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ありふれた教室はまあまあ面白い!ネタバレ感想

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盗難事件が多発したことにより、学校内で生徒と教師同士がお互いを疑いだし、信頼を失っていくリアルな話。見ごたえありました。60点

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ありふれた教室のあらすじ

カーラ・ノヴァクは最近学校に転勤してきたばかりの女教師。その学校の校内では盗難事件が多発し、生徒たちが容疑をかけられていた。ある日の授業中、カーラのところに教員たちがやってきては生徒たちの財布の中身をチェックすると言い出す。

そんな中、トルコ系の生徒であるアリが多額の金を持っていることが発覚すると、教員たちは彼を盗難の容疑で非難し始める。さっそく両親を呼んで事情を聴いたが、母親はアリがゲームを買うためにお金を渡したと話し、泥棒扱いするなんて人種差別じゃないのかなどと言い出す。このことがあってからアリはクラスメイトたちからも盗みを疑われてしまう。

カーラは、職員室の貯金箱から同僚が金を盗むのを目撃すると、もしかしたら犯人は生徒ではなく、教師かもしれないと思って自分のジャケットに財布を入れたまま、ノートパソコンで録画したまま席を立つことにする。しばらくしてから席に戻るとやはり財布の中身は抜き取られていたのだった。録画映像を見ると、ブラウスを着た誰かが財布から金を取る様子が映っていた。

カーラは学校中を探し回り、同僚のフリーデリーケ・クーンが同じブラウスを着ていることを発見する。クーンはカーラのクラスの生徒オスカーの母親だった。カーラはクーンに正直に金を返すように頼むも、クーンは逆上してしまう。仕方なくカーラは校長に報告するほかなかった。

クーンは尋問中に動揺し、休職処分を受けた後に立ち去った。カーラは警察沙汰にするつもりはなかった。しかし、動画を取っていたことがプライバシーの侵害だと告発され、カーラまで窮地に追い込まれるのだった。

さらにクーンが学校を去ったことにより、息子のオスカーが問題行動を取るようになり、学級崩壊につながっていくのだった。

ありふれた教室のキャスト

  • レオニー・ベネシュ
  • レオナルト・シュテットニッシュ
  • エーファ・レーバウ
  • ミヒャエル・クラマー
  • ラファエル・シュタホビアク

ありふれた教室の感想と評価

イルケル・チャタク監督による、サスペンス風学園ドラマで2024年アカデミー賞国際長編映画賞ノミネート作品。物がよく盗まれる、とある学校で起こる子供と大人たちによるドロドロの心理バトルで、ドイツ映画だけど日本の学校にも通じるところがある話です。

キャストの演技が自然で、ストーリーもリアリティーに溢れ、ぐいぐい話に引き込まれました。特に人間の闇をついてくる細かい設定やストーリー展開、心理描写が上手でした。

学校という教育機関の中で盗難のような犯罪が起こった場合、どう対処すべきか考えさせられる設定になっていて、いわば学校と教員の対応のミスが別のミスを呼び、小さな問題がやがて大きくなっていく様子を描いていきます。

テーマこそ違うけど、いじめ問題とかとも通じるものがありますね。対応を間違えると、最悪の場合、誰かの人生を棒に振る、または死に直結する危うさがあって、見ていて教師も大変だなあと思いました。

盗難の場合、見逃せば被害は拡大し、かといって誰でもかんでも疑うと、生徒たちの尊厳を無視したなどと言われて、今度は学校側の責任を問われてしまうのが難しいところです。そういえば僕の学生時代も先生が全生徒に「~を盗った者は正直に名乗り出なさい。今言えないなら後で職員室で言ってくれてもいい」などといって自白を迫る場面が何度かありましたね。でも自白を迫るぐらいしかやれることないですよね。

本作ではお金が盗まれたときに教師たちが生徒たちの財布をチェックするシーンがあります。子どもだから大金を持っているはずがないという前提で持ち物チェックし、大金を持っている奴が犯人だというかなり乱暴な消去法で犯人をつるし上げる作戦に出るのです。

法治国家の学校で、そんなことしちゃダメだろって話なんだけど、教師たちも職場に泥棒がいるのが気持ち悪いから必死になります。

もちろん証拠がないので、それでたとえ犯人を捕まえたとしても、なんとでも言い訳できちゃうからやる意味ないんだけどね。盗難は現行犯を捕まえないと。

それが無理なら防犯カメラをつけるしかないのにプライバシーの侵害になるんだって。アメリカは普通に校内でも防犯カメラがついてるけど、ドイツはダメなんですか?

そんなこんなで学校側も生徒側も上手に解決したいけど、どうしていいかわからないジレンマに陥り、みんながみんなを疑う非常に不誠実で不健康な環境に陥ってしまいます。

そんな中、ヒロインのカーラが私が解決してやろうじゃないの、としゃしゃり出るわけです。カーラは真面目で正義感が強く、とても生徒思いの教師です。なにかあると生徒側に回り、常に生徒の味方でいることを心がけています。そんな彼女だから、生徒ではなく教員の中に犯人がいるんじゃないかと思って、おとり作戦を慣行するんですが、パソコンのカメラに映っていたのはブラウスだけで、その日同じブラウスを着ていた同僚を問い詰めます。

同僚は全力で否定し、怒って帰ってしまい、そのまま休職処分になって一件落着かと思いきや、この映画が憎いのははっきりとその同僚が犯人だとは言わないところにあります。証拠はブラウスだけなので、もし同じブラウスを着ている人がいたら、その時点で特定ができなくなるし、視聴者に解釈をゆだねているようなところがありました。

あるいは犯人をあえて特定しないことで、素人が刑事ぶって魔女狩りをする危険性を描いているとも取れなくもないです。

いずれにしてもこの手法で見せるなら、ラストはもっと衝撃的、悲劇のバッドエンディングにするべきでしたね。実は同僚は犯人じゃなかったとか。そうしたほうが「ほらだから、決定的物的証拠がないのに人を犯人と決めつけてはいけないよ」という教訓になっていたことでしょう。

母親を犯人扱いされたオスカーの問題行動の末に起こる出来事がはっきり言って拍子抜けします。母親の名誉のため、母親を守るため、もっと過激なことをしないと映画的には物足りないでしょう。ただ、リアリティー路線の作品なので、あれぐらいが落としどころだったのかもしれません。これがハリウッド映画だったらあんな終わり方はしていないでしょう。ラストこそ不満は出ましたが、全体的にはまあまあ面白かったです。

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