皮膚を売った男はくだらないサスペンス!感想とネタバレ

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カップルの行動が見ていて、いちいちイラついてくる、エセ芸術社会風刺映画。深いようで浅く、細かいようで雑な話です。30点

皮膚を売った男のあらすじ

シリアのラッカに住むサムとアビールのカップルは内戦に巻き込まれ、離れ離れになってしまう。サムは難民としてレバノンに逃亡。対するアビールは親に勧められるがままに裕福な男と結婚し、ベルギーに移民する。

サムは工場などで働きながらなんとか生き延びていた。ときおり友人と美術館のパーティーに忍び込んではタダ飯を食ったりして空腹をしのいでいた。

そんなある日、サムは美術館で有名な現代アーティストのジェフリー・ガッドフライに呼び止められる。恋人がベルギーにいて、彼女を救い出したいと話すサムに対し、ジェフリー・ガッドフライはビザと交換に彼の背中に自分のアート作品をタトゥーとして描くことをオファーする。

捨てる物がなかったサムは自由のためにその条件の飲んで自分の背中を差し出した。しかしそれは想像を絶する不自由の始まりだった。

皮膚を売った男のキャスト

  • ヤヤ・マへイニ
  • ディア・リアン
  • クーン・デ・ボウ
  • モニカ・ベルッチ
  • ダリナ・アル・ジュンディ
  • クリスチャン・ヴァディム
  • ヴィム・デルボア

皮膚を売った男の感想と評価

チュニジア発、カオテール・ベン・ハニア監督によるサスペンスドラマ。欧州のビザ取得のために自分の体をアート作品として売った男の数奇な運命を描いたエンタメ映画で、2021年アカデミー賞国際長編映画ノミネート作品です。

東京国際映画祭でも上映され、国内外でかなり高い評価を得ていたので期待して見たんですが、正直なところ中身はかなり残念でした。

ゴリゴリの現実派芸術路線映画かと思いきや、ふたを開けてみれば中途半端な社会風刺娯楽作品で、突っ込みどころばかりが目立ちました。

まず、この映画を理解するには、実在するベルギー人アーティスト、ヴィム・デルボアのことを知るべきです。

ヴィム・デルボアはタトゥーを入れた豚を展示したりとなにかと物議をかもすアーティストで、そんな彼はかつてティム・ステイナーという名の男性の背中にタトゥーを彫って、それをアート作品にしたことがありました。

ティム・ステイナーは契約上、年に何回か展覧会に出席し、文字通り作品にならなければなりません。そして彼が死んだときにはタトゥーだけ皮膚からはがされ、額に入れて展示されることも決まっているそうです。

このネタをプロットにしたのが何を隠そう本作で、行き過ぎた現代アートにシリアの難民問題を加えた結果、シリア難民の男が愛する恋人と再会するために欧州のビザと引き換えに自分の皮膚を売る、という話に仕上がったのです。

プロット自体は興味深いし、なんだか面白そうな予感すら抱かせてくれます。しかしこれがつまんないですよ。

まず、絶望的に俳優陣の演技が下手クソすぎて終わっています。まず、舞台がレバノンになっても、なぜかみんな登場人物たちが英語で会話する、というダメなハリウッド映画みたいな設定になっていて、その時点で現実味が感じられません。

外国人俳優たちがみんな母国語ではない英語を使って演技しているから自然と全体のパフォーマンスが落ちているんですよ。

また、ストーリーの軸ともいえるサムとアビールの関係性もボロボロで、とても内戦によって離れ離れになった悲劇のカップルという感じがしないんですよね。

アビールはアビールであっさりほかの男と結婚しちゃうし、サムはサムで自分だけ勝手に国外脱出しちゃうし、絆もなにも最初からないんですよ。これ、命がけで自分たちの家族を守りながら生きているシリアの人たちが見たら怒るんじゃないの?

正直、あの程度の二人ならお互いが別々の場所に行った時点で関係は終わってるでしょう。それなのになぜか二人は連絡を続けて、仲良くスカイプで話したりしっちゃってるんですよ。アビールなんて旦那に隠れてこそこそスカイプしたり、電話したりなんかしてたけど、あんなことをイスラム社会でやったら旦那に見つかった時点で殺されるでしょ。

一方のサムはいちいち態度が挑戦的で、それでいて命を狙われたすぐ逃げるし、ビビりなのか命知らずなのか行動に一貫性がないんですよ。

また、ご飯もろくに食べてない難民という設定なのに服を脱いだらなぜか無駄に筋肉ムキムキだし、なにからなにまでよくちぐはぐでしたね。

そんな二人だからこそ、お互いがお互いのどこに惹かれてるのかが全く伝わらないし、こんな女嫌だわあ、というのと、こんな男嫌だわあ、という思いが最後まで続きました。早い話が見ていて腹立つんですよ、この二人。

そんな二人がどういうわけか喧嘩と仲直りを繰り返して、最後はまた強引につっくいていくのも意味不明でした。途中経過がざっくり抜けてるだろ。

問題はフォーカスがブレブレのところですね。社会風刺なのか、サスペンスなのか、ラブストーリーなのか、難民ドラマなのか分からないんですよ。終盤、サムなんてアビールのこと完全に忘れてたでしょ。もう2時間ずっとピンボケの写真を見せられたみたいな気持ちになりました。

そしてフィナーレはさも大衆受けしそうなサプライズエンディングになっているんだけど、あれにしても強引すぎて、なんの根拠も辻褄もないよね。なんがシステムを負かした、だよ。あれのどこが勝ちなんだよ。それこそ一生不自由じゃねえかよ。

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