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ニューオーダーはリアルなディストピアスリラー!ネタバレ感想

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ある日、突然軍が政権を奪い、人々の行動を管理するようになるカオスな世界をつづったハイクオリティな作品。派手な演出やアクションはないものの怖くて面白いです。70点

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映画ニューオーダーのあらすじ

富裕層の家庭に育ったマリアンは自宅で盛大に結婚パーティーを開いていた。そこには各分野の著名人が出席し、判事も駆けつけるほど豪華な面子が集まっていた。

しかしその間も路上では貧困層の市民による貧富の差に対するデモが行われ、暴徒化しだしていた。それにより道は閉鎖され、街は秩序を失いかけていた。

パーティーの最中、マリアンの家庭でかつて働いていた使用人の男ロランドが病気の妻の手術費のためにお金をせがみやってきた。マリアンの母は現金を集めて彼に渡したが、到底手術費はまかなえず、ロランドはなかなか帰ろうとしなかった。

そんな彼の姿を不憫に思ったマリアンは自分がなんとかお金を工面しようとするが金庫が開けられず、仕方なくパーティーを抜けて自分でロランドの妻を病院まで連れて行こうとする。

ところがその間、マリアンの家に暴徒たちが侵入してきてはパーティーの出席者たちが人質にされてしまう。それを機にマリアンの家で働く使用人たちまで寝返り、パーティー会場は地獄と化す。

外では都市部がカオスになったのに便乗して軍隊がクーデターを仕掛け、一般市民はあっという間に制圧されてしまう。その日を境に人々はまもに外出もできなくなり、軍人たちは金のために富裕層の人々を誘拐し、拷問にかけていく。

映画ニューオーダーのキャスト

  • ナイアン・ゴンサーレス・ノルビンド
  • ディエゴ・ボネータ
  • モニカ・デル・カルメン
  • フェルナンド・クアウトレ
  • ダリオ・ヤズベック

映画ニューオーダーの感想と評価

或る終焉」、「父の秘密」、「母という名の女」などちょっと怖い映画を作ることに天才的な力を発揮する監督ミシェル・フランコのディストピアスリラー。

貧富の差が社会問題となる中、市民のうっ憤が爆発し、富裕層たちが襲撃され、クーデターが起こっては軍主導の自由のない生活が始まる様子を描いた、なかなか見ごたえのある物語です。もしこれを見て、面白いと思ったらぜひ同じ監督のほかの作品も見てみてください。全部すごいんで。

本作もまた別の作品のように前半ややスローな立ち上がりを見せます。しかし30分ぐらいから一気に話が動き、一度話に引き込まれたら終わるまでノンストップで集中力が切れない作りになっています。特に日常から非日常への移行が自然でスムーズです。

あくまでもフィクションなんだけど、ハリウッドディストピアじゃないだけあって、ぶっ飛んだ話にしては妙なリアリティーがあります。それは舞台がメキシコで、あながちありえない話じゃないからかもしれません。

なによりディストピアなのにSFっぽくなっていないのが素晴らしく、あくまでも現代の現実社会の出来事として見れるのがいいです。変にCGで破壊された町の様子とかを表現していないのも成功の要因かもしれません。

貧困層VS富裕層の衝突を上手に表現していて、長年搾取されてきた貧困層の人々が富裕層に反撃する様子はまさに革命です。しかしその光景は略奪と殺戮でしかなく、決して甘っちょろく美しく描いていないところにまた好感が持てました。

ヒロインの金持ちの娘が軍人たちによるギャングに誘拐され、拷問にかけられ、好き放題やられる様子は恐怖でしかなくメキシコ人の狂いっぷりがやばかったです。

出演者の演技レベルが高いので安心して見ていられるし、日本のパニック映画などと違ってギャーギャー無駄に大声をあげたりもしません。制圧するほうもされるほうも声を押し殺して静かにその現状と向き合っていく感じが出ていてリアルでした。

ラストはなんだったんでしょうかね。ヒロインを救いたいのか救いたくないのか幹部連中は一体何がしたかったんでしょうか。あの辺の複雑な裏事情は説明不足でちょっと伝わらなかったです。軍事政権になっても汚職だらけ、クズだらけなのは変わらないってことなのかもしれませんね。

貧困層が暴動を起こし、社会を変えようとしたけど、結局今度は軍に搾取される社会ができただけで結局のところ貧困層は虐げられるまま、といった印象を受けました。なかなかヘビーで見ごたえのある作品でした。

コメント

  1. ちー より:

    面白かったです!
    この監督の作品はほぼ見ていますが、ハズレないですね。
    救いがない感じがとても好きです。
    この監督に出会わせてくれた映画男さんにまたもや感謝です。

    あんなカオス状態でも金持ちは、結局金持ち生活をしてましたもんね。
    結局全ては金なのかー>_<

  2. ヤヴァイ兵長 より:

    全く救いが無い映画でした。
    善なる心を持ち行動する人が最後まで不幸で救いが無いとは。
    貧困層は立ち上がるが、政権や軍の暴力の前に鎮圧され一部軍人がお小遣い稼ぎを騒ぎに乗じて裕福層の人々を誘拐し、好き放題にされ家族は身代金を支払いながら政治家やぐんの高官に助けを求める。描かれてはいないが、政治家は普段裕福層から献金や賄賂を貰っておりこれからも欲しいから軍に解決を求める。しかし軍の一部が暴挙に及んでいるとはバレたくない高官と誘拐犯の軍下士官らも身代金を貰っても軍の関与は人質にはバレているので生かして返す気は無い。(身代金の支払いがあり檻からだされた男性も別室で射殺、銃声だけの演出だが)最後は軍高官の指示で人質場皆殺し、実行犯の軍下士官も皆殺しで全ての罪は最初の暴動を引き起こした貧困層たち(実際は騒動に参加していない善良な貧困層)に擦り付けて終わり。
    ラストは冤罪で処刑される貧困層を政治家や軍高官と被害者富裕層家族が見ているシーンで終わる。
    んー救いは無いねこの映画には。