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パストライブス/再会は腹立つけど面白い!ネタバレ感想

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友達、カップル、夫婦で見て語るのには最高な三角関係を上手く表した、芸術路線の恋愛ドラマ。離れ離れになった初恋相手とフェースブックを通じて再会し、昔の気持ちが再熱するかどうかを既婚者の女が堂々とやってのける最低な話を美しい雰囲気と映像でアートに昇華させてしまった作品。議論するために、いいから見てみてと言いたくなる映画です。77点

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パストライブス/再会のあらすじ

韓国のソウル。12歳のナヨンとヘソンは初恋同士。どこに行くにもいつも一緒だった。二人は相思相愛だったにも関わらず、突然ナヨンが家族と一緒にカナダに移住してしまい、離れ離れになってしまう。

12年後の2012年、ヘソンは兵役を終え、ナヨンはニューヨーク市に移住していた。その頃ナヨンは名前をノラと変えていた。ある日、ノラはFacebookで、へソンを探すことにする。するとヘソンもノラを探しているコメントを見つけ驚く。へソンは彼女が名前を変えたことは知らず、そのせいでFacebookでも彼女のことを見つけることができなかったのだ。

彼らはスカイプのビデオ通話で再会した。ナヨンは作家として活動し始めていたのに対し、へソンは大学生だった。お互いもう一度会いたいという願望を持っていたが叶わなかった。最終的にノラは執筆とニューヨークでの生活に集中したいとヘソンに一時的に話すのをやめるように言う。ヘソンもそれに従うしかなかった。

時は経ちノラは作家仲間のアーサー・ザトゥランスキーに出会い、彼と恋に落ちる。一方、ヘソンもある女性と出会い、交際を始める。

さらに12年が経ち、アーサーとノラは結婚し、ニューヨークに住んでいた。そんなとき急にヘソンがノラにニューヨークにやってきた。へソンはもう恋人とは別れていた。こうして二人は24年の年月を経て初めてリアルで対面を果たすのだが、、、、

パストライブス/再会のキャスト

  • グレタ・リー
  • ユ・テオ
  • ジョン・マガロ

パストライブス/再会の感想と評価

セリーヌ・ソング監督によるサンダンス映画祭で絶賛された、ハリウッド産韓国恋愛ドラマ。初恋の二人が24年の時を経て再会を果たす、女性向けのプラトニックラブストーリーでセリーヌ・ソング監督の半自伝的物語でありながら、フィクションと実話のミックスになっています。

はっきり言ってむかつきました。登場人物たちが純愛を武器にまあデリカシーのないことばかりするので、「おいこら、そこでそんなことしたらダメだろ!」と突っ込みを入れまくりながら見ていました。いかにも女性目線で作られた、女性のエゴむき出しのストーリーになっていて、男の自分にとっては全く共感もできやしません。

しかしイライラしながらも手に汗握りながら物語に登場する男女の行方を見守ってしまった、という意味では、非常に上手くできていたと言いざるを得ないですね。悔しいけど、ちょっと面白かったです。

この映画の最大のイラつくポイントは、運命、一期一会、初恋の相手、などといった美しい言葉を並べて既婚者のヒロインが二人の男を天秤にかけることでしょう。ちなみにタイトルの「Past Lives」は韓国語の「因縁 In-yun」の意訳だそうです。韓国語の「因縁」は日本でいうところの「運命」という意味で用いられるそうで、本作のストーリーはなんでもかんでも「運命」だから仕方ないじゃん的なノリで展開していきます。

そして運命のもとに相手と出会い、また離れてしまった韓国人ヒロインが二人の男を天秤にかけるやり方が非常にリアルで、アメリカ人の夫にはオープンに初恋相手のことを話し、初恋の相手がニューヨークに来るからちょっと会いに行ってくるね、といった感じでカジュアルに彼に会いに行くんですよ。あくまでも幼馴染に会うだけだからやましい思いはないからねと。

でももちろんやましい思いがあるんですよ。ヒロインのノラが自分の気持ちを確認したがってるのはミエミエで、同時に初恋相手の気持ちも確認したがります。早い話、全部が自分自分自分で、自分が相手に愛されていたのか、自分は今初恋相手と再会して彼のことをまだ好きだと思うのか、自分はそれでも夫を選ぶのか、みたいなエゴイストの境地ともいえる舞台に立っていて、そんな自分に酔っているふうでもあります。

普通の夫なら妻が初恋の男と会いに行くってなったら反対しますよね。だからそこは現実感がなくなりそうなものなんだけど、この映画が上手なのは夫婦共に作家でアーティストのカップル、それも夫はユダヤ人という設定にしてあるところです。これが夫が黒人だったり、ラテン系の男だったり、体育会系の白人だったりしたらまず成立しないでしょう。

感情的にならないインテリアート草食系の男である夫は、妻の初恋の相手との関係性まで考慮してあげ、自分が捨てられるリスクも理解しながら妻を送り込むのです。君の行動や気持ちを僕がコントロールすることはできないよ、君を愛してるからこそ君が納得するまで初恋相手と話して確認してくればいいよっていう態度なわけです。それが正しい態度かどうかはともなく、寛容さでいったらもう全世界が彼に拍手を送るべきじゃないかな。

でもさ、冷静に考えて見たら逆の立場だったらどうよって話じゃないですか? ヒロインは自分の夫が同じことをしても許すのかよって。絶対にあいつは許さないでギャーギャーいうと思いますよ。こんなこというと怒られちゃうかもしれないけど、女ってそういうところあるよね?

多分、多くの世の男たちは経験してると思うけど、複数の男に自分をめぐって競わせるのが好きな女って結構いますよね。嫉妬させるのが好きな女とか、ナンパされたことを自慢してくる女とか、今、自分と付き合ってるのに元彼と会わせようとしてくる奴とか。あなたの周りにもいるでしょ?

「元彼があなたのこと嫌いみたい、あなたと道で会ったら殴るって言ってたわよ」

僕はかつてこんなこと言われたことありますよ。知るか、ボケってなりましたけど。

ノラもまさにそんなデリカシーのないタイプでどんどん自分勝手に前を突き進んでいきます。もうなんなら夫がいても初恋の男に抱かれてもいいって思ってそうだし、どう見てもキスされたがってたよね。そしてデリカシーがゼロに達するクライマックスシーンが待っていて、あろうことか夫、ヒロイン、初恋の男が3人で食事にでかけます。

おいおい、嘘だろって思うんだけど、この3人だったらやりかねないわっていう妙な説得力があるんですよ。また、状況的に夫は韓国語が話せないのに対し、ヒロインと初恋相手は韓国語で話し始めます。すると当然夫は除け者にされ、男女恋愛史上最大の侮辱を受けることになります。

だって夫が理解していないとはいえ、夫に背中を向けて初恋相手に「寂しかった」などと言い出すんですよ。あいつ恐ろしいすぎるだろ。そうかと思ったら初恋相手のほうも「もし俺たちがあのとき離れ離れになってなかったら、どうなってたかな? 付き合ってたかな? 結婚してたかな? 子供を産んでたかな?」などと話し始めます。

そのときある種の衝撃を受けました。あ、デリカシーのないのは男も同じだと。ということはこれは女性視聴者が見たら、もしかしたらあの韓国人男に対してもイライラするかもしれませんね。どうなんだろう。それともやっぱり女性視聴者はヒロインと自分を重ね合わせて男のほうにまで気はいかないのかなあ。

いずれにしろそのクライマックスシーンではデリカシーゼロの韓国人男女が、この映画で唯一まともな白人男をいじめる構図になっていて、彼に同情する人も少なくないはずです。あの状況で男はどんな顔をしてお酒を飲んでいればいいんでしょうか? 俺なら帰るわ。いや、背中向けられた時点で嫁のほうを引っぱたくかも。あるいは男にいい加減にしろよって殴りかかるかも。いいよ、小さいとか言われても。あれはアウトだって。

ラストシーンではUberを呼んだはずなのになぜか韓国人の二人が家の前の道をかなり歩いて乗り場まで行くという無理矢理な演出になっていましたね。あの歩くシーンで二人の雰囲気、フィーリング、なにか起こりそうな予感を全面に引き起こすのが目的なんでしょうが、Uberって普通に家の前まで来てくれるからね。なんであんな遠いところに呼ぶのよ。

そして最後の涙のシーンは賛否ある終わり方になっていました。最後までキスしてオーラを出しまくりの女と、どうしようか分からない男。そんな中、ヒロインが最後に放った「ごめんなさい」が余計に怖かったです。謝るってことはあいつ、人として悪いことをしてたっていう自覚があったってことだよね。

あのラストシーンがすごいのは、これまで韓国人二人の恋愛ドラマだったのが、最後の最後で夫婦のドラマにひっくり返ったような印象を与えたことです。もう夫の恋愛物語だったといってもいいんじゃないかな。

僕としては最後家に帰ったら夫が荷物まとめて出て行ってた、というオチにしてもらいたかったんだけど、そうはいきませんでしたね。それにしてもヒロインは最後の最後まで我儘放題でしたね。しかしながらこの映画の成功と評価は、男女3人をバチバチの状況に置きながら誰一人感情的にならず、至って冷静に恋愛と結婚と人生と運命をかみしめるところにあるような気がします。それが多くの人に成熟した大人の恋愛に映ったのかなと。

そしていわばキスやセックスシーンという分かりやすい絵で売るハリウッド的な恋愛文化とは全く違うこんな内容でも、なおアメリカの映画祭でアメリカ人に評価されたということに驚きを覚えます。それも言語も大部分が韓国語ですよ。今の日本の恋愛映画なんて絶対ハリウッドで売れないでしょ? 普通にすごいと思うよ。

もしこの映画が10年前に公開されていたらおそらく受けなかったでしょうね。そういう意味では「パラサイト」や「イカゲーム」の世界的ヒットもあって、韓国のコンテンツがやはり大分認知されてきたんだなあと実感しました。時代は変わりましたねえ。

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