2016/03/12

父の秘密 (原題: Después de Lucía /After Lucia)

despuesdelucia2

86点(100点満点)

ストーリー

妻を亡くして失意の底にいるロベルト(エルマン・メンドーサ)と娘のアレハンドラ(テッサ・イア)は、メキシコシティへと移り住む。二人は見知らぬ土地で 再スタートを切ろうとするものの、なかなか喪失感から逃れられずにいた。アレハンドラは転校先の学校で友達もでき、少しずつ明るさを取り戻していくが、あ る日、盗撮された性行為をインターネットで流され……。

シネマトゥディより

文句

第65回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門にてグランプリを受賞した、ゾッとするメキシカンティーンエイジャードラマ。母の死>引っ越し>転校>いじめ、とスローながら釘付けにされるスリリングな筋書きに言葉を失うこと間違いなし。ホラー映画よりホラーっぽい恐ろしすぎる作品。

血が出たり、ナイフで刺したりしない理由で、ホラー映画にはカテゴライズされないでしょう。しかし僕は本当のホラーとは日常に起こりうるこの映画のような出来事こそがそうだと思っています。あまりにもリアリティーのある恐怖に観賞中、疲労を感じました。日本映画でもイジメを題材にしたものは多いけれど、いつもインパクト先行でやりすぎ感が出てしまい、どれもリアリティーを感じることができませんでした。しかしこの映画は、演技と演出の上手さも加わって、ほとんどの登場人物に、「こういう奴いそうで怖いなあ」という印象を持てました。主人公を演じたテッサ・イアは「あの日、欲望の大地で」の子役だった女優だそうですが、特に演技が自然でしたね。

各シーンに結構な時間を割いていて、親子の会話シーンやパーティーのシーンの作りこみ方が半端じゃないです。何回も撮り直してああなったのか、それとも一発勝負であそこまでの完成度に到達したのかが気になるところです。この映画にもまた他の上質な映画にも共通して言えるのが、全く先が読めないところです。お喋りな人なら「どうなるの、どうなるの?」とついつい声に出してしまいそうです。

始まってすぐに、その雰囲気やテンポから「国際映画祭狙いの映画」だということが分かります。ストーリーの説明は極力抑えてあり、セリフも少なめで、視聴者は登場人物の行動と各シーンの流れを追って話を理解していきます。ハリウッドの商業映画しか見ない人には退屈な映画かもしれません。そういう人たちは「パラノーマル・アクティビティ」でも見て、キャーキャー言っていればいいのです。カンヌ国際映画祭がなければ、メキシコ国内を始め、世界でも話題になることはなかったでしょうし、日本にももちろん届かなかったでしょう。ハズレもありますが、やっぱり国際映画祭には意味があるんだなあ、と改めて思わせられた作品でした。

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