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ホールドオーバーズは退屈だけどノスタルジック!ネタバレ感想

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長くてスローで特に面白くもないけど、最後はなんとなくいい話でまとめてある学園もの。おっさんおばさんが昔を懐かしむための映画なのかもしれません。45点

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ホールドオーバーズのあらすじ

1970年12月、頑固で気難しい教師ポール・ハンハムはニューイングランドの寄宿学校バートン・アカデミーでクリスマス休暇中に家に帰れない訳ありの生徒たちを監督することになる。休暇中、学校に残った職員はポールと、厨房担当のメアリー、掃除係のダニーだけだった。

生徒の中には、嫌味な性格のうえ、生徒や教師たちから嫌われているアンガス・タリーも含まれていた。アンガスの母親は父親と離婚し、新しい夫とハネムーンに行くため、息子のアンガスを休暇中学校に押し付けるような親だった。

生徒たちは、休暇中にも勉強や運動をしなければならなかった。ところが6日目、生徒の父親の一人がヘリコプターで到着し、両親の許可を得て家族のスキー旅行に全員を連れて行くと提案し、事態が変わる。みんなが解放されたとばかりに学校を後にするも、アンガスだけは母親と連絡が付かず、旅行の許可を得ることができなかった。

仕方なくアンガスはポールやメアリーらと一緒に学校に居残ることに。こうしてクリスマスに行く当てない3人は、まるでお互いの寂しさを埋めるようにクリスマス休暇を過ごそうとするが、、、、

ホールドオーバーズのキャスト

  • ポール・ジアマッティ
  • ダバイン・ジョイ・ランドルフ
  • ドミニク・セッサ

ホールドオーバーズの感想と評価

「ネブラスカふたつの心をつなぐ旅」、「ダウンサイズ」、「ファミリー・ツリー」などで知られるアレクサンダー・ペイン監督による学園ドラマ。2024年アカデミー賞作品賞のノミネート作品です。

本作の脚本家デビッド・ヘミングソンの半自伝的な作品と言われており、1970年代のノスタルジー、苦い青春、教師と生徒の友情を売りにした内容になっています。

最後まで見ていくと、なんとなく生温かい気持ちにさせてはくれるんですが、いかんせんスローで特に前半が退屈です。ところどころユーモアはあるものの会話やエピソードは平凡だし、なにより登場人物たちのキャラが弱いです。

複数生徒がいる中で、誰に親近感、あるいは嫌悪感を抱いて見ればいいか分からないような時間が長く続くため、その間に眠気が来てしまいます。動画配信で見たらこの時点で離脱する人もいるでしょう。

そしてなにより生徒たちを取りまとめる、こじらせ中年独身教師の存在感が薄く、もっと強烈な個性がないと見ていてきついです。教師を演じているのはポール・ジアマッティなんだけど、彼はどの映画に出ても同じなんだよね。こういう役はロビン・ウィリアムズがやったらさぞかし光ったことでしょう。そしたらアドリブを織り交ぜながら、もっと熱いものを作ったくれたはずです。ポール・ジアマッティを見ながら、ずっとロビン・ウィリアムズの顔が浮かんでたからね。

50分ぐらい経つと、ようやくこの話がどうやら問題ありな生徒アンガスと教師ポールの絆を描いた友情のドラマであることに気づきます。そこまではただ寄り道しているだけのつまらない学園ドラマという感じなのに対し、後半になると、クリスマスに行く場所がない者同士が慰め合う悲しくも美しい時間になっていきます。

キリスト教の国でクリスマスを一人で過ごしたことがある人なら、彼らの苦しみと寂しさは人ごとじゃないはずで、登場人物たちの置かれた状況に少なからずシンパシーを覚えるに違いないです。なんなら「今年のクリスマス、あなたは誰と過ごすの? え?一人なの? あら可哀想に!」みたいなやり取りを経験していない人は一人前のホールドオーバー(残留者)と言えず、この映画はむしろ見ないほうがいいかもしれません。

今年のクリスマスは一人ぼっちかあっていうときにまた突然誰から誘いが来たりするんですよ。ポールたちがまさにそれでしたね。ポールはパーティーである女性といい感じになって脈ありなのかと思ったら、普通にその後女性の彼氏が現れるのが最高でした。異性として興味を持ってるのかと思ったら、ただの親切な女だったっていうね。

あれほど悪意のない、残酷なやり口は久々に見ました。一方、アンガスもパーティーで知り合った女の子といい感じになって、彼の場合は女の子のほうからキスしてきましたね。あそこは普通にあいつも振られて終わりでよかったんじゃないかなあ。そして二人そろって文句いいながら帰ったほうが負け犬っぽくて笑えたと思います。

終盤は二人で行くボストン旅行。本当なら勝手に旅行なんて行っちゃいけないんだけど、この辺りから教師のポールはルールを無視してでもアンガスを楽しませたいと思うようになってきます。親に見捨てられた彼に情を抱くと同時に彼に自分自身を重ね合わせているようなところが見え始め、気づいたときには親子のような関係になっていくのです。そしてラストはいかにも映画的、英雄的行動に基づいた感動の締めくくりにしてあるので、それにやられて涙流す人もいるんじゃないでしょうか。

この映画が評価されるとすれば、生徒と教師の垣根を超えた疑似家族的要素が原因でしょう。そしてそれは多くの人が持つ学生時代に好きだった教師との思い出とオーバーラップしていく体験につながりますよね。

僕は小学校高学年のときに担任だった20代の男性教師のことを思い出しました。今だったら絶対怒られるだろうけど、彼は車で僕ら生徒をドライブに連れて行ってくれたり、僕らのためにビデオレンタルでアダルトビデオを借りてくれたこともありました。尾崎豊を教えてくれたのもその先生だった。ノリが良くて生徒に頼まれたらなんでもやっちゃう愛すべきバカで、授業中生徒と一緒に遊んで騒いじゃうからよく校長先生や年配の先生に先生が廊下でしかられていたのを覚えています。

おそらく誰にでもアンガスにとってのポールのような先生との古き良き思い出があるんじゃないでしょうか。全体的には退屈な映画だったけど、ふとかつてのいい思い出が蘇る、という意味ではこれはこれで大きな役割を果たしているといえるかもしれません。

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