ジョーカーはアメコミ映画最高傑作!感想とネタバレ

この記事は 約6 分で読めます。

脚本、演出、演技のどれもが非常にレベルが高く、子供よりも大人向けに作ってあるアメコミ映画。ヒーロー映画が苦手な人にこそ見てもらいたいです。75点(100点満点)

映画ジョーカーのあらすじ

映画『ジョーカー』本予告【HD】2019年10月4日(金)公開

アーサー・フレックは貧しく、精神に病を抱えながらもゴッサムシティでなんとかコメディアンを志していた。

小さなアパートで母親と二人暮らしをしている彼は、ピエロのバイトでなんとか食いつなぎ、いずれ憧れのコメディアン、マレー・フランクリンが司会するトーク番組に出ることを夢見ていた。

アーサー・フレックには笑いをコントロールできない精神疾患があった。そのせいでときどき発作的に笑いを発してしまい、人々からは白い目で見られ、気持ち悪がられた。

ピエロのバイト中には不良少年たちに看板を盗まれ、追いかけると、殴る蹴るの暴行にあった。

にも関わらずバイト先のボスは、アーサー・フレックの咎めた。ある日、アーサー・フレックはバイト仲間から身を守るために銃をもらい、護衛のために携帯するようになる。

するとあろうことか病院で難病の子供たちの前でピエロのパフォーマンスをしている最中、みんなの前で銃を落としてしまう。

同じ晩、アーサー・フレックは地下鉄の中で三人組の男に絡まれ、咄嗟に銃を抜き、三人共銃殺する。そのとき彼は妙な解放感を抱いたのだった。

ピエロの恰好をした男が殺人事件を起こしたとしたゴッサムシティでは一大ニュースになった。殺された三人はエリート階級の人間だったため、常日頃から富裕層に支配された社会に不満を持つ貧困層には事件がデモを起こすきっかけとなった。

アーサー・フレックは真面目に生きていたときには誰も自分を相手にしなかったのに対し、人を殺した後ではまるで人々が自分の存在を認めているような快感を覚えた。それを機に彼はピエロの殺人鬼ジョーカーと化すのだった。

関連記事映画ジョーカーのあらすじをラストまで徹底解説

映画ジョーカーのキャスト

  • ホアキン・フェニックス
  • ロバート・デ・ニーロ
  • ザジー・ビーツ
  • フランセス・コンロイ
  • マーク・マロン
  • ビル・キャンプ
  • グレン・フレシュラー

映画ジョーカーの感想と評価

「ハングオーバー」シリーズや「ウォー・ドッグス」で知られるトッド・フィリップス監督による、バットマンシリーズの悪役ジョーカーを主人公とした上質の人間ドラマ。ベネチア国際映画祭金獅子賞に相応しい傑作です。

従来のアメコミ映画の殻を完全に破ったダークでディープな話で、CG頼りのアクションや漫画的要素を極力排除し、普遍的かつ芸術的人間ドラマに昇華させることに成功しています。アメコミ映画にこれだけの芸術性を感じたのは初めてです。

主人公がアメコミの登場人物というだけで、社会の隅に追いやられ、精神に異常をきたし、犯罪に走るサイコパスを描いている、という点においては実社会に通用する普遍的な物語になっているので、ヒーロー映画に抵抗がある大人でも普通に見れるはずです。

その一方で最近のド派手なDCやマーベル映画に慣れ、それを同じノリのアクションヒーロー映画を期待している人たちは、あまり楽しめないでしょう。

子供たちにとってはテンポが遅いだろうし、絵的な派手さや格好さがないし、この映画の素晴らしさは伝わりにくいかなと思いました。なので商業的に成功するかどうかはちょっと難しいところですね。

そんな中であえてお金か芸術かを天秤にかけて、芸術を選んだかのような印象すら受けて見ていて感心してしまいました。よくライバルのマーベルスタジオがじゃんじゃん金儲けに走っている今の時代にこの方向性で勝負したなぁと思いますね。

日本ではR-15指定なのに対し、アメリカでは17歳未満禁止のR指定になっているんですね。バットマン関連の映画ではR指定は初めてだそうです。

それだけ暴力描写が本格的で、十分に恐怖があるし、ホラーやスリラーのカテゴリーに入れていいでしょう。

ジョーカーの狂いっぷりはやばかったですね。これまでなんとなく悪い奴としか描かれていなかったジョーカーがいかにして奇人変人になっていったのかを説得力のあるエピソードの数々でつづっているため、不思議とジョーカーに感情移入してしまい、気づいたら彼を応援していました。

つまりジョーカーにはジョーカーなりのちゃんとした理由と動機があって、殺人を犯すようになった、というのが上手く解説されてるんですね。むしろバットマンの父親をはじめ正義側とされてきた人間のほうがずっとブラックで、あんな描かれ方されたらバットマンのファンが減っちゃうんじゃないかな、と心配になるほどでした。

フィクションなのに嘘っぽい話やご都合主義みたいな展開がなかったのが最高でした。僕がひっかかったのは、あれだけの精神疾患を抱えたジョーカーことアーサー・フレックに恋人ができる下りですね。

相手は同じアパートのビルに住むなかなかの美人黒人女性なんですが、あんなキモい奴と彼女が付き合うわけねえじゃんって思ったんですよ。

まともな精神状態にない男と幼い娘を抱えたシングルマザーのお母さんがわざわざ恋愛するかよっていうのが疑問だったんです。

でもあの二人の関係にしてもちゃんとオチがあったし、ストーリー設定はほぼ文句なしでしたね。

強いて文句を言うなら、精神病患者なのにお母さんはどうやってアーサー・フレックのことを養子にもらえたんだよっていう点ですかね。普通、審査通らないでしょ。

この映画がマーティン・スコセッシ監督の「キング・オブ・コメディ」や「タクシードライバー」からインスパイアされているのは有名な話ですが、いくつかオマージュはあれど、僕はそれほど上映中に両作品の思い起こすことはなかったです。

というか完全に「キング・オブ・コメディ」や「タクシードライバー」を超えちゃってるんで、むしろマーティン・スコセッシ監督のほうが感謝するべきじゃないかなと思いましたね。

ここまでの完成度に仕上げた立役者はトッド・フィリップス監督はもちろん、間違いなくホアキン・フェニックスの怪演によるものでしょう。

ジョーカー役といえば、よく「ダークナイト」のヒース・レジャーが話題に出ますが、ホアキン・フェニックスの今回のパフォーマンスはその比じゃないです。

一言でいうと、キモいんですよ。最高に気持ち悪いんです。あの気持ち悪さはなかなか出せるもんじゃないですよ。

動きがキモいとか、表情がキモいとか、いろいろあるけど、まずびっくりしたのは体の気持ち悪さですね。

ただ痩せてるだけじゃなく、一目で不健康だと分かる、奇形な体を創り出しているんですよ。あれすごいな。

走り方も独特だったし、笑いの発作もリアルだったし、むせながら笑うっていう高度なテクニックには脱帽しました。

ホアキン・フェニックスって作品に恵まれない俳優という印象が強かったけど、今回は文句なしのキャリア最高のパフォーマンスでした。

普段映画に対して続編を作って欲しいって思わないんですが、これに関してはぜひ作ってもらいたいですね。ホアキン・フェニックスのジョーカーがもっと見たいわ。

なんだか今日はアメコミ映画を褒め過ぎたせいで調子が狂ってきました。もうこれぐらいにしておきます。

>>【ネタバレ】映画ジョーカーのトリビアまとめ

>>映画ジョーカーの解説!ラストシーンの意味は?

コメント

  1. アクション より:

    バットマン映画は大好きですが、寧ろ大好きだからこそこの映画は最高であると思います。
    ジョーカーが原作でバットマンとはコインの裏と表の関係って言ってるのですが、今回はその台詞を究極に突き詰めまくった作品だと思いました。

    • 映画男映画男 より:

      僕はバットマンシリーズは特に好きじゃないんですが、この映画は素直に楽しめました。確かにバットマンとジョーカーの表裏一体の関係が鋭く描かれていましたね。

  2. An より:

    まだ、映画も記事も読んでないんですが、
    この映画、 映画館で観るべきですか?それとも配信されるまで待った方がよさそうですか?

  3. たなは より:

    映画としては文句無しに素晴らしいですが
    バットマン原作の実写作品としては0点だと思うんです

    何故ならこの作品は元々バットマン関係無くて
    アメコミ原作じゃないと映画企画が通らなかったって事で
    オリジナル脚本にバットマン原作の皮を被せただけなんですよ

    だからジョーカーもウェイン家もゴッサムシティも それである必要が無い

    最初からバットマン無関係のオリジナル作品として一貫させて欲しかったですね
    バットマン原作でやってしまのが非常に勿体無い

    • 映画男映画男 より:

      僕は逆にこの映画のおかげでアメコミ映画に新しい可能性を感じました。現実感のあるストーリーとアメコミの融合がすごいと思いました。

  4. りゅぬぁってゃ より:

    そういや、80年代のバットマン映画4部作はご覧になったことありますか?

    2作目のバットマンビギンズあたりが気にいると思います。

  5. Teresa より:

    とてつもなく退屈な映画だと感じました。

    まず、テンポが悪すぎると感じました。ジョーカーの狂気がどう生まれたのかという部分を描きたかったのだと思いますが、とにかく展開がなさすぎたと思います。あとスローモーション使いすぎてて後半笑っちゃいました。ダレすぎてる。

    次に、私自身のジョーカー像と合わなかった点です。これは自分が変に期待してしまっていたのがいけないのかと思いますが…どうしてもダークナイトのジョーカーと比べてしまいます。今回のジョーカーは起こした全ての殺人が衝動的なものですよね。しかも最後は正論叩きつけられて。そういう部分がジョーカーの魅力じゃないんじゃないか、って思ってしまったんですよね。オリジンとしてはいいのかもしれないけど…。その上トーマスには手出さないし。

    ただ、ホアキンフェニックスの演技はピカイチでしたね。

    ただ映画としてずーっとつまらなく感じました。私がおかしいだけなんですかねー?

    • 映画男映画男 より:

      僕は楽しめましたが、退屈に感じる人もいるだろうなあ、と見ていて思いました。従来のアメコミやハリウッド映画のテンポを求めちゃうとスローに感じるでしょうね。やはり見どころはホアキン・フェニックスの演技だと思うので、どれだけ彼にのめり込めるかどうかもポイントだと思います。

  6. きみきみ より:

    スローテンポが気になってしまいましたが、それは僕が最近のハイテンポな映画に慣れすぎているからかもしれませんね。

    ホアキン・ジョーカーはまた見たいですね!

    リアルでアートな路線のアメコミ映画の、新しい潮流が生まれてくれることに期待できる映画でした。

    いつも映画感想を見させてもらっています。これからも頑張ってください。

    • 映画男映画男 より:

      コメントありがとうございます。みなさんやはりスローなテンポがひっかかったみたいですね。僕もアート路線のアメコミ映画ならこれからもどんどん見たいです。

      • high-low より:

        いつも楽しく拝見してます。

        仰るように、アメコミの雰囲気と芸術路線をうまくマッチさせた傑作でした。
        ホアキンって演技が上手すぎて、却って演技力を感じないタイプの俳優と感じていますが、今作は思いっきり狂ったキャラであるため存在感がありました。
        (“her 世界で一つの彼女”では、あまりに自然体に気持ち悪かったので、イメージダウンしてしまいました笑)

        今作でホアキンの株は持ち上がるでしょうし、ホアキンのジョーカーを続けてほしいものですね。

        • 映画男映画男 より:

          来年のアカデミー賞はホアキンが獲りそうですね。僕も彼のジョーカーシリーズがもっと見たいです。

  7. かめだ より:

    3人を駅で銃殺して公衆トイレに逃げ込んだ後、なぜアーサーはダンスをしたのだと思いましたか?

    • 映画男映画男 より:

      あのシーンはパントマイムの神様マルセル・マルソーをモチーフにしているそうです。特にマスクメイカーという彼の作品では、マスクをかぶった主人公が様々なマスクを試しているうちに、笑ったマスクをかぶると脱げなくなり、笑った顔のままになってしまうというストーリーになっていて、それがジョーカーと重なる部分があるかと考えられますね。あと単純に、人を殺して自分のダーク部分を解放した喜びを踊りで表現したということじゃないでしょうか。

      • かめだ より:

        ご返信ありがとうございます。
        今まで映画をライトな楽しみ方しかしていませんでしたが、
        貴方のお陰でオマージュのもととなった作品や社会時事に理解が深いとより一層楽しめると分かりました。
        非常にためになりました。

  8. 田尾パイパイ より:

    アーサーが犯罪者になったのは、アメリカ社会のせいで日本だったらあそこまで狂わなかったと思うので本当にかわいそうだなと思いました。
    日本だったらバスで笑ってる人がいても「なにがおかしいのよ」とか普通の奥さんが言ったりしないし電車の酔っ払いだって絡む程度でリンチまではしない。それに精神疾患のある高齢の母親を世話する息子なんて、きっと周囲に好感を持たれる事でしょう。
    お笑い芸人になったとしても、ハンディキャップがある人故に流石の吉本でもイジリは避けるだろうし、
    政治家が市民にパンチ喰らわすなんてのもちょっと考えられない。

    そんな感じの滅多にみれない「本当は怖いアメリカ差別社会」を目に焼き付けられた事がこの映画の醍醐味なんだと感じましたが、いかんせん後味が悪くて「見て良かった」みたいな感想が出てこないのがなんとも・・・かと言っても胸糞系とも違う。

    • 映画男映画男 より:

      確かに政治家が一般市民を殴るとかもってのほかですよね。病んでる世界だなあという気がしました。