2017/10/26

永い言い訳

交通事故で妻を失った男のその後を描いた、本木雅弘ゴリ押し映画。ダメ男が他人に優しくなったり、自堕落な生活を送ったりしながら再起を図る単調な人間ドラマです。45点(100点満点)

映画「永い言い訳」のあらすじ

人気小説家の津村啓こと衣笠幸夫(本木雅弘)の妻で美容院を経営している夏子(深津絵里)は、バスの事故によりこの世を去ってしまう。しかし夫婦には愛情はなく、幸夫は悲しむことができない。そんなある日、幸夫は夏子の親友で旅行中の事故で共に命を落としたゆき(堀内敬子)の夫・大宮陽一(竹原ピストル)に会う。その後幸夫は、大宮の家に通い、幼い子供たちの面倒を見ることになる。

シネマトゥデイより

映画「永い言い訳」の感想

ゆれる」や「蛇イチゴ」でお馴染みの西川美和監督による、バス事故で妻を失くした夫の贖罪(しょくざい)と再起を描く人間ドラマ。西川美和監督本人が書いた小説の映画化です。大げさな演出はそれほどなく好感は持てるけれど、見せ場も少なく、インパクトに欠ける作品ですね。

物語は、イケイケの小説家と美容院経営の妻による子供のいない熟年夫婦の関係性を描いていきます。小説家の幸夫は妻の目を盗んでは若い女と遊び、妻に対してもほとんど愛情を感じていません。

そんな中、妻のいない自宅で愛人と過ごしていたら、幸夫のもとに警察から電話がかかってきます。それはなんとバスの事故で妻が亡くなったことを知られる訃報でした。

しかしすでに夫婦仲が冷め切っていた幸夫は特別悲しむことができません。メディアは妻を事故で亡くした悲劇の男として取り上げ、幸夫はますます複雑な気持ちになります。

そんな幸男が時間を忘れるためにしたことは同じ事故で亡くなった妻の親友の夫の子供たちの面倒を見ることだった、というのがストリーラインです。

完全に本木雅弘ファンに向けた映画であることに異論はないでしょう。特にしぶがき隊世代のファンをターゲットにしているかのような雰囲気があって、本木雅弘を奥さんは大事にしないし、女好きでダメな奴だけど、子供には優しくて、少年のような心を持つ、憎めない男として描いているのもそのせいでしょう。

どこか間抜けで頼りなく、女に対しては甘えん坊で、子供の前では中性的で、そしてときおりはっとするほどイケメンの本木雅弘を見せて、おば様たちの母性本能をくすぐっちゃおうという戦略です。

そんな本木雅弘を見ていると、どこかジョニー・デップと重なるものがありますね。あの変な喋り方もジョニー・デップ化への一歩だと思います。

それにしても今の時代日本において善意で他所の家の子供の面倒を見てあげる人なんてまずいないでしょう。仕事としてならまだしも、気軽に人の子供を預かるような文化もないし、子供はみんなで育てましょうみたいな助け合いの精神もないでしょうよ。

妻が望んでいたかもしれない子育てをやることが、妻の親友の子供たちの世話をすることが、罪滅ぼしになる、あるいは絶望感を忘れて充実感を得られる、というのもしっくり来るようで、僕には響かなかったです。

妻の死後の彼の行動は全て”言い訳”だったとも言えそうです。いずれにしても幸夫は妻が死んだときに自分は他の女といたのが最後まで心にひっかかっていたようですね。確かに浮気は浮気でも最悪のタイミングでの浮気ですよね。

週刊誌が取り上げたら大騒ぎになりそうなゲスネタではあるものの、そんなに気になるなら自分の小説に書くぐらしか幸夫にできることはないでしょう。

物語の終盤で「永い言い訳」という本が出版されますが、果たしてそこに本音が書いてあったのかどうか疑問ですね。本の中では美化しまくってたらそれはそれで面白いけど。

唯一、印象に残ったのは黒木華扮する浮気相手がセックスの最中に夢中になって腰を振っている幸男の顔を見て言った一言です。

「馬鹿な顔」

セックスに乗り気じゃない女が男にいうセリフとしてはあれほど効果的な一撃はないでしょう。でも傷つけたくなかったら絶対言っちゃダメですよ、あんなこと。

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