映画バイスはイラク戦争の真相を明かす!感想とネタバレ

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ブッシュ大統領を裏で操っていた権力者ディック・チェイニーのバイオグラフィー。911後のアメリカ政府の失態を分かりやすく描いています。53点(100点満点)

バイスのあらすじ

クリスチャン・ベイルが激変!映画『バイス』予告編

ディック・チェイニーはジョージ・W・ブッシュの下で副大統領を務め、心臓の持病を抱えながらも、「史上最強の副大統領」「影の大統領」と評されるほどの影響力を発揮した。チェイニーの影響は今日の国際秩序にも及んでいる。その一方で、チェイニーは「史上最悪の副大統領」と指弾されることもあり、毀誉褒貶が著しい人物であると言える。本作はそんなチェイニーの実像を描き出す一つの試みである。

wikipediaより

バイスのキャスト

  • クリスチャン・ベール
  •  アレックス・マクニコル
  • エイダン・ゲイル
  •  エイミー・アダムス
  • ケイリー・スピーニー
  • カロリーナ・ケネディ・デュレンス
  • スティーヴ・カレル
  • サム・ロックウェル
  • アリソン・ピル
  • リリー・レーブ
  • ジェシー・プレモンス
  • タイラー・ペリー

バイスの感想と評価

マネー・ショート 華麗なる大逆転」のアダム・マッケイ監督による、アメリカの副大統領にスポットライトをあてた政治ドラマ。アカデミー賞ノミネート作品です。

911の同時多発テロから、いかにしてディック・チェイニーがアメリカを、そして世界を裏で動かしてきたかが分かる、そこそこ面白い映画です。

タイトルの「バイス vice」は、「vice-president 副大統領」の「副」に当たり、「ナンバー2」の意味でよく使われますが、「史上最強の副大統領」と称されるディック・チェイニーにはふさわしいタイトルになっていますね。

物語は、ただの架線作業員だったディック・チェイニーが心入れ替え、学問に励み、ホワイトハウスのインターンとしてドナルド・ラムズフェルドのもとで働くようになったことをきっかけにトップの政治家にまでのぼりつめていく様子を当時の実際の映像などを交えながらユーモアを込めて描いていきます。

主演は、「バットマン」シリーズなどでも知られるクリスチャン・ベール。彼は何十キロも増量して撮影に臨んだことが話題になりましたね。「戦場からの脱出」のときと比べると大人一人分ぐらいの体重差がありそうです。

ただ太っただけでなくクリスチャン・ベールは見た目まで副大統領にかなり似せていて、相変わらずものすごい役者根性してますね。

一方でわざわざ俳優に健康を害するような無理なダイエットをさせたり、増量させたりする必要はあるのかなぁとはいつも思いますけどね。別に太った役者なんていくらでもいるんだから。この役をクリスチャン・ベールが演じないといけない理由は特に当たりませんでした。

それ以外のキャストもブッシュ大統領やコリン・パウエルなど当時のホワイトハウスのメンバーを俳優たちがそっくりに演じています。ブッシュなんて話し方とか動きとか物まねの域に入ってますね。コリン・パウエルは顔だけで笑えます。

ストーリー的にはディック・チェイニーのサクセスストーリーに当たる前半は退屈で、逆に転落ストーリーに当たる911のテロ事件後のエピソードはエキサイティングでした。

ブッシュ大統領がリーダーとしてどれだけ無能で、ただの操り人形だったかを皮肉を込めて描いていて、その裏では副大統領のディック・チェイニーがほとんど実権を握っていた、というのがこの映画の焦点となっています。

特に911後、対テロ戦争をおっぱじめたアメリカ政府がどさくさに紛れてイラクにまで侵攻したのを決めたのはほかでもなくディック・チェイニーをはじめとする当時のホワイトハウスのメンバーたちでした。

彼らはイラクに大量破壊兵器があるとでっちあげたうえで、サダム・フセインの脅威を強調しつつ、イラクにいたビンラディンとほとんど関係性のない過激派のアブー・ムスアブ・アッ=ザルカーウィーをまるで大物テロリストかのように紹介し、戦争を正当化していたようです。

するとアメリカ政府から名指しで非難を受けたアブー・ムスアブ・アッ=ザルカーウィーはアンチアメリカ政府のアラブ裏社会の中でたちまち有名人になり、ヒーロー的な存在になります。

そして名声と権威を手にした彼は後にイラクでのテロ行為を主導し、イスラム国のリーダー格となっていく、という皮肉結果が待っています。

つまるところ当時のアメリカ政府はただ余計なことしただけだった、というのが真相のようで、イラク戦争の実態が明るみになって批判が集中し、民主党へ政権交代が行われるところで物語は幕を閉じます。

成功と転落の温度差の激しさは、いかにもハリウッドの政治ドラマという感じがして、政治の話に娯楽性を持たせる手法はさすがですね。邦画にはそうないですもんね。

ただ、しがない架線作業員だった男がいかにして這い上がったのか、という点についてはこれを見た限りではあまり分かりませんでした。

酒場で喧嘩をして捕まってしまうようなダメ男だった彼が奥さんに叱られたかと思うと、次の瞬間にはホワイトハウスでインターンをしている、という話の飛びっぷりだったので、ちょっと物足りなかったです。むしろその間のことを詳しく見たかったのに。

それにしてもよっぽど才能があったのか、優秀だったのか、34歳の若さでアメリカ合衆国大統領首席補佐官に就任するってすごいな。

崖っぷちからの這い上がり方には夢がありますね。あのポテンシャルを見抜けた、奥さんがすごいわ。世界一のあげまんじゃないですか。

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