2017/04/19

スポットライト 世紀のスクープ(原題SPOTLIGHT)

spotlight

カトリック教会の神父たちによる性的虐待の数々の実態をジャーナリストの目線で描いた作品で、暴力シーンにもセックスシーンにも頼らずにストーリーだけで十分に面白く仕上がっている社会派ドラマ。過剰な演出もないし、演技もよかったです。69点(100点満点)

あらすじ

2002年、ウォルター(マイケル・キートン)やマイク(マーク・ラファロ)たちのチームは、「The Boston Globe」で連載コーナーを担当していた。ある日、彼らはこれまでうやむやにされてきた、神父による児童への性的虐待の真相について調査を開始する。カトリック教徒が多いボストンでは彼らの行為はタブーだったが……。

シネマトゥディより

文句

アカデミー賞ノミネート」作品であり、「扉をたたく人」のトム・マッカーシー監督による最新作です。カトリック教会の神父たちが、少年少女たちにいたずらしちゃってる話は、一度や二度は聞いたことがあると思います。その事実をカトリック教会やバチカンが組織的にもみ消している実態をジャーナリストが暴いていく物語です。

ボストン・グローボ紙に勤めるジャーナリストたちは、ある日、マイアミからボストンに転勤してきた上司に神父の性的虐待の実態を取り上げるように指令を受けます。最初は大したスクープじゃないと思って油断していたら、実はボストンだけで性的虐待の加害者神父が13人もいることを突き止めます。

さらに調べを進めていくと、実は13人どころじゃなくて、90人ぐらいいるんじゃないのかと話が拡大していきます。そして被害者や弁護士に聞き込み調査をすると、どうやら教会が組織的に事件を闇に葬っていることが分かります。教会はときにはお金を使って、またあるときは裁判所まで巻き込んで、事件の証拠の数々を消していた、というのがあらすじです。

被害者は女の子だけでなく、男の子もたくさんいます。変態神父たちの手口は、貧しい家族に近づいていって優しくし、家族の子供に手伝いなどをさせて接近します。貧しい家族からすれば神父は神と同等の存在で、そんな人の手伝いをするのは大変光栄なことだそうです。そうこうしているうちにエロ本を子供に見せて、「このことは内緒だよ」と二人だけの秘密を作ります。挙句の果てには少年の下半身を触り、「さあ私のをしゃぶってみなさい」などと言うのです。

幼年時代にそんな強烈な経験をした子供たちは心に深い傷を負います。大人になってもその体験は消えず、事件のことをジャーナリストに打ち明けるときには大抵泣き崩れます。それほど恐怖と不信に満ちたトラウマになっているのです。

そうした実態を隠そうとするのは、なにも教会側だけではありません。地域の熱心な信者たちもまた事件が公になるのを嫌い、被害者たちに圧力をかけていきます。まるでそれはボストンという都市が総力を挙げてカトリック教会のイメージを守るためにやっているようですらあります。

カトリック教会による性的虐待のエピソードを全く知らない人が見れば、おそらく衝撃が走るでしょう。僕はこれに関連するドキュメンタリー映画「Deliver Us From Evil」を鑑賞したことがあるので、だいたい知っている内容でしたが、それでもやはり気味が悪かったです。「Deliver Us From Evil」では当時のブッシュ政権も教会とずぶずぶの関係で、逮捕された神父の刑を軽くするなど裏工作をしていたことを非難しています。こっちもかなり衝撃な内容なので興味のある人はぜひ見てみてください。

それにしても俳優たちがみんなそれぞれ良かったですね。マイケル・キートンが久々にいい映画に出演したな、という感じがしました。マーク・ラファロも相変わらず名脇役ぶり発揮してます。彼らが演じる新聞記者たちは、正義感と情熱にあふれ、絶妙なチームプレイで働いてるので、見ているこっちが気持ちよくなってきます。これを見て、新聞記者になりたいって思う人出てくると思いますよ。現実社会でも新聞記者たちがあんなだったらいいんですけどね。

さて本作を見てふと思ったのは、日本の神父さんやお坊さんなんかも裏で、いたずらしちゃってるのかな、ということです。日本であんまりこうした話題を聞かないのは事件の数が少ないのか、それとも完全に闇に葬られているのか、どっちなのでしょうか。もしかしたらある町では日常茶飯時なのに町ぐるみで隠蔽しているかもしれませんよ。あなたの地元は大丈夫ですか?

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