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【ネットフリックス】大坂なおみは意図的な黒人ドキュメンタリー!感想

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この記事は 約6 分で読めます。

大阪なおみの大ファンが見ればいい浅い日常記録。一応、本人がナレーションを担当しています。45点

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【ネットフリックス】大坂なおみのあらすじ

大坂なおみは日本人初のグランドスラムシングルス優勝を成し遂げると同時にアジア初の世界ランキング1位にまで上り詰めた。そしてその日を境に大坂なおみの生活は一転した。たちまち一挙手一投足が注目されるようになり、重い重圧がのしかかるようになった。

全米オープンで初優勝を飾った後、スランプに陥った。追いかける立場から、追いかけられる立場に変わり、いつもの調子が出なかった。

その頃には慣れないメディア出演が増え、テニス以外の仕事も急増した。そんな中、彼女は少しずつ自分を見失っていく。さらに尊敬していたコービー・ブライアントが事故で亡くなり、全米ではBLM運動が勃発する。

【ネットフリックス】大坂なおみのキャスト

  • 大坂なおみ
  • 大坂まり
  • 大坂環
  • レオナルド・フランソワ

【ネットフリックス】大坂なおみの感想と評価

「タイム」のギャレット・ブラッドリー監督による、大阪なおみを追いかけたミニドキュメンタリーシリーズ。2年間密着したにしては取れ高が少なすぎるわずか3エピソードの話です。

大阪なおみが2018年に全米オープンで初めて優勝してから、2020年に2年ぶりに再び全米オープンで優勝するまでの出来事をざっくりつづっていて、散々報道されていることもあり、特に知られていない話はそれほど出てこないと思います。

もちろん独占で密着しているので未公開映像はあるけど、家でのプライベートな時間を過ごす姿とか、ファッション系の仕事をしている時とか、マッサージを受けている絵だとか、いくつかの自撮り映像ぐらいで、どれも当たり障りのないものばかりです。

僕が知らなかったのは大阪なおみが普通の学校には行かず、ホームスクールで学んだ、というくだりぐらいですかね。あの小さな声でボソボソと話す、シャイな性格はそういうところも関係しているのかもしれませんね。

子供のころからテニス漬けの毎日を送ってきて、チャンピオンになるか、破産するかのどっちかみたいな覚悟でやっていたんだそうです。お母さんに楽をさせてあげたかったって思いでここまで来たってすごいよね。

練習や試合映像や音声は美しく、試合中のボールを打つ音や選手の息遣いまでよく聞こえてきて臨場感があります。また、大阪なおみが自分自身と向き合いながら、考え事をしたり、それを言語化しようとするシーンは知性を感じさせるし、ファンにとっては面白いのではないでしょうか。

ただ、それは今、大阪ナオミが時の人だからであって10年後、20年後にも人々から見られる作品かというと決してそうではないでしょう。そういう意味では作品としての価値は正直それほど高くないです。

例えば「タイガー・ウッズ・光と闇」はすっかりピークを過ぎたタイガー・ウッズの話だけど、波乱万丈で面白いんですよ。

一方で大阪なおみはまだまだこれからの選手だし、スポットライトが当たり始めたばかりだからかドキュメンタリーにするほどストーリーがない、またはストーリーはあるのにフォーカスするところがありきたりすぎるのかもしれません。

どうせなら徹底的に生い立ちにフォーカスしたらよかったんですよ。多分、昔の映像がそれほど残っていなかったんでしょうね。子供時代にお姉ちゃんと練習している映像はいくつかあるものの、その時代の話はとくに膨らませることもなく、あくまでも「今」にフォーカスしているのが特徴です。

構成としては全米オープンで優勝>突然世界的に人気者になったことからプレッシャーが膨らんで失速>再び復活して全米オープンで二回目の優勝、という3部構成になっていて、よくある成功、転落、復活の王道のストーリーを凝縮した感じになっています。

そんな中でエピソード3でかなり多くの時間をブラック・ライヴズ・マター運動に割いていたのにはもろ監督の個人的な政治目的があるような気がしました。

「タイム」を見たら分かるんですが、ギャレット・ブラッドリー監督はゴリゴリの黒人映画を撮る監督でこれまでも黒人の人権をテーマにした映画を何本も撮ってきています。監督自身、白人と黒人のハーフなのでもしかすると大阪ナオミと自分自身を重ねているのかもしれません。

そのせいか意図的に黒人としての大阪ナオミを、いや黒人代表の大阪ナオミを撮ろう、撮ろうとしているような気配がありました。ブラック・ライヴズ・マターのデモに参加したとか、犠牲者のマスクをつけて大会に出たとか、そういう黒人の人権運動に関与する彼女の姿をこれでもかというほど映しています。

一方で大阪ナオミの日本人的な側面についてはほぼほぼスルーしていて、ブラック・ライヴズ・マター運動にはがっつり触れるけど、アジア系ヘイトには一切触れないといった有様です。母親や姉とは日本語で話したりするといいつつ、そういうシーンもほとんどないもんね。

日本で生まれ、アメリカで育ち、ハイチ人の父親と日本人の母親に育てられた大阪ナオミが自分自身のアイデンティティについてどう考えているのか、というのは多くの人にとって興味深いことだと思うんですよ。

しかしそれについてがっつり語るシーンが皆無で、ところどころ「私は14歳のころから日本を代表してプレーしてきたから日本国籍を選んだ」とか「アフリカ系アメリカ人だけが黒人じゃない」といった発言はあるものの、深く考えている、あるいは自分の言葉でしっかり語っているパートはなく、あえてカットしたのかあ、とすら思えてきます。

また、最近話題になった鬱問題にも触れていません。そこにもあえて触れなかったのか、あるいはその頃には密着撮影の契約が切れていたのか、どっちなんでしょうか。

タイミング的に東京五輪まではまだ密着を続けている可能性はなきにしもあらずです。それで金メダルを撮ったら続編を出す的な後出しじゃんけん作戦でコンテンツを追加していくこともありえそうです。しかしそれにしても内容薄いですね。よくある雰囲気ドキュメンタリーの域を越えていないです。

面白かったシーンはただ一つ、大阪ナオミが15歳のココに最初に勝ったときは優しく大人の余裕を見せて「一緒にインタビューをしよ」って誘ってたのに負けたときは特に勝者を称えることもなく鬼の形相で会場を去っていったくだりです。全然大人じゃなかったっていうね。あれはフリもオチも最高でした。通路で壁を殴ってたりしたらなおよかったです。面白かったシーンは以上です。

それにしてもこんな薄っぺらいドキュメンタリーを撮るならむしろそっとしておいてあげたらよかったのに。プレッシャーが大変だって本人が言ってるんだから。

コメント

  1. きのこ食べ過ぎ より:

    日本では最近凄い人気落ちてる。
    アインデンティティーのビジネス的な使い分けがあざといと批判されて。

    • 映画男 より:

      本人がどうというより、マーケティング担当やSNS担当がそういう方向性で売り出してるのかもしれませんね。タイガーウッズもNIKEと契約したときは黒人を前面に押しだした戦略だったそうなので。

  2. きのこ食べ過ぎ より:

    逆に、アスリートの「虚像」を造り上げるマーケティング担当やSNS担当にスポット当てたドキュメンタリー映画撮った方が面白そう。

  3. まっちゃん より:

    今更コメントだけど、たしかにココへの大人の余裕のくだり笑っちゃいます。この作品は観てないけど、当時の地上波で観てたときウワア、メンタルヨワってなったの思い出しました。