2017/04/19

復讐者に憐れみを

復讐の連鎖を描いた、怖くて、グロくて、痛い韓国スリラー。スローで静か過ぎるのがやや気になるけれど、演技、演出のリアリティーの高さはやばいです。65点 (100点満点)

あらすじ

聴覚障害者のリュは、病気の姉を救うために自分の腎臓を移植しようするが、血液型が合わず、臓器売買の密売組織を頼る。しかし手持ちのお金はおろか自分の腎臓まで組織に騙し取られてしまい無一文になる。その間にも姉の病状は悪化をたどるばかり。切羽詰ったリュは恋人のヨンミにそそのかされて、工場の経営者の娘を誘拐することに。ところが事故で娘は溺れ死んでしまう。このことがきっかけで工場経営者はリュに復讐を誓う。

文句

オールド・ボーイ」、「親切なクムジャさん」と並ぶ復讐三部作のひとつで、リアリティー溢れる暴力描写をしっかりと撮っていて、思わず目を塞ぎたくなるようなシーンが続出するバイオレンスムービーです。

10年以上前に一度見てここでもレビューもしていたんですが、今回見たら全くストーリーを覚えていませんでした。面白いという記憶だけはあったのに内容を覚えていない。つまりは面白いけど、記憶には残らない映画です。

物語は、聾唖のリュが病気の姉の移植手術のために犯罪組織に自分の臓器を売って代わりに姉にマッチする腎臓をもらおうとしたのをきっかけに泥沼にはまっていく様子を描きます。

犯罪組織はリュに臓器を渡すどころか、リュのお金と腎臓を奪って身包みをはがして逃亡します。その間に姉の臓器にマッチするドナーが病院で見つかり、至急お金が必要になったことから仕方なく勤め先の社長の娘を誘拐し、身代金で手術代を払おうとします。

ところが誘拐後に姉は自殺してしまい、さらに社長の娘は溺れ死んでしまう不運が立て続けに起こります。リュは自分をこんな目に遭わせた犯罪組織に復讐することを誓う一方で、社長は自分の娘を殺したリュを追いかける、というのがあらすじです。

復讐ドラマというと、普通は加害者と被害者の立ち居地がはっきりしていて、追いかける側と追われる側に分かれているものですが、この映画の場合、ストーリーの中で複雑に怒りの矛先が絡み合って、複数の登場人物が復讐を試みるというユニークな構成になっています。

そのため前半部分はリュが主人公で、後半になると社長が主人公になるといったように復讐者によって視点が切り替わるのが面白かったです。

さらに演出ではリュが聾唖だからか、音を極力少なくしていて、ほとんどBGMが使われていません。あれに耐えられるかどうかでこの映画の評価が変わってきそうですね。人によっては眠くなったり、退屈する人もいるでしょう。

前半は特にスローで沈黙と退屈に溢れているので、あの部分をもっとスピーディーでエキサイティングにしていたら、もっと万人受けする映画になっていたような気もします。

ひとつ気になったのは、各シーンに変に「間」が多かったことです。それがまた北野武監督の「間」に似ていましたね。影響されたのかな?

キャストはいずれの俳優もいい味だしています。リュには独特の雰囲気があります。恋人も可愛くて自然で存在感があるし、セックスシーンではちゃんと脱ぐし、言うことないです。

それになんていってもソン・ガンホの演技は本当にすごいですね。娘の死体解剖のシーンのパフォーマンスは鳥肌もので、その後、リュの姉の死体解剖のシーンがあるんですが、自分の娘とリュの姉の死体解剖での表情や反応の違いの出し方が細かくて唸りました。

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