「ダンサー・イン・ザ・ダーク」、「メランコリア」、「ニンフォマニアック」、「ザ・ハウス・ザット・ジャック・ビルト」などで知られるラース・フォン・トリアー監督による問題作。25点(100点満点)
アンチクライストのあらすじ
プロローグ
雪が降る夜、夫(ウィレム・デフォー)と妻(シャルロット・ゲンズブール)が愛し合っている最中、快楽に陶酔するあまりに一人息子が窓によじ登っているのを気付かず、転落死させてしまう。第一章:嘆き
葬儀の日、妻は歩きながら気を失って倒れ、入院する。自らの不注意が原因で子供を失った妻は悪夢に悩まされ、セラピストである夫が支える。ある日、妻が恐怖から逃れる場所は森であり、そこはエデン(楽園)だと言い出す。妻の病の原因を探るため、エデンに向かう二人。
第二章:痛み(混沌と支配)
深い森の奥にある山小屋に着き、妻の治療に専念する夫。第三章:絶望(魔女狩り)
夫は屋根裏部屋で過去に妻が残したGynocide(魔女狩り)など女性迫害に関する文献や日記を発見する。虐待を欲する歪んだ肉欲にかられる妻。夫に届いた検死報告書から、妻が息子を虐待していたことを知る。妻の本性を知った夫が自分を捨てるという妄想にとらわれた妻は、夫の脚に重い研石を埋め込み逃げないようにする。
第四章:3人の乞食
そして、狂気に駆られた最悪の結末を迎える。
wikipediaより
アンチクライストの感想
狙いすぎて外した感の強い芸術路線映画。アートを履き違えるとこうなるっていう作品です。
スローモーションによる白黒のベッドシーンに始まり、最中に息子が窓から落ちて死んでしまうという、人生最大の喜びと悲しみを同時に味わうというドロドロ感満点の立ち上がりはいいです。
でもそれ以降は終始男女の会話だけで構成されていて退屈極まりなかったです。低予算映画で、出演者はほぼ二人だけ。経費節約のためかおまけで動物まで出演してるのが笑えました。
ホラー映画といえばホラー映画になるんでしょうが、ぜんぜん怖くなかったですね。女役を演じたシャルロット・ゲンズブールがうじうじすねているだけで狂気に満ちた感じがあまり表現できていなかったです。
結構、えぐいシーンもあって、女が自分の性器をハサミで切るシーンなんかは、大島渚監督の「愛のコリーダ」の影響を受けているんじゃないかなぁ、なんて思ったのですが、どうなんでしょう?
はっきりいって映画自体は面白くなかったです。それでも「ダンサー・イン・ザ・ダーク」や「ドッグ・ヴィル」を撮った監督の作品となれば、当然固定のファンたちは見るんでしょう。
映画に出演している俳優は野球のチームでいうところの選手に当たると僕は思っています。その一方で監督は野球チームの監督ではなくチームそのものです。だから俳優で映画を選ぶ人は好きな選手一人が移籍したら応援するチームまでそっくり変えてしまうようなミーハーなファンと言えるでしょう。
その点忠実なファンというのは選手が誰になろうと自分のチーム、すなわち同じ映画監督を追いかけるのです。そういう意味でも一度日本に作品を紹介し、ある程度のファンを獲得したのなら、その監督の作品はずっと公開し続けて欲しいものですね。じゃないと応援できなくなっちゃうから。
特定の監督を崇拝しているファンにとってはその映画が面白いかどうかなんてさほど問題じゃなく、「あの監督がまた撮ったのかあ、今度はどんなのになるんだろう」とワクワクさせられる、それだけでも映画館に行く前にその人はある程度興奮をもらっているんです。
だから実際つまんなくても、がっかりはするかもしれないけれど「まっいっか、私あの監督のこと好きだし」と、大目に見れたりします。
かといってこれは無理っていう作品ももちろんあります。この映画はどっちかというと後者かな。
コメント
「アンチクライスト」はキリスト教の原罪をテーマにした作品だととありました。
なので、キリスト教に疎い人が見たら、何が何だかさっぱり解らなかったのではないでしょうか?
丸刈りーたさん
キリスト教がテーマというほど壮大な話ではないですよ。宗教をテーマにしたら深い話だっていう脅しだと思います。