薄氷の殺人はセクハラ刑事と美人容疑者の恋愛スリラー!感想

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難易度やや高めの国際映画祭向け中国映画。誰が何を考えてるのか分かったもんじゃないですが、好奇心をそそられる作品です。58点

薄氷の殺人のあらすじ

映画『薄氷の殺人』予告編

1999年のある日、中国黒竜江省でバラバラの死体が至る場所で発見される。被害者は工員のリアン・ジージュンという男だった。

事件を担当した刑事のジャンが容疑者であるリアン・ジージュンの兄弟を訪ねに行くと、容疑者の男とその仲間は逃亡を図った末に身柄を拘束されると、その場で銃を発砲し、ジャンのパートナーたちを殺害する。

ジャンは咄嗟に反撃し、容疑者たちを殺害したものの、そのせいで事件は闇へと葬られてしまう。

それから5年後の2004年、ジャンは刑事を辞め、工場の警備員として働いていた。彼は酒に溺れ、自堕落な生活を送っていた。

そんなある日、ジャンは刑事時代のパートナーのワンと再会する。ワンによると、あれからまた似たようなバラバラ殺人事件が2件も起こっているという。

それも事件には共通点があった。一つは被害者の男が殺害されたときにアイススケートを履いていたこと、もう一つはいずれの被害者もある女と関係があったことだった。

その女とはかつてジャンが担当した事件の被害者リアン・ジージュンの未亡人ウーだった。ジャンはウーのことが気になり、客を装ってウーが働くクリーニング店に足を運び、彼女に近づこうとする。

薄氷の殺人のキャスト

  • リャオ・ファン
  • グイ・ルンメイ
  • ワン・シュエビン
  • ワン・ジンチュン
  • ユー・アイレイ

薄氷の殺人の感想と評価

ディアオ・イーナン監督によるベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞した刑事ドラマ。バラバラ殺人事件の美人容疑者と親密になりながらも事件を解明していく元刑事の姿を描いた芸術路線の作品です。

ストーリーの流れは刑事がバラバラ事件の犯人を追う>容疑者に同僚たちを殺され、刑事を辞めて酒に溺れる>同僚の一人に再会し、また犯人を追う>容疑者の女に惹かれ、付きまとう>犯人を追い詰める>実は真犯人がいることを突き止める、といったサスペンススリラーの王道を行っていますね。

ただ、必要以上にバイオレンスやドラマチックな演出はせず、出来事を淡々と見せているのが特徴です。特に登場人物たちが終始無表情なのが印象的ですね。

そのためそれぞれの心境や行動の目的が分かりにくく、説明不足のところが多々あるのも事実です。一方で人物描写や心理描写の物足りなさを美しい映像ともの悲しげな独特の世界観でカバーしており、決して悪くはない仕上がりになっていました。

少なくとも「クライマーズ」のような商業中国映画と比べると、クオリティーの差は歴然だし、だいぶまともな映画といえるでしょう。

一番の見所は怪しくも美しいヒロイン自身じゃないでしょうか。周りで次々と男たちが死んで行く謎の女ウーを演じたグイ・ルンメイがものすごくフォトジェニックで、目を見張るほどの美人でありながらも幸の薄い女という役柄を見事に演じていました。

それに対し、ウーと元刑事のジャンの関係性は微妙なところでしたね。まず、ジャンのキャラと風貌が生理的に僕には受け付けないところがあって嫌悪感を覚えました。

基本、女は力づくで奪うセクハラ上等のジャンは、食べ方は汚いし、髭面はキモいし、そのうえ大酒の飲みの酔っぱらいという設定です。そんな男があんな美人と上手くいくはずがないと思うんですよね。あいつのスイカの食い方、めちゃくちゃ汚くない?

ジャンは事件の解決のためにウーに近づいたのか、それとも本当に惚れてしまったのか。ウーもジャンに心を許していたのか、あるいは誰かに秘密を語りたかったのか。その辺の二人の気持ちもはっきりは見えてきませんでした。

そういう部分も含めて、視聴者に解釈を委ねているのでしょうが、あんまり説得力やリアリティーのある関係性ではなかったですね。

ジャンは冒頭でいきなり電車のホームで女に力づくで抱きついたかと思ったら、終盤にもウーに対して同じようなノリで強引に抱きつき、唇を奪い、挙句の果てには観覧車でセックスしてましたね。

もともとあういう習性の持ち主なのか、乱暴にするほうが女が喜ぶんだ、とか本気で思ってそうで怖いし、工員の女性に無理やりキスしようとしてはそれを冗談で済ましていたシーンも含め、サディスティックなセクハラの数々をごく当たり前のこととして描いていたことに時代錯誤と中国っぽさを感じますね。

とはいえ中国政府の検閲のせいか、セックスシーンではヌードはなく、あくまでも想像を駆り立てる感じの演出に終わっていました。ちなみに中国版では観覧車のセックスシーンもカットされてるそうですね。セクハラはOK、でも男女が愛し合うシーンはダメってなんだろうね。

数々のセクハラを犯し、元刑事のくせに容疑者にまで手を出したジャンはやっぱり相当なクズで、それを踏まえたうえでラストの喜びのダンスシーンを見ると、さらに気持ち悪さが増し、余計にジャンのことが分からなくなりました。

音楽もステップも全て古臭いし、映画史上に残る見ていられないダンスシーンでしたね。そういえば「山河ノスタルジア」でもヒロインがおかしなダンスを踊るシーンがありましたが、あれのオマージュシーンなのかなぁ。いずれにしても中国ダンスはなかなかシュールですね。

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