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ボディビルダーはラストが台無し

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ラストが弱くて、作品全体の印象が薄くなってしまった惜しい映画。ああ、なかなか面白かったなあという作品にはなれたはずなのにもったいないです。49点

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ボディビルダーのあらすじ

キリアン・マドックスは、精神的な問題を抱えた食料品店の従業員。そんな彼はボディビルに取り憑かれ、将来はプロの大会で優勝するという夢を掲げていた。キリアンの「最高のボディビルダーになる」という夢は、彼の中に負の行動を生み出し、肉体を維持するためにステロイドを服用し、身体的な不調を引き起こしていく。

彼は頻繁に感情の爆発を起こし、上手く感情を表現することがでできなかった。彼のフラストレーションは性的な形でも現れ、異性に対して歪んだ思いを抱いていた。ある日、ボディビルの大会の準備を進める中、キリアンは勤務先のスーパーで想いを寄せる女性ジェシーをデートに誘おうとする。しかし自分の思いを上手く伝えられず、気まずくなって立ち去ってしまう始末だった。

また、彼はボディービルのチャンピオンのブラッドにも強い執着を抱き、彼にファンレターを書き続けていた。手紙には自分のボディビルへの情熱やブラッドへの憧れが綴られ、電話番号も書いたがもちろん返事はなかった。

一方、祖父の家の塗装をめぐって地元の塗装店主と揉め、再塗装を拒まれたことに激怒したキリアンは、その店にまで押しかけていき、窓ガラスや商品を破壊してしまいまう。

その後、ふとしたときに同僚のジェシーから電話をもらい、晴れてデートに行くことになる。しかし突然そこでキリアンは父親が母親を殺害し自殺したといった重い話を一方的に語り始め、彼女を困惑させる。さらに次第にボディビルへの狂気的な夢を語るとジェシーはついて行けなくなり途中で店を出て行ってしまう。

そして迎えたボディビル大会の当日、会場を向かおうとしたキリアンを以前破壊した塗装店の店主の甥とその仲間が襲撃し、キリアンは大けがを負ってしまう。それでも彼は傷だらけの体でステージになんとか立とうとするのだった。

ボディビルダーのキャスト

  • ジョナサン・メジャース
  • ヘイリー・ベネット
  • テイラー・ペイジ
  • ハリソン・ペイジ
  • ハリエット・サンソム・ハリス
  • マイク・オハーン

ボディビルダーの感想と評価

イライジャ・バイナム監督によるダークヒューマンドラマ。プロのボディビルダーを目指す精神不安定な男の身に起こる数々の出来事をつづった根暗な映画です。ボディビルダー版「ジョーカー」などと言われていたので期待したんですが、「ジョーカー」ほどは面白くないし、ダークヒーローになりきれなかった出来損ない感が拭えないです。

駄作とまでは言わないけど、面白い映画ではないです。なんせ暗いし、エンタメ要素がほぼないからね。精神を病んだ主人公キリアンの危なっかしい言動を見守る映画で、彼が何をやらかすのかをハラハラしながら鑑賞することになると思います。

キリアンはボディービルダーとしての体型維持のためにステロイドを乱用し、そのせいで精神が不安定なのか、あるいはもともとなのか、突然キレて暴走したりします。

そうじゃなくてもコミュ障で人付き合いが下手なため、彼のことを支えてくれる人は一緒に住む祖父だけという孤独な世界に生きています。悲しい事件によって両親を亡くしていることもあって、それが精神的なトラウマになってるのもあるんでしょう。

いずれにしろ生きるのが下手な主人公は、ボディビルの世界に光を見出します。この世界で活躍してプロになればきっと輝かしい未来が待っていると錯覚し、アマの大会で優勝し、プロになることを目指し、有名ボディービルダーに何度もファンレターを送って、自分を知ってもらおうとします。

ただ、彼のそんな行動も努力というよりむしろ執着、あるいは執念に近く、決して彼を幸せに導くものではないというのが見ていて悲しかったです。そしてある意味、この映画はそのことに主人公本人が気づく旅という感じでつづられていますね。自分が情熱を燃やして本気で取り組んでいることは、果たして自分を幸せにしてるのか?という自問自答の旅です。

実社会でも筋肉に魅せられ、筋肉に執着していく男って結構いるけど、ステロイドの乱用で若くして死んだりするケースも少なくないから、なかなか闇深いですよね。ただの筋トレ好きならまだしも、本気でボディービルをやるようになると、ある種社会性を失っていくリスクがあるからね。だって常に体型維持と栄養補給のこと考えないといけないから友達と外食なんてできないし、異性とデートするぐらいなら筋トレしてたほうがまし、とかっていう考えになるんだから。

本作のキリアンもせっかくジェシーとデートできたのに、ずっとボディビルの話してるし、筋肉にしか興味がないみたいな残念な奴になっていました。その結果、デート中にジェシーは途中退場してしまいます。ああやってデートの途中で何も言わず帰ったりする女、最低だなって思ってたけど、この場合はしょうがないかなって思っちゃうほど男の方がダメダメでした。

基本、筋肉のことしか考えてないから性欲はあるけど他人には興味がないっていうね。あれでどうやって恋人作るんだよ。せめてプロの風俗嬢が慰めてやれよって思ったけど、風俗嬢からも冷たくされる現実。ああ、悲しい。挙句の果てには憧れのボディービルダーは実はゲイでそいつにもいたずらされちゃうっていうね。

そんな救いようのない現実を突きつけられた主人公は銃を握り復讐に出る、というのがストーリーの流れですが、ラストはちょっと拍子抜けしました。あの流れならそれこそジョーカーを彷彿させるようなゴリゴリのバッドエンドにしてもらいたかったし、当然そうなることを期待させるようなフリが続いてたからね。

いい意味で視聴者を裏切ったという人もいるんでしょうか。自分の場合はちゃんと予想通りの悲劇が見たかったと思いましたね。なんかいい話で終わらせようとしてないか? 銃もあんなところに捨てちゃダメだし、そもそもその以前に重罪を犯してるんだからちゃんと刑務所行かないと。ラストをちゃんと悲劇で絞めて、カタルシスを感じさせてくれていたら、作品の評価も変わっていたでしょう。なんだかその点でいうと、最後までちゃんとやらないという主人公性癖と似てますね。

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