短くて、シンプルで、サクッと見れるエンタメホラー。忙しいときの合間に見るのに最適な映画です。66点
RUN/ランのあらすじ
ダイアンは早産で娘を出産した。娘は保育器の中で小さく呼吸をしていた。17年後、娘のクロエはすっかりティーネイジャーになっていた。
クロエには生まれつき、様々な障害があり、毎日たくさんの薬を飲み、車椅子での生活を強いられていた。そんな彼女は大学進学を目指し、大学受験の合格通知を今か今かと待っていた。
ある日、クロエは母親の買い物袋に自分がいつも飲んでいる薬が入っていたのを発見する。しかし薬には自分の名前ではなく、なぜか母親の名前が書いてあった。母親にそのことを聞いてもうやむやにされるだけだった。
母親と映画館に行った日、クロエはトイレに行くと行って映画館を途中で抜け出し、薬屋に直行した。すると、心臓病の薬だと言われ、いつも飲まれされていた薬が犬用の薬だったことを知って仰天する。
RUN/ランのキャスト
- サラ・ポールソン
- キーラ・アレン
- パット・ヒーリー
- サラ・ソーン
RUN/ランの感想と評価
「search／サーチ」のアニーシュ・チャガンティ監督による監禁ホラー。頭のおかしい母親に病気だと言われて育った車椅子の娘が決死の脱出を図る、世にも恐ろしいお話です。
健康なのに母に嘘を付かれ障害児として育てられた、というプロットは「見せかけの日々」と同じですね。娘が車椅子に乗っている状況からしてもパクリと言っても過言ではないぐらい両作品は似ています。とはいえこれはこれで怖くて面白かったですね。
「見せかけの日々」が実話なのに対し、こちらはフィクションですが、作り物の話としては突っ込みどころはあるものの合格ラインに達しているかと思います。
物語はホームスクールで勉強し、大学進学を目指すヒロインのクロエが自分が飲んでいる薬を疑い始めるところから本題に入ります。
クロエはネットや電話でなんとか情報を収集しようとしますが、上手くいきません。そこで映画に行きたいと母親に提案し、トイレに行くと嘘を付き、近くの薬屋で自分の飲んでいる薬について聞きにいきます。ところがその様子を母親に見つかってしまい、それ以来監禁されてしまう、というのがストーリーの流れです。
小さなときから親に洗脳されて生きてきたら健康な体でも病気持ちの体だと信じ込んでしまう、というのはありえるでしょうね。「お前は体が弱いんだから無理しちゃダメ」とか親に言われて過保護に育った子供をもっと極端にした形がクロエなのかもしれません。
母親の心情としてはとにかく娘を自分の側に置いておきたい一心のようで、子供を愛情深く育てているようで実は依存しているだけ、というのも実社会にいるお父さんお母さんのデフォルメっぽいですよね。
子供を自分の思い通りに育てるなんて親のエゴでしかないんですが、一歩踏み間違えると、ダイアンのように暴走しかねない、という反面教師のような内容にもなっていました。
ただし、飲んだら脚がしびれるなんていうホラー映画に都合のよすぎる薬なんて存在するかよっていうのはひっかかりました。
ピンポイントで脚に来るってどんな高性能な薬だよって話じゃないですか。それで調べてみたら案の定、劇中で紹介されているTrigoxinっていう薬はやっぱり架空の薬のようです。そりゃあそうだよな。でもああいういかにもフィクションのくだりすらも信じちゃう人多そうですね。人間の薬じゃなくて犬の薬っていうのがまた絶妙なチョイスだしね。
基本的には母親のぶっ飛び具合を怖がって楽しむタイプの映画で、狂人の母親から娘は逃れようとするけど、その度に捕まってしまう、という心臓バクバクの緊張感を堪能できます。
ストーリーが進むに連れて、いくつか気味の悪いサプライズや痛いシーンがあり、エンタメ性が高く、ホラー映画としての責任は十分に果たしていました。
ヒロイン役のキーラ・アレンも母親役のサラ・ポールソンも安定感抜群の演技を見せていて、二人の迫真の演技によって成り立っている作品ともいえそうですね。
サラ・ポールソンといえば「オーシャンズ8」に出ていた格好いい女性というイメージが強いんですが、最近はホラーものに連続で出ていて、かなりはまってますね。
よくよく考えると、ストーリー性はそこまでないんですよ。母親が頭がおかしいと気づく＞監禁される＞逃亡を図る＞母親に捕まる＞娘がある行動を起こす＞母親が追い詰められる＞オチ、という感じでものすごくシンプルな内容を1時間半にぎゅっとまとめてあるだけです。
逆にいうと、余計なセリフや展開を作らなかったおかげで、上質のホラーになったとも考えられそうです。
ちなみに本作はVPNサーバーを使えばネットフリックスで視聴できます。
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