動画配信サービス完全ガイド

VODの歩き方

詳細はこちら

スリー・ビルボード(原題THREE BILLBOARDS OUTSIDE EBBING, MISSOURI)

この記事は 約4 分で読めます。

ブラックコメディーと人間ドラマとサスペンスをミックスしたようなオリジナリティー溢れる展開と斬新なストーリーで構成されている作品。最初の10分で引き寄せられました。74点(100点満点)

スリー・ビルボードのあらすじ

ミズーリ州の田舎町。7か月ほど前に娘を殺されたミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)は、犯人を逮捕できない警察に苛立ち、警察を批判する3枚の広告看板を設置する。彼女は、警察署長(ウディ・ハレルソン)を尊敬する彼の部下や町の人々に脅されても、決して屈しなかった。やがて事態は思わぬ方へ動き始め……。

シネマトゥデイより

スリー・ビルボードの感想

マーティン・マクドナー監督による、脚本とストーリー構成が非常に優れたヒューマンドラマ。自分の娘をレイプされ殺害された母親が、看板に警察を批判する広告を掲載したのを機に田舎町で次々と起こる奇妙な出来事を描いていきます。

物語の主人公は、娘を殺した犯人をなんとしてでも捕まえたいと願っている肝っ玉お母さんのミルドレッド。彼女は口が悪く、乱暴で、目的のためなら手段を選ばない無鉄砲な性格の持ち主です。

ある日、何ヶ月も捜査が進まない警察に痺れを切らしたミルドレッドは、町外れにある何年も放置されていた広告看板に警察署長を名指しで批判する文章を掲載します。

それを機にメディアは事件を報じるようになり、警察や警察を支持する地元の人々はミルドレッドに様々な圧力をかけるようになります。

ミルドレッドの息子は学校で苛められるようになり、元旦那まで広告を取り下げるようにミルドレッドを脅すようになりますが、それでもミルドレッドは決して諦めずに事件を解決するために奔走する、というのがストーリーの流れです。

愛と憎しみと差別と偏見と皮肉が入り混じった会話のやり取りが見事ですね。笑えるセリフも多々あります。

一見、ブラックユーモアの混じった犯人探しのサスペンスのようで、蓋を開けてみると複雑かつ巧妙な作りになっていて、結局のところは人間愛に行き着いたのかなという印象を受けました。

キャスティングが素晴らしく、ヒロイン役のフランシス・マクドーマンドもよかったけど、やっぱり一番は悪徳警官を演じたサム・ロックウェルですね。あのダメッぷりがいいですね。アホで無能で、首になっちゃうとか笑えるし。

前半は登場人物の性格の悪さが際立っています。口が悪く、嫌味で、差別や偏見の塊みたいな人間ばかりで、どこにも優しさが感じられません。アメリカの閉鎖的な田舎町を分かりやすく極端に描いた結果がああいう形になったんでしょう。

しかし後半からラストにかけて粗野で乱暴や人々にも人間性と思いやりを持ち合わせていることが徐々に表面に出てきます。そこに安心と希望が感じられて、なかなか心が温まりました。

差別主義者の警官は署長の手紙を読んで心を入れ替えるし、ヒロインのミルドレッドも人々の優しさに触れるうちに笑顔を取り戻していきます。

そしてそれこそが実は彼らにとっては事件を解決することよりも大事なことだったんじゃないのかと思わせる結末になっていましたね。

恨みと怒りの矛先を外に向けるのではなく、内から消化していくような展開は予想ができなかったし、いい意味でハリウッド映画らしくなかったです。

ラストはどうなんでしょう。あの後二人は容疑者に対してどんな行動に出るのか想像が膨らみます。やるのかやらないのか。二人の笑顔を見ていると、多分やらないでしょうね。

二人のあのすっきりした表情が様々なことを物語っていて、謎と余韻を残しつつも、どこか清清しくなるエンディングでした。面白かった。

>>「スリー・ビルボード」はU-NEXTで視聴できます

コメント