ダンサー・イン・ザ・ダーク(原題DANCER IN THE DARK)

ビョークの才能と脇役キャストの自然な演技によって支えられた芸術路線のミニシアター系映画。65点(100点満点)

あらすじ

舞台はアメリカのある町。チェコからの移民セルマは、息子ジーンと2人暮らしをしていた。貧乏だが工場での労働は、友人に囲まれて日々楽しいものだった。

だが、セルマは先天性の病気で徐々に視力が失われつつあり、今年中には失明する運命にあった。ジーンもまた、彼女からの遺伝により13歳で手術をしなければいずれ失明してしまうため、必死で手術費用を貯めていた。

しかし、セルマは視力の悪化により仕事上のミスが重なり、ついに工場をクビになってしまう。しかも、ジーンの手術費用として貯めていた金を親切にしてくれていたはずの警察官ビルに盗まれてしまう。

wikipedia より


読者のせたさんのリクエストです。ありがとうございます。

文句

アンチクライスト」、「メランコリア」、「ニンフォマニアック」など話題作を連発するラース・フォン・トリアー監督による、とある移民の悲劇を描いたミュージカルドラマ。

アイスランド出身の歌手ビョークをヒロインに起用したビョークが演技をし、ビョークが歌って踊る、ビョークのための映画といっていいでしょう。

歌手がいきなり映画の主演を張ったりすると大抵滑りますが、この映画は違います。ビョークは息子の目の手術をするためにチェコからアメリカに移民してきた貧しくて純粋なシングルマザー、セルマを上手く演じていました。

年齢国籍職業不詳の雰囲気を持つビョークのエキゾチックなキャラが、仕事中も歌や踊りのことを考えてついつい空想の世界に入り込んでしまう天然キャラのヒロインとマッチしていますね。

ドキュメンタリータッチで描かれたハンディカムによる映像は独特の世界観を作っています。ストーリーも分かりやすくて、ちょっと残酷な童話といった感じで物語に入りやすいです。

ビョークの歌声については今更いうまでもないでしょう。びっくりしたのはむしろ息子のジーンの美声です。あれはきっと歌でオーディションを勝ち取ったパターンですね。

面白いのがミュージカルなのに全然明るくないところです。いきなり登場人物が歌って踊り始めるのはお馴染みの風景なんだけど、タイトルの通り、闇の中で踊っているから、ときにそれは痛々しい限りです。

踊ってる場合じゃねえだろっていうシーンの連続で、セルマにとって踊りは純粋な喜びの表現や自由への賛美というより、現実逃避の手段のように僕には映りました。

クライマックスは警察官の殺害シーンでしょう。あの下りが一番衝撃的で、負のスパイラルに包まれたセルマの不幸で悲劇的な人生を最もよく象徴しています。

ただ、事件後にテンポが乱れて、スローになるのがじれったかったです。セルマの歌と踊りは逮捕後も続きます。貧困にあえぐ中、もうすぐ失明するのが分かっていて、遺伝的に目の悪い息子のことも心配で、挙句の果てには友達にはめられて逮捕されるんだから、もう踊ってないとやってられねえ、という心境だったのかもしれませんね。

たとえそうだしてもさすがに裁判中に踊ったらいけませんね。裁判官の質問にもろくに正直に答えず、証言台でタップダンスなんて踊り出したら、そりゃあ死刑になるよ。

まあ、あれは空想のシーンなんでしょうけど、裁判で自分の命がかかっている大事なときに空想にふけってる場合じゃないんですよ。ちゃんと事情を説明して容疑を晴らさないと。結構ああ見えて不真面目なんですよね、セルマって。それかただのアホか。

自分の命より息子の視力のほうが大事だという母親の気持ちは分かります。とはいえ息子のジーンを守ることと、自分の命を犠牲にすることの関連性が薄いんですよね。全然二者択一の状況じゃなかったもん。

息子が不安にかられると視力に影響するから、自分が貯金していたお金の使い道は絶対に言えないという思考回路も分かりませんでした。お母さんが死刑になるほうがよっぽど不安になるだろって話しですよね。

純粋で、童顔で、キュートなのにめちゃくちゃ頑固とか、そんなギャップいらないから。あの頑固さはある意味罪ですね。

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