ、元気すぎですよね。
まあ、夏休みなので中、高校生くらいの子どもも見られるようにこういうつくりにしたのですかね。私も、エンタテイメントとして、楽しく見られはしましたが、主人公が穴掘ったり壁壊したりしていくらなんでもばれないわけないじゃんと思いました。
服は汚れるだろうし、トイレはつまるだろって。
それに部屋に入ってきて寝顔見てたりしてたし、犯人。あれも意味不明、なんか涙目だったし、伏線かなと思ったらなんでもなかった。
犯人の目的とかが全然わからないままなのがなんとも煮え切らないのと、妹の予知夢、あれ意味ないですよね・・まあ、家族でも見られる夏休みホラー映画っていう括りでは、楽しめる作品でした。ハラハラするところもあるし。グラバーがイーサンホークである意味が全くなかったですね(笑)
犯人が何がしたいのか意味不明でしたね。
初めまして。ご考察ごもっともです。
ホラーではなくサスペンスだと思って見ていたので、いちいち非合理な話にうんざりしました。
あんなに手で地面を掘れるわけないし、電話の主たちの存在ががアレなら、もう何でもありだし。犯人は最後まで何したいんだか分からないし。解決のキッカケもソレかよ、という感じでした。ホラーってこういうモノでいいのかとカルチャーショックでした。
ただ序盤の日常の風景は良かったです。これだけで通しても良いくらい。
犯人の目的が謎でしたね。
作品の序盤に「お前はいじめられても絶対に折れないやつだから」みたいなセリフあったから
メンタル自体はもともと強いって設定だったんじゃないの?
だから誘拐犯にも挑戦的だったのかと…。
まあ、粗が目立つのは確かだけどちゃんと見てれば伏線として理解できるところはあるよ。
そのセリフだけで納得してるの草。