物語る私たち(原題STORIES WE TELL)

story

39点(100点満点)

ストーリー

女優であり映画監督でもあるサラ・ポーリーの母、ダイアンは明るく無邪気で、誰からも愛されたが、サラが11歳のときに亡くなってしまう。「サラだけがパパに似ていない」という兄姉たちのジョークが心に引っ掛かっていたサラは、母の人生について調べてみようと決意。ところが皆が語るのは、サラがこれまで知り得なかった母の恋であり……。

シネマトゥディより

死ぬまでにしたい10のこと」で主役を務めたサラ・ポーリーが監督したドキュメンタリー映画。亡くなった自分の母親のストーリーを自分の家族のメンバーにインタビュー方式で語らせていく、というエゴの固まりのようなサラ・ポーリーを知らない人からしたらどうでもいい一本。

5人兄弟の末っ子のサラ・ポーリーは兄や姉に母親は生前どんな人だったか聞いて語らせます。母親が亡くなったとき、サラ・ポーリーはまだ幼かったため、あまり覚えていないこともあり、キャスティングプロデューサーであり女優だった母親がどんな人物だったのかを改めて知ろうと試みるわけです。

サラ・ポーリーの母ダイアンは明るく、エネルギッシュで誰にでも優しく接するような魅力的な人物で、ある日たまたま見に行った舞台に出ていた俳優のマイケルと恋に落ちて結婚します。二人は5人の子供を授かり、幸せに過ごしていていましたが、若くして癌を患い、亡くなってしまいます。ダイアンが5人目の子供、つまりサラ・ポーリーを妊娠していたとき、高齢だったこともあり、中絶しようとしますが、病院に行くときに気が変わり、サラ・ポーリーを出産するに至ります。しかしダイアンが出産をためらっていたのは本当は高齢のためではありませんでした。

生まれてきたサラ・ポーリーはほかの兄弟と違って赤髪で、「お父さんが違うからだ」などというのが家族の間で冗談として語られていました。ところが母ダイアンの過去をほじくっていくと、実は母には愛人がいたことが分かり、サラ・ポーリーには別の父親がいることを30歳を過ぎて初めて突き止めるのです。

普通の日本人の感覚なら、こんなことがあったら、光ゲンジの大沢樹生並にメディアも大騒ぎして、なにより本人が一番動揺するところですが、自分大好きエンゴセントリック、サラ・ポーリーは違います。むしろこんな出来事は最高の映画のネタになるのでオイシイのです。自分のエピソードを客観的に、それも映画監督の目線で見ているからこそなせる業です。そしてまた、サラ・ポーリーの育ての父も本物の父親も俳優なので、その事実にショックは受けつつも、「久しぶりにものを書きたくなってきた」、「これは記事にするべきだ」などと言って興奮するのです。あの辺の感覚はすごいですね。

一方で、この映画はサラ・ポーリーの父親は別にいた、というだけで成り立っている映画とも言えます。映画を撮っているうちに衝撃の事実を発見したようなストーリー進行になっていますが、実は生みの親が見つかったから、映画でも撮るかといってカメラを回したのは見ていて明らかでした。言ってみれば喜多嶋舞の息子は果たして大沢樹生なのか、というレベルのことを、映画にして海外で放映しているようなものなので、やっぱり冷静に考えても、「そんなの知らねぇぇよ」な映画なのです。