2017/10/10

ゆれる

見ていて全く心がゆれない兄弟ドラマ。兄弟のわだかまりを法廷にまで持ち込む、はた迷惑な家族の話です。42点(100点満点)

映画「ゆれる」のあらすじ

東京でカメラマンとして成功している猛(オダギリジョー)は母の一周忌で帰省する。彼は実家のガソリンスタンドを継いだ独身の兄の稔(香川照之)や、そこで働く幼なじみの智恵子(真木よう子)と再会し、3人で近くの渓谷に行くことにする。猛が単独行動している間に、稔と渓谷にかかる吊り橋の上にいた智恵子が転落する。

シネマトゥデイより

読者のせばさんのリクエストです。ありがとうございます。

映画「ゆれる」は解釈以前の問題

「ディア・ドクター」でお馴染みの西川美和監督による兄弟裁判ドラマ。多くの解釈ができると話題になった作品ではあるものの、ただ表現しきれていないだけの言葉足らず映画。検察官、裁判官、弁護士の無能ぶりには閉口すること間違いなしです。

褒められる点は香川照之の演技ぐらいでしょうか。ほかの俳優たちは滑舌が悪すぎて重要な部分が聞き取れません。伊武雅刀の言うことなんて9割理解できませんでした。字幕つけてください。

物語は、田舎で育った兄弟と幼馴染の女の三角関係のもつれから事件に発展していく様子を描いていきます。

三人は渓谷に遊びに行き、吊橋を渡ろうとしたときに女がそこから落下し、死亡してしまいます。女と吊橋を渡ろうとしていた兄は果たして彼女を突き落としたのか。それともただの事故なのか。

嫉妬、信頼、兄弟愛などが入り混じる兄弟の関係性が裁判を思わぬ方向へと導いていく、というのがストーリーの流れです。

この映画において議論の的となるのは、兄が女を突き落したかどうかという点じゃないでしょうか。映像では落したパターンと、助けようとしたパターンの二通りを見せているため、視聴者がどちらにも受け取れるような余白をあえて与えています。

作品によっては色々な解釈ができることが功を奏する場合と、そうではない場合がありますが、僕にとってはこの映画は後者でした。

解釈の選択肢を与えるんだったら、もっと全体をリアルにしないと話にならないんですよ。だって視聴者は現実社会の概念や常識を基に判断するんだから。

この映画の最大のミスは、ところどころリアリティーがないところです。膝下ぐらいしかない川に落ちたのに死体が見つからないで、警官が大勢で捜索している下りとか笑えます。あんなに高いところから落ちたのにどこにも血がついてないのかよ。

司法絡みのエピソードも稚拙で、説得力に欠けますね。日本の司法が自白を重要視するのは誰もが知るところですが、だからといって証拠のない自白だけで全てが決定するということではないですよ。

兄の自白で逮捕、弟の証言で有罪って警察も裁判官も全く裏を取らないで「こいつが言うなら間違いない」って決めるわけないじゃん。そんなに馬鹿じゃないから。

プロの検視にかかれば死体や現場を調べれば突き落とされたのか自分で滑って転んで落ちたのかぐらいの違いはすぐに分かるんです。

そんなの分かりようがないと信じているのは素人ぐらいなもんで、プロにはちゃんと分かるんですよ。例えばこの本とか読んだら、検視のプロたちがいかにすごいか理解できますよ。

だから落ちたのか落されたのかを議論にするのは題材としてすごく無理があるなぁと思いましたね。劇中、検察官は女の体から精液が検出された、とかほざいていましたがどこを念入りに調べてんだよって。これは重要な証拠だぞとかいいながら、何回も指突っ込んでそうで怖いです。

そんなところよりもっと調べるべきところがあるでしょうよ。兄の腕のひっかきが傷とか、なんで誰も触れないんだよ。

なにより兄弟の関係性をもっと深く掘り下げないとダメですね。幼年時代から思春期にかけてどのような関係を築いていったのか。大人になってどう関係性が変わったのかなどのシーンがないと想像しようがないんですよ。

あるべき描写が足りないとどういうことになるかというと、結末が気になる人は二回、三回見ることになるんです。そして多くの人はそういう映画こそ深い映画だと勘違いするんだけど、僕から言わせたら面倒くさい映画でしかないです。

冷静に考えると、この物語って兄弟喧嘩を法廷でやってるだけの話ですよね。家でやれよ。

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