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ある夜、彼女は明け方を想うはリアルで面白い!ネタバレ感想

この記事は 約6 分で読めます。

夫が転勤したタイミングで、年下の男と知り合い不倫するヒロインを描いたリアリティー満点の人間ドラマ。脚本が見事です。65点

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ある夜、彼女は明け方を想うのあらすじ

留学先のニューヨークで夫と出会い、学生のまま結婚した彼女は満たされた新婚生活を送っていた。そんなある日、夫の転勤先がニューヨークに決まった。少なくとも三年は向こうに行くという。彼女はまたニューヨークに行けると大喜びだった。

ところが同じタイミングで彼女は、期待もせずに就職の面接を受けていた第一希望の会社から内定をもらう。これを受け彼女はニューヨークと自分のキャリアを天秤にかけることになる。やがて彼女は夫に付いていくのもいいけど、自分で仕事も頑張ってみたいと思うようになった。それを打ち明けるとしかし夫は逆上した。話が違うといって今にも殴りかかってきそうな勢いだった。

結局夫は一人でニューヨークに行き、彼女は一人日本に残ることにする。その間、ひょんなことから参加した飲み会で彼女は年下の男の子と知り合い、深い関係になっていくのだった。

ある夜、彼女は明け方を想うのキャスト

  • 黒島結菜
  • 若葉竜也
  • 小野花梨
  • 北村匠海

ある夜、彼女は明け方を想うの感想と評価

松本花奈監督による「明け方の若者たち」の続編ともスピンオフともいえる作品。「明け方の若者たち」の視点を「僕」からヒロインに変えて撮った女性目線の物語で前作に勝るとも劣らない良作です。

明け方の若者たち」はサラリーマンになりたての青年の淡いひと時の恋愛と現実を少しずつ受け入れていく哀愁込めた青春ストーリーになっていたのに対し、本作はヒロインがどのように夫と出会い、結婚し、そしてニューヨークに転勤した夫の留守中、年下の彼と不倫に走ったのかが分かりやすく描かれています。

アマゾンのレビューを読むと、「明け方の若者たち」の評価は高いのに、こちらはボロクソ言われているのが興味深いです。どっちも同じ監督の同じテイストの話なのにこれだけ評価が分かれる理由はただひとつ、ヒロインの行動に嫌悪感を抱く人が多いからでしょう。

いわば映画の評価軸が、このヒロインが許せないから「この映画は嫌い」ってなっちゃってるのがもったいないです。ヒロインが腹立つのはいいんだけど、普通に現実社会にいそうなキャラに仕上がっているし、腹立つ部分も含めて評価されるべきなんですけどね。

いやいや、こんな奴いないでしょ、そこでこんなことしないでしょ、普通こんなこと言わないでしょ、っていうかお前はさっきから何をしてるの?っていう腹立つキャラなら映画の評価に反映させてもいいんですよ。そもそもリアリティーが失われちゃってるわけだから。

でもこのヒロインの場合、行動がリアルだし、浮気する女性の心理に基づいているし、ヒロイン目線で見ることによってただの悪い女じゃないんだなっていう発見や彼女なりの浮気に走った動機が伝わってきました。

なにがなんでも浮気は悪だ、不倫は最低だっていう黒か白でしか物事を判断できない人にはこの映画は向いてないでしょう。

一方で人生いつ何が起こっても分からないよねえ、色々あるよねえ、と様々なハプニングを受け入れていける人なら共感できるんじゃないでしょうか。

明け方の若者たち」でも話したけど、ヒロインは確かに悪い女なんですよ。でも彼女の立場で彼女の身に起きた出来事を見ていくと、そもそも旦那とうまくいってなかったっていうのが根底にあって、旦那に暴力的に怒られたことで彼女の中でなにかが崩れたのはまず間違いないでしょう。なんならあの喧嘩で離婚してもおかしくないぐらいの出来事じゃないかなあ。

でもすぐ旦那はニューヨークに転勤してしまったので離婚に至ることもなく、一緒に住んでいないのだからそれ以上嫌いになることもなく、かといって旦那に幻滅したのは間違いなく、そのタイミングで旦那とは違うタイプのイケメンの年下の男の子と出会ってしまった、というのが背景にあるのです。

モラルを語ってしまえばまだ籍が入ってるのにほかの人と関係をもっちゃいけないだろ、こら!になるんでしょう。けど、人間って一応動物だから感情や欲望はそんな風には機能しないじゃないですか。籍を入れるタイミングで恋愛スイッチがオフになるとかじゃないんだし。

ヒロインを見たところによると、彼女が言っていたように彼女が年下の彼を好きだったのは決して嘘ではないと思いました。いつかは終わってしまうことが分かり切った限られた間の関係だとしても一緒にいるときはせめて精一杯楽しんで、楽しませて、なによりお互い幸せだったのは紛れもない事実でしょう。

本来なら夫が転勤から引き揚げて帰ってきた時点で連絡を完全に絶って、二度と会わなくなってもおかしくないのに最後にちゃんと彼と会って事情を話したのがせめてもの彼女の誠意だったと思います。それがあざといんだよ、っていう解釈もできますよ。でも本当何も言わずに突然姿を消すやつとかいるからね。それに比べたら「誠実」なほうじゃないかなぁ。

年下の彼にどれだけ「好きだ」って言われても、彼女は頷くだけで頑なに「好き」とは言わなかったじゃないですか。多分、あれは彼女の中でのルールだったんでしょうね。それで別れ際に「ちゃんと好きだったよ」と過去形で言ったのが印象的でした。

そして3年ぶりに帰ってきた旦那を受け入れて、なんとなくまた元の鞘に収まる彼女の感覚もいいか悪いかは別として、とても現実的で、そうしてまたなにもなかったかのように結婚生活が続いていくのもあるあるですね。人は変化を望んでいるようで本当は今のままが一番いいっていう矛盾にヒロインの人生を感じました。

本作でもなかなか数々の名言が飛び出します。中でもベストは「私、日本合わないんじゃないかなあって思って。自分には海外のほうがいいような気がする」じゃないでしょうか。こういうことをいう奴、結構いるんだけど、だいたいが結局は自ら日本での生活を選択するからね。案の定、ニューヨークに住めるチャンスよりも無難な就職生活を選んでたでしょ。

そういうヒロインの薄ぺっらさや未熟さ、そして自分を正当化しようとしては罪悪感と欲望のはざまに揺れる苦悩がこの映画の醍醐味なんですよ。

このシリーズまだもう一つ作る余白がありますね。そう、ヒロインの夫目線で続編が作れそうです。夫目線でニューヨーク生活中、羽目を外しまくってるところをリアルに見せたらまたヒロインの浮気もしょうがないかって思えるんじゃないでしょうか。

だってね、海外で離れ離れになってるカップルって少なく見積もっても9割型浮気してるからね。あの夫だって絶対やってるから。なので浮気反対っていう人は自分のパートナーを一人で海外に行かせたりしたら絶対ダメだよ。

コメント

  1. もと より:

    「ある夜、彼女は明け方を想う」を観て
    この映画の評価が低いのは、ヒロインの不倫が原因では?との解説がありましたが、私はそこは気にならなかったのでよく判りませんが、私がヒロインに気になったところは、彼女がNY行きを拒んだ場面でのところです。
    あの場面で夫の言ってることは当然の言い分だと思うので、あの対応はどうなんでしょう?あの場合、「君の人生だからそれでいいんじゃない」と言わない夫はダメな夫なんですかね?
    所詮、映画ではありますが、そこに印象を残してしまい、映画の意図するものがよく分からなくなってしまったかもしれません🤔
    ※いつも解説、感想楽しみにしています(*^^*)

    • 映画男映画男 より:

      喜んでいたはずのニューヨーク行きを断ったりするところも自分が本当は何をしたいのかよく分かっていないふわふわした女性を上手く表現できていたと僕は思いました。ただ、普通の男は人生の大事な決断をあんなコロコロ変えられたらキレますよね。もちろん暴力はいけませんが。