一見、優しくて息子思いのモンスターマザーが子育てを失敗する物語。もし自分の子供が麻薬中毒になったら、という暗い話です。42点(100点満点)
ベン・イズ・バックのあらすじ
クリスマス・イブの日、ベン・バーンズは依存症の治療施設を抜け出して実家に帰ってきた。一家は不安に駆られたが、母親のホリーは息子を温かく迎え入れた。しかし、それが原因で、クリスマスが地獄のような一日へと変貌することになった。やがて、ホリーはベンがかつて自分が愛した息子とほど遠い存在になってしまったことを自覚するに至った。
wikipediaより
ベン・イズ・バックのキャスト
- ジュリア・ロバーツ
- ルーカス・ヘッジズ
- キャスリン・ニュートン
- アレクサンドラ・パーク
- コートニー・B・ヴァンス
- レイチェル・ベイ・ジョーンズ
- マイケル・エスパー
- デヴィッド・サルディヴァル
ベン・イズ・バックの感想と評価
「ギルバート・グレイプ」の脚本家として知られるピーター・ヘッジズ監督による家族ドラマ。
麻薬中毒の青年が施設から出てきて、家族とクリスマスを一緒に過ごそうとするも、彼のせいで家族が様々なトラブルに見舞われる様子を描いていきます。
主人公のベン・バーンズはぱっと見、真面目そうで家族思いのように見えますが、どことなく今にもやらかしそうな雰囲気をかもしています。
弟や妹たちは彼の帰りを素直に喜ぶのに対して、母親と義父は警戒心を強めます。それもそのはずベン・バーンズはかつて麻薬の過剰摂取で死にかけたり、ディーラーをしていたことがあり、散々家族に迷惑をかけたからです。
せめて今年のクリスマスは大人しくしていようと努めるベン・バーンズ。彼がおかしな真似をしないようにずっと見張っているお母さん。自分の血のつながった息子ではないだけにきつく言えない義父。
クリスマスイブの晩には家族揃って仲良く教会に行きますが、その間にベン・バーンズの昔の悪い仲間たちが彼のことを聞きつけて家族の愛犬を誘拐する事件が起こる、、、という筋書になっています。
つまりは麻薬中毒の息子を持つ家族の葛藤や苦しみを描いていて、できれば家族に迷惑をかけたくない息子と、息子を守りたいけど、手に負えない状況に自分を見失っていく母親目線の話になっています。
主人公を演じるのは、「ある少年の告白」や「マンチェスター・バイ・ザ・シー」にも出演していたルーカス・ヘッジズ。本作の監督の実の息子です。
一方で母親を演じるのは最近あまり見かけなくなったジュリア・ロバーツ。二人の演技は悪くないし、それなりにドラマを作っているものの、ジュリア・ロバーツ扮するお母さんのキャラが若干うざいですね。
前半から後半にかけては全てが息子ベン・バーンズがやらかすまでのフリになっていて、いつまた麻薬に手を出すのか、いつ悪い仲間と接触するのかを暗示しつつ話が進んでいきます。
そして後半、犬が誘拐されてから暴走するのはむしろお母さんのほうで、家は散々荒らされ、犯罪の証拠もばっちり残っているのに警察には連絡せず、息子とお母さんが車に乗って犯人を捜しにいく、という無茶苦茶な展開になっていました。あの辺りからリアリティーを失い、つまらなくなりますね。
犯人である可能性の高い悪い奴らの家を「うちの犬いませんか?」と訪ねて回る息子にノコノコついていく母親ってなんだよって思いましたね。いいから警察行けよ。
麻薬中毒の息子の幼馴染に薬を渡したり、旦那には嘘をつきまくるし、母親のモラルを疑いました。もしこれで母親の母性愛を描いているのだとしたら、ちょっと違うよねぇ。だって厳しさがないもん。息子のことを想うなら最初から施設に送り返さないと。
また、一日のうちにどんだけ息子は昔の顔なじみに会うんだよっていうほど、ばったり人に出くわしすぎだし、挙句の果てにはあれよあれよという間に麻薬のディーラーをやらされたり、話を詰め込みすぎましたね。たった一日であんなにいろんなこと起きないから。
その割にはわずか一日の出来事を描いているせいで、全体的にはこれといったインパクトのあるエピソードがないんですよね。ぎゅっとまとめると「薬物はやめなさいね」の一言で要約できちゃうし。
家族構成がやや複雑で、息子と妹は白人の母親と元旦那との子供、小さな兄妹は現在の黒人の夫との子供という構成になっていましたが、あれも特別異父兄弟にする理由が見当たらないです。
それに夫は妻の連れ子の教育には決して口出ししないみたいなイメージと偏見はどこから来るんでしょうかね。あの状況なら普通黙ってないでしょ、家族全員が危険にさらされてるんだから。家族6人も養って発言権ないとかお父さん可哀想すぎるだろ。
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