スポンサーリンク

宮本から君へはバカしか出てこない!感想とネタバレ

※当サイトではアフィリエイトプログラムを利用して商品を紹介しています
※当サイトではアフィリエイトプログラムを利用して商品を紹介しています
この記事は 約5 分で読めます。

俳優たちの演技はいいのに、演出がダメダメで、ストーリーはコントと化していく失敗作。「熱い」の意味をはき違えた映画です。30点。

スポンサーリンク

宮本から君へのあらすじ

営業マンの宮本は、会社の先輩の仕事仲間の靖子に恋をし、彼女の自宅に行くことになった。

年上の靖子から手料理をふるまってもらった宮本は上機嫌だった。ところがそこに靖子の元カレが酔っ払ってやってきては割り込んできた。

靖子の元カレは別れた後も靖子に付きまとい続けているようだった。靖子が追い払おうとすると、元カレは逆上し、靖子を殴った。

一部始終を目撃していた宮本は何をしていいか分からなかったが、「この女は俺が守る」といって元カレを追っ払った。

その晩、宮本と靖子は男女の仲になり、たちまち離れられない関係になっていく。しかしそんな二人に突然、取り返しのつかない悲劇がやってくるのだった。

宮本から君へのキャスト

  • 池松壮亮
  • 蒼井優
  • 井浦新
  • 一ノ瀬ワタル
  • 柄本時生星田
  • 英利
  • 古舘寛治
  • 佐藤二朗
  • ピエール瀧
  • 松山ケンイチ

宮本から君への感想と評価

「ディストラクション・ベイビーズ」の真利子哲也監督による激情型男女による波乱万丈の恋愛ドラマ。同名漫画の実写化です。

物語は、主人公の宮本が靖子に惚れる>幸せの中、靖子が乱暴される>体が大きくて強い加害者に宮本が喧嘩を挑んで敗れる>再起して再び加害者に挑戦して勝つ>結婚する、という流れになっています。

いわば昭和的体育会系熱血喧嘩ドラマで、暑苦しいことこのうえないです。サラリーマンが女のために喧嘩でかたを付けるっていうプロットは「ボーイズ・オン・ザ・ラン」とかぶるものがありますね。

狂気や腐れ縁やドラマチックな恋愛模様を描いているつもりなんでしょうが、実際のところは宮本が延々と叫んでるだけでした。

いかにも不快感を出すことに自己満足に浸るタイプの監督が作りそうな映画で娯楽としても芸術としても価値はないです。

こんなもん漫画の世界だけでとどめておけばいいレベルのファンタジーで、実写化したらダメでしょ。

たまに邦画で使われる、あの怒鳴り演出はどうにかならないんですかね。大声を出す=情熱的、みたいな価値観がまず寒いし、誰構わず怒鳴る宮本がどうして会社で営業できるんだよ。前歯のない営業マンがどうやって商談成立させられるんだよって。

宮本の設定が穴だらけで、「不器用だけど、正義感が人一倍強い男」というキャラがブレブレなんですよね。

熱くて、正義感が強い男なはずなのに目の前で好きな女が元カレから殴られてるのに咄嗟に止めに入らないし、そのくせその直後に「この女は俺が守る」というセリフを吐く精神状態が分かりません。

そのセリフを聞いた靖子も靖子で、「あれ嘘で言ったの? それとも本気なの? 女だったら誰でもあんなセリフ言われてみたいものよ」だってさ。どっちもバカかよ。救いようのないカップルだなぁ。

それも今さっきほかの男に殴られて号泣していた靖子がそのままのノリでやっちゃうし、宮本も宮本で「よおし、俺の女にしてやる」とかほざくからね。そもそも上から目線が謎だし、男らしさをはき違えてないか?

一事が万事その調子で、哲学とかモラルの崩壊した人たちしか出てこないので、真面目に見る映画じゃないんだなぁ、というのは伝わってきました。

大声で泣いて、笑って、殴り合って、仲直りして、俺たち幸せだよな、みたいな人間関係に憧れてる人が見ればいいんじゃないですか。僕にとってはただの気持ち悪いカップルでしかなかったけどね。

全体的に暴力をいたずらに肯定しているのもいけませんね。「喧嘩も男の甲斐性ですから」とか言って悦に入ってる靖子も痛いし、宮本が会社内で男を蹴り上げてるのになぜか周囲の反応は好意的でした。

挙句の果てには暴行されてボロボロなった靖子を見て、宮本がウオーとか言いながらラガーマンに勝てもしない喧嘩を挑みに行く始末で、本気なのかふざけてるのか、どっちなんでしょうか。

本気で暴力的な復讐がしたいんだったらナイフでもバットでも持って行って相手を殺せばいいじゃないですか。そうじゃなしに正々堂々とこぶしで殴り合って勝つんだ、みたいな喧嘩の勝ち負けが論点になっていくっていう時点でだいぶずれてますよね。

ちょっと相手にたんこぶと痣ができたらそれで満足なのかよ。靖子の気持ちをバカにしてないか?

基本、警察は存在しないことになっていて、誰も法で犯罪者を裁く、という発想を持った人はいませんでした。まるでこれが昭和だ、とでも言わんばかりです。昭和、舐めんな。

ストーリー展開や世界観にはリアリティーは全くないくせに、暴行シーンだけはやたらリアルなんですよね。

でも性犯罪というすごく深刻で、シリアスな題材を扱っているのに、ノリを青春ドラマにしていて、喧嘩して加害者のことを拳で分からせたから、もうこのことは忘れようぜ、なあ靖子、俺と結婚しようぜ、みたいな終わり方にしたら絶対ダメだろ。

全体的に男目線で、男の一人よがりの話になっていて、宮本に共感できる女性がこの世にいるのかどうかは疑わしいです。見方によってはものすごい勘違いしたストーカーじゃん。だって相手は嫌だって言ってるのに、当然自分のことを愛し続けてるだろうっていう前提でプロポーズしちゃうんだから。

この映画のために宮本を演じた池松壮亮は本当に歯を抜こうかどうか迷ってたらしいですね。抜かなくて正解だよ。

また、結構な豪華俳優たちが集結していて、ほんとご苦労様でした、と言いたいです。俳優たちはそれぞれ気合の入った素晴らしい仕事をしてましたよ。蒼井優なんて大分過激なシーンに挑戦しているので、多くの男にとってはそれで十分なのかもしれませんね。

コメント

  1. アクション より:

    あぁ、見事に宮本から君へのドツボに嵌まりましたね。この作品、そういう古くさいキャラが実際にいたらどうなるって作品で主人公の宮本も日本の漫画史上一番嫌われた主人公ってのが売りになる位読者からも嫌われたましたから、映画男さんもそういう面では見事に監督とか作者の意図に嵌まりましたね。

  2. あかつき より:

    多くの人がこの映画を評価していて、観賞後不満に思った自分はおかしいのかなと思いましたが映画男さんのレビューを観て自分だけではなかったなと一安心しました。

    あんな小さなアパートや外で大声を上げて近所迷惑にならないのか、大人としてどうなのかというリアリティーの無さや喧嘩で全て解決して強い男の概念を今の時代だと間違えてる気持ち悪い映画だと自分も思いました。

    あと点数が書いていないので良ければ点数も知りたいです。長文失礼しました

  3. ハイ より:

    自分はこの映画みて、嫌悪感と哀しさと最終的に怒りで震え泣きました。この映画みて絶賛してる人達がたくさんいて、ゾッとします。何故違和感なくみれるのか、、、レイプを男の漢を描く為のネタにしないでくれ。それを扱うにはあまりにも稚拙な演出展開。。日本ってこんなに遅れてたっけ??と。。2人が自転車乗ってくるシーンとかレイプシーンと同じくらい別な意味で恐ろしかったです。そう、せめて、漫画だけにしてくれよ。実写と漫画は違う。人間描きたいならそこにリアリティーがないとダメなんだよ。。色々ちぐはぐな映画でしたね。。まじでなめんな昭和!笑 俺の女にしてやる!⇨生でSEXっ、とかあるか?あのくだり、あるか??蒼井優、勿体ないよ!涙 で、とりあえず、ここのレビュー読んで全部言いたいこと言ってくれててサイコーでした。過剰演出好きな監督多いですよね。。。日本映画、逆行してますよね。。長々すいませんでした。怒りがおさまらなくて、、、ははは。

    • 映画男 より:

      お怒りの気持ち分かります。ひどいですよね。昭和をはき違えた作品ですね。

  4. たまに立ち寄る女 より:

    いつも素晴らしいレビューありがとうございます。
    ちなみに原作の話ですが宮本から君への方が古く、
    ボーイズ・オン・ザ・ランの作者が宮本から君へをオマージュして描いたと言われています。