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ミッドナイト・ファミリーは怖くて笑える衝撃の実話!感想とネタバレ

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この記事は 約5 分で読めます。

メキシコの信じられない医療事情を映したショッキングなドキュメンタリー。日本の医療崩壊なんて比べ物にならないぐらいの悲惨な現実が見れます。77点

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ミッドナイト・ファミリーのあらすじ

メキシコ・シティでは政府が運営する救急車は45台にも満たない。そのため個人が運営する非認可の救急車が救急コールを聞きつけると、勝手に現場に駆け付け、患者を病院まで送り届けることで報酬を得る、という闇ビジネスが成立している。

オチョア家族は一家で個人救急車のサービスを営んでいた。同業者も多く、救急コールが鳴ると患者の取り合いになる。一足先に現場に着いたからといって必ず患者がお金を払ってくれるとは限らない。警察もことあるごとに賄賂を請求してくる。

もちろん政府からの支援は一切ない。そんな理不尽なビジネスを営んでいるせいで、オチョア家族はいつもお金に困っていた。

ミッドナイト・ファミリーのキャスト

  • フェル・オチョア
  • ホスエ・オチョア
  • フアン・オチョア

ミッドナイト・ファミリーの感想と評価

ルーク・ローレンツェン監督による、メキシコの個人が運営する民間救急車サービスに密着した衝撃のドキュメンタリー。犯罪ドラマともいえるし、決死の救出劇ともいえる、緊張感と臨場感溢れる記録映画です。

まず、メキシコシティで走っている救急車のほとんどが民間のものだ、ということを僕は知りませんでした。

民間といってもちゃんとした企業が運営するものではなく、認可も得ていない個人が勝手にやっているサービスなんだそうです。

つまりは闇ビジネスで、医療制度がまともに整っていないことから、政府がやらないなら個人でやってしまおうと、勝手に事件・事故現場に急行し、患者を病院に送り届けて、お金を稼いでいる人たちがいるのです。

オチョアファミリーもそんなビジネスにどっぷり漬かった人たちで、彼らは家族で救急隊員をしてなんとか日銭を稼いでいます。夜遅くの活動にも関わらず小さな子供も同行します。

救急コールを聞きつけると、ほかの同業者たちに先を越されないように猛スピードで道路を走り、現場に向かいます。怪我人には応急処置を施し、近くの病院に連れて行き、任務は完了。かと思いきや、患者がお金がないといって、料金を支払ってくれないことも多々あります。

そもそも闇営業なので強く出れない事情もあり、彼らは何度も無償で働くことになります。また、せっかく報酬を得てもそこに付け込んで、警察がなにかと賄賂を要求してきては支払うしかないため、いつもオチョアファミリーは金欠状態で、なんでこんなビジネスやってるんだろうと疑問を抱かずにはいられません。

本作ではおおよそ民間救急車、患者、警察、病院、政府といった構図が浮かび上がってくるんですが、事情が複雑すぎてなにが善悪なのかよく分からなくなってきます。

政府の医療機関が機能せず、責任を放置しているのがまず問題で、嘘か本当か人口900万人に対し、行政が運営する救急車は45台にも満たないんだそうです。

そこに否認可の救急車たちが割り込んできて、勝手にビジネスを始め、違法と分かると悪徳警察たちが群がって賄賂をせがみます。

そして挙句の果てには命を助けられた患者たちまでお金を断固として払わない、という態度なので、もうみんな悪者に見えてきますね。

ただ、全く善意はないのかというとそうでもなく、オチョアファミリーの患者に対する接し方を見ると、そこにしっかりとした人間性を感じるのもこの映画の面白いところです。

とりあえず全力で患者の応急処置にあたるのは果たして彼らのボランティア精神なのか。それともいいサービスを提供すればそれだけ報酬をもらえるだろうという下心なのか。その辺も分からないんですよね。

だってオチョアファミリーもおそらく無資格のパラメディックですよね。運転している息子も18歳になったばかりとか言ってたし、下手したら自動車免許すら持っていない可能性だってありますよ。

応急処置自体も間違っているのか、正しいのかもなんとも言えないじゃないですか。交通事故に遭った患者をあえて私立の病院に連れて行こうとするくだりがあるんだけど、あれも私立の病院に連れて行けば病院からお金がもらえるからそうしているようにも見えました。

一度政府の病院に患者を連れて行っても、「どうせここでは救急車がたくさん停まっていて、救急患者が大勢いるから、時間がかかるし、まともな治療を受けられませんよ」とか言っていたのも本当かどうか分からないですよね。

一方で意識がなくなった赤ちゃんの命を救ったり、怪我人に点滴を打って痛みを和らげたりとしっかり人助けもしているので、もうなにを持って正しいパラメディックなのかという物差しが意味をなさなくなってきます。

人柄や性格でいうと、オチョアファミリーは典型的な陽気なメキシコ人といった感じでしたね。いつも冗談を言い合って悲惨な状況すらも笑い飛ばす強さがあるから怖い話なのに、不思議とコミカルなんですよ。

だってサイレン鳴らして救急車を走らせているときに、末っ子は車内でボールで遊んだりしてるからね。お父さんはお父さんでそんなアホな末っ子にお金を借りて、ガソリンスタンドで夕食を買ったりしてる始末だし、最初から最後まで緊張と緩和が見事に描かれたメキシカンコントでしたね。最後にガソリンのなくなった救急車を手で押すって最高のオチじゃないですか。

コメント

  1. きのこ食べ過ぎ より:

    正直、メキシコはアメリカに併合されて「メキシコ州」になった方が色んな問題が解決するんじゃないかとも思います。
    特に「国」としての歴史が長いわけでもないし、主権国家でいる意味あんのかな?

    • 映画男 より:

      乱暴な言い方をするとそうなっちゃいますよね。自国だけでは全く社会問題が解決できないなら他国に頼るのもありだと思うんですけどね。

  2. アオヤンマ より:

    メキシコとんでもないですねえ。
    アメリカも欲しがらないんじゃないですかねえ、そんなことないんですかねえ。
    メキシカンボクサーは強いですけどドーピングが大好きですね。
    この文句を読んだので日本の救急がいかにすごいかを考えました。

  3. ちー より:

    この家族においてこの仕事は旨みが果たしてあるのか?と思いました。
    けれど、この家族には儲けが1番にせよ、多少なりとも正義感やメキシコでは珍しい?真っ当な倫理観もあるような気もするし。
    こんな状態ではいつか国が滅びてしまうようにも感じるのですが、悪の巣窟すぎてw他国も助けられないのでしょうか。