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悲しく淡い少年少女兵の物語、魔女と呼ばれた少女(原題REBELLE/WAR WITCH)

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76点(100点満点)

ストーリー

紛争終結の兆しがまったく見えない、コンゴ民主共和国。水辺の村でのどかに暮らしていた14歳の少女コモナ(ラシェル・ムワンザ)は、突如として反政府軍に拉致されてしまう。兵士としてゲリラ戦に駆り出される彼女だったが、亡くなった人々に導かれて戦いを勝利に導いていく。そんな亡霊が見える力に目覚めたことから、周囲から魔女として崇拝されるコモナ。しかし、ふとしたきっかけで自分がいずれ殺害されることを悟ってしまった彼女は、恋仲になった少年と逃避行を繰り広げることに。

シネマトゥディより

文句
今年のアカデミー賞外国映画賞ノミネート作品。子供のときに反政府軍に誘拐され、強制的に戦争に参加させられるアフリカの少年少女たちに焦点を当てた衝撃作で、残虐で悲しいだけじゃなく、幻想的、おとぎ話的な一面も持つシュールな一本。雰囲気やテーマが「ジョニー・マッド・ドック」と似ていました。

反政府軍の兵士たちが迷信深く、祈祷師が石を転がして部隊の進む方角を決めたり、歌や踊りの儀式をしたり、そしてなにより”魔女”の存在を信じて、特定の少女を崇め、戦場に連れて行ったりと多くの行動が非計画的、非科学的、非現実的な考えで進められていることが恐ろしく、実際に起こりそうだなあ、と思わせるリアリティーがありました。

劇中、反政府軍の政治観については語られることがありません。そもそも少年兵たちはなんのために自分たちが戦っているのかを理解しておらず、誘拐されて、家族を殺され、行くところを失い、銃で脅されたから泣く泣く戦争に参加しているだけにすぎず、特に疑問も持たずに政府軍の兵士たちを撃ち殺していきます。命令されたことをやる。ただそれだけ。そんな環境の中では道徳もへったくれもなく、なんの教育も受けてこなかった子供たちが身近な人たちから伝え聞いた”迷信”を信仰のように心に留めておくのはむしろ自然でした。

戦争と少年少年の淡い恋物語を上手くミックスさせたのは見事でしたね。コモナの結婚観も面白く、プロポーズされた相手の男の子に「定職に付いてくれなければ結婚できないわ」なんてことは言いません。その代わりに「白い雄鶏を捕まえてきて。結婚するなら白い雄鶏を見つけられる男にしなさいってお父さんに言われたの」とその地域では存在しないと言われている動物探しを男の子に命じます。そして二人して伝説の鶏を探しに村から村へと歩き回るところが可愛すぎます。要するに鶏がどうこうじゃなく、自分と一緒になるために、存在するかどうかも分からないものを信じてどれだけ努力してくれるかが大事なわけで、それができる男と一緒になりなさいよ、とお父さんは娘に言いたかったのでしょう。

結婚指輪の代わりが鶏なんて洒落てていいですねぇ。また、いざ男の子が鶏を見つけたらコモナも素直に結婚を受け入れ、その日のうちに結婚初夜を迎えたのがストレートでよかったです。約束を果たしてくれたら結婚するわよ、と。二人の間には何の駆け引きもありません。近代社会の恋愛もあれだけストレートでシンプルだったらなぁ、と思わずにはいられませんでした。

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